2013年3月5日、ブリヂストンはジュネーブショーで低燃費と安全性を高次元で両立させる、次世代タイヤのコンセプト・タイヤである「ラージ&ナローコンセプト(LNC)」を発表した。
ブリヂストンは、「持続可能な」社会の実現に向け新たな環境タイヤ技術として、これまでのタイヤとは全く異なる新カテゴリーの狭幅・大径サイズ「ラージ&ナローコンセプトタイヤ」の開発に成功し、ジュネーブショーに出展した。
実は、ナローコンセプトのタイヤは2011年のフランクフルトショーで、シトロエンと共同でミシュランが22インチサイズでトレッド幅が235mmという大径・狭幅のプロトタイプ・タイヤを発表している。タイヤの外径を大きく、トレッド幅を狭くすることで空力性能を高め、ヒステリシスロスを(ゴムの変形によるエネルギー損失=抵抗)抑制し、結果的に燃費を向上させ、同時に耐磨耗性を向上させるというユーザーベネフィットも加えるというものだ。
そういう意味で、今回のブリヂストンの新技術は同じトレンドに乗ったものといえる。
ブリヂストンが開発した技術は、タイヤサイズをこれまでのエコタイヤとは異なり、タイヤトレッド幅を狭幅化し、その一方でタイヤ外径を大径化するとともに、空気内圧を300kPa以上という高内圧としている。また新たに開発した専用パターン技術や専用コンパウンドを適用することで、従来とは別次元の低い転がり抵抗とウェットグリップ性能の向上を実現しているという。
タイヤの大径化は、タイヤの回転に伴うヒステリシスロス、発熱などエネルギー損失が小径タイヤより少ない、タイヤの接地面形状(フットプリント)が幅広トレッドのタイヤより縦長になり、駆動性能、ウエット性能、コーナリングでのコントロール性がよいなど本質的な優位性があるのだ。
またトレッド幅を大幅に狭くすることで空気抵抗の低減に寄与し、これは空気抵抗が燃費に占める割合が大きい新ヨーロッパ・ドライビングサイクル(NEDC)で有効である点もトレッド幅が狭いタイヤを開発する大きな意味を持つ。つまり燃費に占める抵抗の内訳を分析すると必然的に大径・狭幅タイヤというコンセプトが見えてくる。
今後は、このコンセプトタイヤの構造、コンパウンドなどを熟成すれば実用化は案外早いと考えられる。
ブリヂストンは、今後は低燃費タイヤ「ECOPIA」ブランドの新カテゴリーとして次世代自動車への新車装着など、早期実用化を目指すという。