EV化、自動運転、常時接続は避けては通れないクルマの未来【ボッシュ・モビリティエクスペリエンス2017レポート vol.1】

雑誌に載らない話vol195

Bosch mobility experience 2017 report @Boxberg vol.1

2017年7月、世界的自動車部品サプライヤーのボッシュが、メディア向けイベントをドイツ・シュツットガルト近郊で開催した。「ボッシュ モビリティ エクスペリエンス2017」の開催趣旨は、「明日の都市交通について」だ。変化する都市交通に対し、どのようなソリューションを提供していくのか?大都市におけるモビリティはどのように変化していくのか?などボッシュの考える未来について、プレゼンテーション、エクスペリエンス、ワークショップが行なわれたのでお伝えしよう。<レポート:高橋 明/Akira Takahashi>

ボッシュ・モビリティエクスペリエンス2017 ボックスベルグ
ボックスベルグにある同社のテストコースにてBosch mobility exprience2017が開催された

【ボッシュ・モビリティエクスペリエンス2017レポート】
・vol.1 EV化、自動運転、常時接続は避けては通れないクルマの未来
vol.2 ストレス・ゼロのアーバンモビリティとは何か?交通インフラの再整備
vol.3 自動運転にAI人工知能は何故必要なのか?
vol.4 自動運転のためのソリューションレポート ドライビングアシスタンス篇
vol.5 自動運転のためのレーダーロードシグネチャー&ハッキング篇
vol.6 NOxとCNGで空気の質を改善

■2050年の未来

すでに世界中の大都市では、現在のモビリティコンセプトは破綻しつつあり、解消困難な交通渋滞のリスク、駐車場不足が起きている。実際、ドイツでは日本よりひどいという印象を受けるほどだし、日本でも大都市での渋滞は日常のこと。これが2050年までには、メガシティに住む人口が現在の2倍、約60億人に達すると予測されている。そうなれば、当然交通量は増え、現在の3倍になるとされ、地球上の全人口の約3分の2が都市部に生活すると予測されている。

ボッシュ・モビリティエクスペリエンス2017 コンセプトイメージ
ボッシュは、ゼロ・エミッション、ゼロ・ストレス、ゼロ・アクシデントのためのモビリティサービスプロバイダーになる

国内では高齢化や人口減少など特有の問題があり、欧州や北米と同じような変化をしていくのか?不明だが、世界規模では大都市への人口集中という流れになっているわけだ。

ボッシュ・モビリティエクスペリエンス2017 未来への街づくり
未来への街づくりのために、ボッシュはさまざまなソリューションを提供する

すると、環境汚染、交通渋滞による時間の無駄などが起こり、これらに対しボッシュの技術的な解決策により、大都市での生活の質の改善ができるというプレゼンテーションが今回のレポートになる。その内容は、排出ガスゼロ、ストレスゼロ、そして事故ゼロのモビリティ実現だと、ボッシュの取締役であるロルフ・ブーランダー氏が説明する。

■3つのゼロを目指す

3つのゼロ、つまり、ゼロ・エミッション、ゼロ・ストレス、ゼロ・アクシデントだが、ボッシュの取り組みは電動化、自動化、ネットワーク化という技術開発によって達成しようというわけだ。

ここまで読んでもらうと分かると思うが、日ごろわれわれが新型車の試乗、技術レポートで、電動化や自動化、ネットワーク化についてレポートしているが、こうしたことが背景であることがあるからだと理解できる。また、ボッシュは自家用車だけがターゲットではなく、都市で動くすべての交通環境を視野にいれての開発方向付けであり、いわばインフラ整備とも言える部分も含んでいるわけだ。自動運転のクルマに興味があるとかないとかはさておき、レポートを続けよう。

ボッシュの考える大都市でのA地点からB地点への移動でストレスのない移動を実現するには、公共交通機関、乗用車、自動運転タイプのカーシェアリング、業務用運送車両、その他の移動手段がシームレスに互いにリンクする必要があるという。つまり、都市部における交通手段は相互にネットワークでつながる必要があるというわけだ。

ボッシュ・モビリティエクスペリエンス2017 EV
EV化は大気汚染解決策の一部と位置付けている

こうすることで、事故が減り、渋滞が解消していくということになるが、ボッシュはすでに具体的な車両開発をしており、コンパクトなEV二輪車、三輪車、四輪車向けのパワートレーンを開発し、二輪車ではe-Schwalbe、四輪ではe-Goというモデルがすでに動いている。

これらは大都市の配送における電動化でドイツの配送会社DHLはすでにボッシュのEVパワートレーンを採用したStreetscooterでの配送が道筋立てられている。また、スマートシティ向けソリューションとして、ビーコンプロジェクトをシンガポール、サンフランシスコ、ベルリン、ハンブルグで展開し、中国の天津では業務提携を交わし、スマートシティ化する試みにも着手している。こうしたスマートシティでは、マルチモーダルなインターフェイスや、コネクテッドパーキング、フリート管理、e-モビリティといった都市向けのソリューション提供が始まっているというわけだ。

■まとめ

現在、われわれが体験しているEVや自動運転は、こうした未来の都市に向けて必要不可欠な技術と位置付けられていることが理解できる。次回は「ストレスゼロのアーバンモビリティについて」ボッシュのモビリティソリューション統括部長のロルフ・ブーランダー氏のプレゼンテーションをレポートする。

【ボッシュ・モビリティエクスペリエンス2017レポート】
・vol.1 EV化、自動運転、常時接続は避けては通れないクルマの未来
vol.2 ストレス・ゼロのアーバンモビリティとは何か?交通インフラの再整備
vol.3 自動運転にAI人工知能は何故必要なのか?
vol.4 自動運転のためのソリューションレポート ドライビングアシスタンス篇
vol.5 自動運転のためのレーダーロードシグネチャー&ハッキング篇
vol.6 NOxとCNGで空気の質を改善

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