スバルは2019年10月23日、東京モーターショー2019のプレスデーで、次期型レヴォーグのプロトタイプを世界初公開し、その概要を明らかにした。
新型レヴォーグは、スバルの最先端技術を結集し、自動運転化が進むモビリティ社会において、「誰もが自分の意志で、運転をどこまでも愉しめる未来」を実現したパフォーマンスワゴンだという。つまり現在のスバルのラインアップの中で技術フラッグシップのポジションとされているのだ。
デザインは、従来のソリッド×ダイナミックを発展させた新デザイン・コンセプト「BOLDER(ボルダー:大胆さ)」を採用。ボディフォルム全体はキープ・コンセプトながら、より前後のフェンダーの張り出しを強調して力強さを増すなど、意のままにクルマをコントロールする楽しさと、今まで経験したことのない、新たなアクティビティに向かってチャレンジする気持ちを表現しているという。
新世代アイサイト
注目点は新次元の発展型アイサイトを採用していることだろう。ステレオカメラは従来より左右の視野角を拡大し、横方向からの歩行者や自転車の出現のような場面での検知能力を高め、出会い頭の衝突危険を回避できるようにしている。さらに前後合計4個のミリ波レーダーで車両の360度全周の障害物を検知できるようにしている。つまりステレオカメラとレーダーのセンサー・フュージョンが実現している。
さらに、アクティブクルーズ・コントロールは、3次元高精度マップとGPS/天頂衛星「みちびき」を利用するロケーターを組み合わせた精度の高い車両位置検出システムを採用することで、カーブでの自動減速やハンズオフ運転を実現している。
スバルでは国内初となるコネクテッドサービスも導入。万が一の衝突事故時にクルマから自動で緊急通報を発信する機能を搭載している。オペレーターにより消防や警察に救援を要請するとともに協力病院とも連携することで、迅速な救命活動につなげる先進の救急自動通報システムを採用。また、ドライバーが体調不良に陥るなどの緊急時には、ボタンひとつでオペレーターにつながるSOSコール機能も搭載している。
新開発エンジンと新骨格ボディ構造
かねてから開発されていた新ダウンサイジング・ターボがついに搭載される。第4世代となる新開発の1.8Lの水平対向直噴ターボにはリーン(希薄)燃焼技術を採用し、加速性能と環境性能を高次元で両立。豊かなトルクによるストレスのない質感高い走りを実現しているという。
もちろんリーンバーンを行なうことで、高いレベルの熱効率を実現し、燃費向上、CO2削減を果たしている。ちなみに第4世代と呼ぶということは現行のFA/FB型エンジンの次の世代を意味している。
さらに地味ながら画期的な点は、スバル・グローバル・プラットフォームにインナー骨格構造を採用したことだ。スバルはアメリカで発売を開始した新型レガシィ/アウトバックからインナーフレーム構造を採用。そのため、今回のレヴォーグは第2弾となるが、もちろん日本では初登場となる。
スバルは2000年頃からボディのインナーフレーム構造を構想していたというが、工場の生産システムにも大きく影響することから、SGPの採用時点でようやく具体化され、今回のレヴォーグから採用となった。
インナーフレーム構造は、ヨーロッパ車などと同様に、主要な骨格部を先に溶接組み立てし、最後にアウターパネルを溶接する構造で、骨格部の結合剛性を向上させ、さらに構造用接着剤を多用できることで、剛性、乗り心地、操縦安定性の向上などに大きく寄与する技術だ。このインナーフレーム構造とSGPの組み合わせにより、レヴォーグの走りの質感は大幅に向上しているはずである。
なお今回の展示はプロトタイプで、正式の発売は2020年秋を予定していると発表された。したがって、基本的な開発はすでに最終段階で、今後は最後の熟成と量産のための生産準備が行なわれるはずだ。