アウディ スーパー耐久に参戦可能なTCR規格のカスタマーレーシング用「RS3 LMS」をワールドプレミア

アウディ スポーツは2021年2月5日、開発拠点のノイブルク アン デア ドナウでカスタマー レーシング用のニューモデル2021年型「RS3 LMS」を発表しました。このニューモデルはアウディのツーリングカーレースの伝統を受け継ぎ、数多くの改良が加えられた第2世代の「RS3 LMS」です。

アウディ スポーツ GmbHのマネージングディレクター兼アウディ スポーツ責任者のユリウス・シーバッハは、「私たちは、アウディの製品ラインナップにとってモータースポーツがいかに重要であるかを強調するため、その市販モデルであるRS3の、市場導入前の段階でカモフラージュが施されたレースカーを発表することにしました。RS3 LMSは、カスタマーレーシングに対するアウディの取り組みを明確に示すモデルであり、数多くの記録を打ち立ててきたモデルでもあります。今回のニューモデルでも初代モデルが達成したサクセスストーリーを継続したいと考えています」と語っています。

初代RS3 LMSは、アウディカスタマーレーシングカーとしては、単独世代で過去最高となる180台が製造された実績があります。

アウディ カスタマーレーシングの統括責任者のクリス・ラインケは、「最新モデルを開発するにあたり、ユーザーに焦点を合わせた目標を設定しました。私たちは、ラップタイム、セットアップオプション、安全性、エルゴノミクス(人間工学)などあらゆる面において先代より優れたモデルをカスタマーチームに提供したいと考えています」と語っています。

この第2世代のRS3 LMSは、2つの目標を達成するために、全面的に新開発されました。その目標とは、市販モデルをベースにしたエントリーレベルのレースカーをさらに改善すること、そしてあらゆる領域でユーザーのメリットを最適化することです。このニューモデルは適切な金額に抑えられ、より高い安全性を実現し、340hpの最高出力により、より高次元のドライビングプレジャーが実現しています。

ニューRS3 LMSの特長

新型RS3 LMSは、新しいトランスミッション、先進のシャシー、その他多くの新たなソリューションを備え、これまで以上に戦闘力が高められています。

新型RS3 LMSのエクステリアは先代モデルと大きく異なっています。

フロント エプロンには、エンジンとブレーキの冷却性能をより高めたエアインテークが組み込まれ、またリヤウイングは初のスワンネック型(吊り下げ対アプ)になるなど、エアロダイナミクスの最適化が行なわれています。

これらを空力特性の向上を実現するため、今回初めて空力コンポーネントは完全にCFD(Computational Fluid Dynamics)と呼ばれるシミュレーションを用いたコンピューター開発が行なわれています。

ボディーシェルそのものははインゴルシュタット工場から、2.0Lのターボエンジンはハンガリーのギョール工場で生産されています。

そしてレースカーとしての組み立てはこれまでと同様、スペインのマルトレルの拠点で行なわれるなど、フォルクスワーゲン グループのシナジー効果が発揮されています。

シャシーパワートレーンの進化

このRS3 LMSは、フォルクスワーゲン グループでEA888型と呼ばれる2.0L 4気筒エンジンの第4世代が搭載されています。エンジンブロックとシリンダーヘッド、クランクドライブ、バルブトレーン、インテークマニホールド、燃料噴射、新しいターボチャージャーは市販エンジン用の部品が使用されています。

エキゾーストシステムとオイルセパレーター付きのカムカバーブローバイのみが市販エンジンと異なる点です。

なお規則で指定されたマレリ社製のTCR標準エンジンコンピューターは2021年仕様となっています。

このエンジン コンピューターのマップは、その後は変更ができないように各レーシンシリーズの主催者により保存されます。つまり標準化されたハードウェアのECUとそのマップはすべてのメーカーに公示され、透明性と機会均等を保証することになっています。

