ボッシュは2019年8月12日、車載用のデジタル・ディスプレイとして画期的な3Dディスプレイを開発したと発表した。
ディスプレイの働き
デジタル・ディスプレイにおいて、未来のコックピットでは、ドライバーとクルマとのインターフェースとして、デジタル・ディスプレイはより重要視されてくる。ボッシュの新しい3Dディスプレイ製品はこうしたトレンドに対応し、パッシブ方式の3D技術を採用することで、従来の画面表示よりも素早く、視覚情報を把握できるリアルな3D効果を生み出せる。
ボッシュはこれまで、曲面ディスプレイや、有機LED(OLED)ディスプレイ、自由に設定を変更できるプログラマブル・ディスプレイなど、常に車載ディスプレイのベンチマークとなってきた。歴史的に見れば、1980年代以来、アウディ・クワトロのコックピットに世界初のデジタルディスプレイを搭載していたのだ。
約5年前にはアウディTT」向けにフリープログラマブル・ディスプレイを供給した。またフォルクスワーゲン・トゥアレグの最新モデルには世界初の曲面メーターパネルを供給するなど、デジタル・コクピットをリードしてきている。
3Dディスプレイの効果
3Dディスプレイはこれからのクルマのコックピットの新たなトレンドとなると予想されている。映画のスクリーンでは、3D効果は映画のエンターテイメント性を高める効果があるが、コックピットではそれとは状況が全く違う。ディスプレイに被写界深度が存在すると、ドライバーはアシスタンス・システム、渋滞警報など重要な視覚情報をより素早く把握できるという大きなメリットがあるからだ。
ディスプレイから飛び出すように立体的に見える警告は、はるかにドライバーが認識しやすく、かつ緊迫感がある。さらに、駐車時にはリヤビューカメラの映像が3D化すると、よりリアルになり、ドライバーが障害物をより早く検出できるほか、リヤフェンダーと駐車場の壁との間の隙間をより的確に把握することもできる。
またビルの谷間を通過する際にも、マップ表示の空間深度によって、次にどのビルの前を通るかがより理解しやすくなるなど、ディスプレイの3D効果はドライバーの認識にとって、より大きな役割を果たすことができる。
ボッシュはこれらの新型ディスプレイに、アイトラッキングや3Dメガネなどの追加機能なしで完全に機能する、パッシブ方式3D技術を採用した。
なお3Dディスプレイだけではなく、車載ディスプレイすべてが厳しい安全基準をパスしている。特に温度変動や振動に関しては、家電製品よりもはるかに高い安全基準で、温度はマイナス40度Cでもプラス120度Cでも問題なく動作することが、車両の耐用年数にわたって要求されている。また部分的な障害が発生した場合でも、ドライバーは常に最小限の重要な情報が得られるフェールセーフ機能も持っている。
個別ECUからコクピット統合ECUに
人間の目は知覚の90%を担っている。しかしディスプレイは単に情報を表示するだけでは十分とはいえない。将来的には、ユーザーとディスプレイの間の相互作用(インタラクティブ)の関係が重要となってくる。
ボッシュはすでに、小型の平面ディスプレイから大型の曲面ディスプレイ、形状ではラウンド型や角丸型といった変形のディスプレイなど、あらゆる種類のアプリケーションを提供している。これに加え、ボイスコントロールやタッチコントロールの操作も可能になり、後者の場合は、ハプティック(触覚反応的)フィードバック機能も備えている。
車載ディスプレイが大型化し、より多目的で高機能化し、ボイスコントロール機能やタッチコントロール機能を装備するようになると、ディスプレイ制御用のECUはますます高い演算処理能力が必要となる。そのため多くのECUを装備し、今後はさらにEUCが増大することも想定される。現在でも、15個ものECUがディスプレイとオペレーティングシステムを制御している。
ボッシュは、1台のコックピット用コンピューターだけでHMI(ディスプレイ類など)全体を制御できるよう、すべてのコントロール機能を1つのメインECUに統合する方針だ。コントロールユニットの数が減ることで重量が減り、車両の開発時間も短縮されるし、さらに、常時接続機能を活かし、OTA(無線通信)アップデートを実行できることで、スマートフォンと同じくらい簡単にインフォテインメント・システムを最新の状態に保つことが可能となるだろう。
automobile study
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