ボッシュは、ドイツのハノーバーで開催された国際商用車モーターショー「IAA TRANSPORTATION」で、近未来のトラックなど商用車の技術トレンドを発表した。
ボッシュの予測によれば、2025年時点で重量6トン以上のトラック全体の80%以上が、依然としてディーゼルエンジン車だとしている。しかしパワートレインの多様化が進み、2035年までには新型商用車の半数がハイブリッドを含むBEVあるいは水素を動力源とする電気自動車になる見通しとしている。
商用車ではある1種類の技術集中するのではなく多様なアプローチが有効だと想定されている。つまり用途に応じて、トラックのパワートレインは複数の技術が併用されるのだ。そのためボッシュは電動パワートレイン、燃料電池パワートレイン、水素燃焼エンジンを展開しており、例えば水素を燃料とする燃料電池パワートレインは2025年までに4万台以上の出荷を目標にしている。そしてこの目標を達成するため、燃料電池タックは自社のアンダーソン(米国)、無錫(中国)、バンベルク(ドイツ)の各工場で生産体制を整えている。また水素燃焼エンジンは、インドでプロジェクトを展開しつつある。
このように今後のトラックなど商用車のパワートレインはカーボンニュートラルを目指して、大きな変革期を迎えようとしている。
また商用車におけるもう一つの大きな課題にも挑戦を行なっている。それは世界的に申告なトラック・ドライバーの不足の問題である。ヨーロッパだけでも約40万人のトラック・ドライバーが不足しているという。
そのためボッシュは2030年までに高速道路における無人自動運転の実現を目指している。2025年には、センサーデータをリアルタイムで処理できる車載コンピューターがヨーロッパのトラックメーカーで大量生産される予定だ。そのためボッシュは将来の商用車のセンサー/アクチューター構築技術を大幅に強化し、クラウド、通信などを駆使するソフトウェアデファインド・トラックの基盤を提供することを目指している。
トラックの自動運転に向けで、従来の運転支援システムを拡張して行く。その最たる例は、トラック向けのコーナーレーダーセンサーだ。この市場は、今後市場では数年間で40%の成長が見込まれている中、ボッシュは60%近い成長を見込んでいるという。この背景には商用車による交通事故を防止するための法的要件を含む、多くの要因によって市場が拡大されることが想定されている。例えば大型トラックの右左折アシスト機能は、2024年からヨーロッパでは必須の機能になるからだ。
さらに貨物輸送の未来に関する取り組みでは、ボッシュはアメリカを拠点とするクラウド・プロバイダーのアマゾン ウェブ サービス(AWS)と協力し、自社の物流管理サービスだけでなくサードパーティのサービスも一元管理できるソフトウェア・プラットフォームの運用に取り組んできている。これらのソリューションを統合することは、業務効率の向上に貢献するのだ。
世界中の物流会社や貨物運送業者は、現在利用している複数のソリューションをそれぞれ単独で使用するのではなく、ワンストップのデジタルサービスに素早く簡単にアクセスできることえを目指している。このソフトウエア・ソリューションは近日中にインドで物流管理プラットフォームとして導入され、来年の初めにはヨーロッパとアメリカで導入される予定だ。
輸送と物流管理産業向けのサービスのひとつは、物流管理の監視だ。ボッシュ サービス センターは、年間3〜4万台のトラックに積み込まれている重要な物資や医療上不可欠な物資をモニターしている。新型コロナウイルス感染症のパンデミックの間、ボッシュはワクチン出荷のモニターも担当した。
またトラックの駐車スペースを予約できるサービスである安全駐車サービスも高い需要がある。すでにヨーロッパ11か国の高速道路沿いに100ヵ所の駐車エリアを提供しており、2021年だけでも予約は3倍増加している。
このように、カーボンユートラルに向けて、商用車でも乗用車以上に多様な手段で変革は開始されている。