2017年9月1日、FIAは2018年シーズンのレースカレンダーを発表した。それは噂通り、2018年、2019年をまたぐカレンダーで、2019年6月のル・マン24時間レースが最終戦となるというものだ。
やはりWECシリーズの中でもル・マン24時間レースの存在は格別だ。そのため以前からシリーズで最高のクラシック・イベントのル・マンをシリーズの最終戦とするアイデアはあった。しかし、ル・マンはクラシックレースというだけあって、夏至を迎える土曜〜日曜日に開催するという伝統を変えることは不可能だった。そして今後も今まで通り6月中旬に開催する。だが、そのための新レースカレンダーは、2018年のル・マン24時間レース後から始まり、翌2019年のル・マン24時間レースが最終戦となるという年をまたいでのシーズンとしたわけだ。
しかしこれでは2018年春からル・マン24時間レースまでのレースが無効になってしまうため、2018年は例外的に第1戦からシリーズ戦としてカウントし、2019年のル・マン24時間で終わる18ヶ月間のシーズンとされる。つまりシーズン中にル・マン24時間レースが2回開催されることになるというレア・シーズンになるのだ。
新たにアメリカでのWECはこれまでのサーキット・オブ・ジ・アメリカ(オースチン)6時間から、アメリカでは伝統のセブリングに変更された。ここではIMSAシリーズのセブリング12時間レースが開催されているが、このレースと同時開催となる。WECはIMSAシリーズとの連携を意識しての日程設定だ。そのためIMSAの12時間レースが10時〜22時、その2時間後にWEC12時間レースを0〜12時に開催し、セブリング・サーキットとしては変則的な24時間レースとなる。
またこれまでのシルバーストン、ニュルブルクリンク、メキシコ、バーレーンがカレンダーから消えている。もちろん、FIAとの再契約で復活も考えられる。
そして次の2019/2020年シーズンは10月に開催される富士6時間レースが開幕戦となり、2020年6月のル・マン24時間レースが最終戦となる。
新しいレースカレンダーの導入と同時にシリーズコストの低減も大きなテーマだ。特にLMP1クラスはトヨタGAZOOチームだけになるが、LMP1クラスに復帰を希望するプジョーも、復帰の条件は大幅なコストダウンだ。
またLMP1クラスがトヨタGAZOOチームだけという大きな問題をクリアし、参加台数を増大させるためには新たな規則が必要になるため、今後早急にFIAやACO(フランス西部自動車クラブ)、トヨタなどと協議が開始されるという。FIAはLMP1のハイブリッドシステムは維持するとしているが、コストカットを理由にハイブリッド・システムが廃止になれば、トヨタは撤退するはずで、新たなプロトタイプ・スポーツカーの規則作りは難航しそうだ。