ボッシュ 相乗りサービスのスタートアップ企業SPLTを買収 ライドシェアリング事業に進出

2018年2月21日、ボッシュはアメリカ・デトロイトを拠点とするスタートアップ企業「Splitting Fares Inc. (SPLT)」を買収、ライドシェアリング事業に参入すると発表した。

ボッシュ 相乗りサービスのスタートアップ企業SPLTを買収 ライドシェアリング事業に進出

SPLTは、企業、大学、自治体職員向けのライドシェアリング(クルマの相乗り)サービスのためのプラットフォームを運営しており、このB2Bアプローチは、通勤者向けに設計され、同じルートで通勤、通学する人たちを繋ぎ、相乗りで通勤するというシステムアプリだ。

このサービスを支えるシステムのアルゴリズムは、同乗者をマッチングし、最短ルートを計算する。ライドシェアリングの目的は、渋滞を緩和し、毎日の通勤の負担を軽減することを目的に、SPLTは2015年に設立された。すでにアメリカ、メキシコ、ドイツでは、14万人がこのサービスを利用している。

「SPLTの取得によって、私たちは成長分野であるモビリティサービスのポートフォリオを拡充しています」と、ボッシュ取締役会メンバーのマルクス・ハインは語る。ボッシュは、ライドシェア・サービスとコネクテッドモビリティサービスで2桁成長を目指す重点事業と位置づけられている。

スマートフォンは移動の重要なツールとなりつつあり、道路利用者と交通機関をネットワーク化することで、自由度の高い効率的なモビリティが可能になる。誰もが移動方法を瞬時に選び、必要な手配を行なうことができるわけで、人々の移動のあり方を根本的に変える可能性を持っているのだ。

デジタルサービスとアプリを使って相乗り相手を見つけたり、カーシェアリングやタクシーを手配するライドシェアリングは、コネクテッドモビリティ分野の成長市場とされている。2022年には、全世界のライドシェアリングの利用者数は現在より60%増加し、6億8500万人に達すると予想している。

これまで、既存のサービスでは、たまたま同じ方向に行く人や、その場で移動手段を確保しようという人が対象で、企業や通勤者は重視されていなかった。しかし、そこに大きなポテンシャルがあった。ドイツ連邦自動車庁によると、ドイツだけで4500万台以上の通勤車両があり、さらに通勤者の数は増加しているという。

ドイツ連邦統計局によれば、労働人口の約3分の2が毎日の通勤の手段として自家用車を第一に挙げている。そのため自家用車が主な通勤手段だから、ラッシュアワーには頻繁に交通渋滞が発生し、何百万人もの通勤者が日々渋滞にストレスを感じ、交通環境を悪化させているということだ。問題なのは、自家用車では通常ドライバーが1人で通勤しているということで、相乗りは、まだ例外的な手段ということだ。

そこでSPLTのライドシェアリング・サービスが注目された。使い方は非常に簡単で、企業や大学、自治体当局は、職員がSPLTプラットフォームにアクセスできるようにし、職員はSPLTのアプリをダウンロード・登録し、相乗り相手を探したり、相乗りを申し出ることができる。

予約はその場で、または事前に行なうことが可能。 到着時間はリアルタイムで表示され、費用は同僚の間で分担され、オンラインで課金される。このB2Bサービスは、毎日同じルートを移動する利用者を対象としているのが特長だ。このアプリの利点のひとつは、相乗りするのが同僚であるということ。つまり、利用者は全く知らない人と一緒にクルマに乗ることがないのだ。

2次的な効果として、このような相乗りはコミュニケーションを促進し、人脈作りにもつながる。また社員用送迎バスもアプリに統合することができ、より柔軟で効率的に利用することができる。

その結果、ストレスを感じずに、低コストで、そして環境にもほとんど影響を与えることなく通勤が可能になり、企業も交通量の削減に貢献することができる。今後数年間で、SPLTユーザーの数は何倍にも増加し、利用できる地域も拡大していくと期待され、ボッシュではメキシコの従業員が既にこのアプリを使用しており、今後、全社に利用を広げる予定だという。

日本の大都会は、公共交通網が充実しており、公共交通依存社会で自家用車通勤は多くはないが、大都会以外は自家用車の通勤に依存するケースが多い。またアメリカを始めとする諸国は公共交通機関の密度が低く、自家用車通勤の比重が圧倒的に高いので、これからはライドシェアリング・サービスは大きく成長すると予想される。

SPLT 公式サイト
ボッシュ 関連情報
ボッシュ 公式サイト

ページのトップに戻る