2017年3月9日、ボルグワーナー本社は、幅広いガソリン車向けの「可変タービンジオメトリー(VTG)」ターボチャージャーを開発ししたと発表した。このVTGターボは、今後ハイブリッド車での利用も見込まれる新しい燃焼システムに適しており、クリーンで効率的な将来の駆動システムにおける重要なエンジン部品と位置付けられている。
このVTGターボチャージャーは、コスト効率と優れた性能を追求し、素材と設計を最適化し、低いエンジン回転時にも素早い過給を実現する。
ポルシェ社と協力し、VTGターボチャージャーを搭載した世界初の量産ガソリンエンジンを実現してから10年を経て、ボルグワーナーのガソリンVTGがグローバル市場に投入される。
ボルグワーナーは、ガソリンエンジンの高熱負荷に耐え、過酷な条件下でも確実な運転が可能になるように素材と設計を最適化。また、タービンの上流圧力を制御する堅牢な電動アクチュエータを採用する最新のVTG技術を採用し、迅速、正確に可変翼を調節し、瞬間的な加速と最適な出力を実現している。
タービンホイールの入り口で流入ガスの流入角と速度を変更することにより、ボルグワーナーが特許を取得しているS型ガイド翼がVTGタービンの出力を制御し、非常に低い回転数で熱効率とエンジンの応答性を改善している。この優れた応答性によりさまざまなカテゴリーの自動車の燃費を改善し、排ガスを削減することができる。
ーーコメント
「効率と排ガスに対する要求は高まり続けており、当社のガソリンVTG技術には大きな市場ポテンシャルがあると見込んでいます。当社のソリューションを市場に投入してダウンサイジング化とダウンスピーディング化を推進し、お客様が経済的でクリーンかつパワフルな自動車を開発できるよう支援します。当社は、革新的なターボチャージ・ソリューションの主要サプライヤーとしての優位性を強化していく所存です」とボルグワーナーのターボチャージャー関連事業を展開するグループ会社、ボルグワーナー・ターボシステムズの社長兼事業本部長であるフレデリック・リサルド氏は語っている。
[編集部からのひと言]
可変ジオメトリーターボは、排ガス流量が少ない時に発生するターボラグを解消する技術として、三菱重工が1980年代にディーゼル用に開発し、その後、1985年にセドリック用のVG20型エンジン用、つまりガソリンエンジン用に可変ジオメトリー式ターボを、1988年にはホンダがレジェンド用に可変ジオメトリーターボを開発している。
しかしガソリンエンジンは排ガス温度が高いため、耐熱・耐久性が厳しいため、その後はディーゼル用として普及した。ガソリンエンジンに改めて可変ジオメトリーターボが採用されたのは2009年のポルシェ911ターボで、ボルグワーナー製が採用された。
現在は、ターボ製造大手の三菱重工、IHIなど日本製ターボもガソリンエンジンに対応しているが、より幅広く採用されるためにはコスト低減が大きなテーマになっており、今回のボルグワーナー製VTGはそれを達成していると推測できる。