2014年10月11~12日、中国ラウンドの2戦目となるFIA世界ツーリングカー選手権(WTCC)第10戦・上海レースが上海国際サーキットで開催された。
このレースから、過去3戦のレース結果による重量ハンデの再調整によりシボレー・チームのウエイトハンデは40kgとなっている。シトロエン:60kg、ホンダ・シビック:20kg、ラーダ:0kgには変更はない。
レース前には、シトロエン・レーシングのマ・チンホワの家族が経営する上海のカートコースで、WTCCドライバー、地元チームなどによるカート大会も開催され、ここではマ選手が優勝し、シトロエン・チームが1~3位を独占して面目を保った。またドライバーやチームメンバーは上海の名所、豫園で小籠包や餃子を楽しむなど地元の大歓迎の中、リラックスした時間を過ごしている。
予選前に、ドライバーとチームのメンバーたちは、鈴鹿でのF1日本GP(2014/10/5決勝)で重症事故に遭い、昏睡状態にある若きフランス人ドライバー、ジュール・ビアンキ選手を励ました。赤いスカーフをなびかせながら集合写真を撮影。赤という色は、ビアンキのファンと彼の回復を願う人たちが、ビアンキとその家族を支えるべく、ソーシャルメディアでメッセージや写真を投稿する際に選んだ色だ。「みんなジュールとともに」というメッセージのロゴは、ジュール・ビアンキのF1の同僚であるジャン・エリック・ベルニュが作り、WTCCのすべてのマシンに示されている。
公式予選では地元の英雄、マ・チンホワ選手が最初にベストラップを叩き出したが、最後にセッティングを煮詰めたホセ・マリア・ロペスが逆転してポールポジションを獲得した。そして同じくシトロエンのイヴァン・ミーュラーが3番手につけ、シトロエンの速さを見せつけた。北京で優勝したラーダ・チームはセッティングにてこずり、上位に進めることはできなかった。
レース1は、ポールポジションからホセ・マリア・ロペス、2番手からマ・チンホワ、3番手からイヴァン・ミューラーがスタート。3台はまったく危なげない走りでポジションを保ち、後続を引き離して14周のレースを走り切った。
5番手からスタートしたセバスチャン・ローブは、スタートで7番手まで順位を落としたが、その後挽回し、6周目には4番手に上昇。シトロエン勢が1位から4位までを占めた。ロペスは今シーズン8勝目、チンホワはホームレースで2位となり、大歓声を浴びた。
リバースグリッドで行なわれるレース2は、ローブが6番手、ミューラーが7番手、チンホワが9番手、ロペスが10番手からのスタート。
2周目にミューラーとローブが接触し、ミューラーはリタイア。ローブはダメージを負いながら走行を続け4番手でレースを終えるが追突のペナルティを受けて12位に降格した。
ロペスは5周目には3番手に上がると、その時点で10秒近くあったトップとの差を詰め始めたものの逆転には至らず、ロペスは3位でフィニッシュ。チンホワは5位に入った。
ベニーニはレース2で見事なパフォーマンスを見せ、WTCCでの初勝利を挙げた。ホンダにとっても今季初の勝利。バルミロ・プレゼンツィアーニのプロチーム・レーシングにとっても、WTCCでの初勝利となった。
また、シビックにとっても今シーズン最高のレースとなった。メディ・ベニーニの駆るシビックが1位、同じくシビックのチアゴ・モンテイロが2位でフィニッシュを飾り、シビックに今季初のワン・ツーをもたらした。さらにシビックのノルベルト・ミケリスも5位に入っている。
シトロエンC-Elysee WTCCはレース1で上位を独占し、第10戦終了時点のマニュファクチャラーズポイントを848まで伸ばし、2戦を残してメーカータイトルを確定した。ドライバーズ選手権では1位のロペスが、2位ミューラーとの差を75ポイントまで広げている。
さあ、いよいよ10月25日~26日は鈴鹿ラウンドだ。ここで、ロペスがドライバーチャンピオンとなるか、シビックのホームコースで逆襲はなるか?