2015年12月4日、ブリヂストンはレグノ・ブランドに初となる軽自動車専用タイヤ、レグノ GRレジェーラ(GR-Leggera)を発表した。発売は2016年2月15日から。
レグノ・ブランドの最新モデル、GR-X1、GRV Ⅱは2015年1月に発表され、コンパクトカー用サイズを充実させている。そしてこれらのコンパクトカー向けタイヤが販売面でのけん引役となり、前年比で1.5倍以上の伸びを示しているという。
こうした販売傾向の中で軽自動車用のレグノを新規投入することが企画されたのだ。長島淳二消費財マーケティング本部長は、「2014年度の軽自動車の新車販売比率は41%、全国の保有台数比率でも34.7%で最大のボリューム市場であり、今後も拡大が見込まれる。そして市場の拡大だけではなく、軽自動車そのものも高機能化しています」と語る。
軽自動車にも高性能なタイヤを!という企画は必然的だったといえるが、新たな軽自動車用のレグノは、既存のレグノ GR-X1、GR-VⅡの軽自動車用サイズを作るのではなく、軽自動車の特性を研究し、専用となる新たなレグノが開発されることになったことは画期的だ。
レグノ GRレジェーラの開発コンセプトは、レグノ・ブランドにふさわしい静粛性と乗り心地、運動性能の実現、安全に長く使えるロングライフ性能と、低燃費性能、ウェット性能を軽自動車に最適にマッチングさせることであった。
「軽自動車における静粛性を考えるために、さまざまなモデルでテストを行なった結果、100Hz~400Hzの周波数、つまり中・低周波数のノイズが大きいという特徴があり、路面での凹凸でベルトが振動する音や、パターンから発生するノイズが大きいことが分かりました」とタイヤ開発第5部の山口渉部長が語る。
そのため、既存のレグノのトレッドパターンや構造を流用するのではなく、専用のトレッドパターンのデザインが採用され、トレッド部の溝の中で発生するノイズを低減するダブルブランチ型消音器は採用されていない。
新開発のパターンはリブとサイプを組み合わせて軽自動車の振動騒音特性に合わせているのだ。さらに走行時のスチールベルトの振動音を抑えるノイズ吸収シートⅡを採用している。なおレグノGR-X1のノイズ吸収シートⅡはアラミド製を使用しているが、GRレジェーラは有機樹脂製となっている。
運動性能では、コーナリングなどで横Gがより早く発生し、素直に車体が反応し、横Gの収束も早くなることを目指している。さらにショルダー部の圧縮時の剛性を高め、左右非対称のパターンと非対称のサイドウォール形状を採用してる。このため、全高が高い軽自動車スーパーハイトワゴンでもふらつきが少なくなり、快適性を高めている。
長寿命化の技術としては、ショルダー部のサイプに、サマータイヤとしては初となるM字サイプを新採用している。据え切りなどを繰り返しても偏磨耗しにくく、より均一な路面接地になるように、スタッドレスタイヤに採用されているようなトレッドのゴムの内部にジグザグ状のサイプの切れ込みを入れることでブロックの倒れを抑制しているのだ。この結果、通常タイプのタイヤとの比較で10%のライフ向上を果たしているという。
ウェット性能を高めるためには、ゴム内のシリカを増量し、ウエット向上ポリマー、分散性向上剤を組み合わせて配合し、さらにトレッド部と路面との接地剛性を高め、発熱を抑えることでウエット性能と低燃費を両立させている。