トランスミッションは新開発のユニットが搭載されています。DCTのツインプレート クラッチ板は従来より800g軽量化され、慣性を低減。またヒューランド製の新しい空圧作動式の6速トランスミッション・ギヤはきわめて頑丈で、ステアリングホイールのパドルシフターを介して操作できます。

LSDも新開発の12枚プレートのマルチディスク式で、外部から簡単に締結力を調整できるようになっています。またドライブシャフトもより強化され、ロングライフ化されています。

シャシーの進化

新型RS3 LMSは、サスペンション調整に関しても新たな技術を投入しています。

フロントアクスルはストラット式ですが、これまでになく迅速にアライメントの変更が可能です。以前のボルト締めシステムでは、変更のために常にサスペンション アライメントの測定が必要でしたが、新たにシム式のスペーサーを、コントロールアームとロッドへ数分で挿入できるようになっているのです。A型アーム部で1.2から10mmまでの4つの異なるシム幅により、フロントアクスルでのキャンバー角をマイナス2~7度に調整できます。

このためホイールアライメント テスターがなくても、予選中の短い時間の合間にセットアップを変更する場合などに大きなメリットが得られます。

またバンプステア効果を実現するために、リヤの4リンクにトラックロッドを標準装備し、調整が可能です。これによりターンイン時のレースカーの敏捷性を調整でき、その他にアンチダイブとアンチリフト、ロールセンターの高さ、キャスター、サブフレームの距離など、サスペンションのジオメトリー、車高が変更されたときのアライメント調整が実現します。

さらにスタビライザーは初採用のクイックリリースファスナー装備となり、すぐに交換ができるように改良されています。スタビライザーはフロントは9ヶ所、リヤは6ヶ所の調整ポイントが設けられています。

ディスクのサイズが規則により決められているブレーキは、より適正な温度で使用できるように改良。新しい冷却ダクトはディスクだけでなく6ポットキャリパーも冷却できるようにし、ブレーキフィーリングを改善しています。

安全性の向上

RS3 MLSは他社のTCRツーリングカーに比べ大幅に上回る安全装備を採用しています。ロールケージは全長25.8mに達する鋼管で構成され、もちろんドライバーは6点式シートベルトを装着します。そしてアウディ独自のプロテクション仕様のシートはきわめて強固な作りになっています。

なおシート位置は、側面衝突のリスクに対応し、より中央寄りにマウントされています。オプションの左右のシートラッピング セーフティネットを装着すれば、ドライバーをさらに安全に保護されます。

またドライバーの頭上のルーフには脱着式のハッチが設置され、事故後のドライバーのヘルメットを上向きに静かに取り外し、必要に応じてレスキューコルセットを上から垂直に挿入して、ドライバーの脊椎を安定させることが可能になっています。

さらにリヤウインドウはガラスではなくポリカーボネイト樹脂性が標準装備されています。この材料は軽量で、非常に耐衝撃性があり、事故のときに異物の室内への侵入を阻止することが可能です。

安全燃料タンクはFIAFT3規制に準拠し、容量は100L。もちろん消火システムが装備されています。

コクピットはドライバーオリエンテッドにデザインされています。ステアリングホイールは、TCR用に指定されたコントロールパネルを装備。センターコンソールは12の機能が人間工学的に最適化され、明確に配置されたキーパッドに論理的にグループ化されています。

コックピットの送風ファンやオプションのフロントガラスヒーター、イグニッション、ライトのオン/オフが操作可能で、またブレーキの前後バランスダイヤル、消火機能もセンターコンソールの下で、操作しやすい場所に配置されてます。

レース用に開発された新配線システムにより、6個の分散型ヒューズボックスが採用され、十分な冗長性を備え、電気的なトラブルの可能性を排除しています。

この新型RS3 LMSは、日本でもスーパー耐久シリーズ、TCRジャパンシリーズに登場が予想され、その走りを身近で見ることができるはずです。

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The Mortor Weekly

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