2015年4月12日、いよいよ2015年世界耐久選手権(WEC)シリーズの開幕戦を迎えた。第1戦となるシルバーストン6時間レースは、トヨタ、ポルシェ、アウディという3メーカーのハイブリッドマシン同士がしのぎを削り合い、6時間を通じてスプリントレースのような戦いが繰り広げられた。
シルバーストン6時間レースは4月10日の公式走行から始まった。トヨタだけではなく他のチームも6時間レース用のハイダウンフォース仕様の空力ボディのデータ収集、2015年仕様のミシュラン・タイヤの性能評価などを精力的に行なった。今年(2015年)導入されたレギュレーションによって予選、決勝レースで使用できるタイヤが6セットに減らされため、タイヤの特長、性能低下の状態を確認することがことが重要だった。
11日の公式予選は、今シーズンからそれぞれの車両で2人のドライバーが最低1周のタイムアタックを行ない、両ドライバーの最速タイムの平均タイムでグリッドが決まる方式となっている。
公式予選では、フリー走行から抜群の速さを見せつけていたポルシェ勢の17号車がポールを獲得。18号車が2番手に付けた。そのタイムはトヨタ、アウディを驚かせるレベルだった。シルバーストンのコースに適合しているといわれるアウディは3番手と5番手となり、トヨタは4番手、6番手となった。
12日の決勝レースは、ポルシェ2台を先頭に幕を開けたが、レースではポルシェにアウディ、トヨタが食らい付き、互いのボディが接触するほどの接戦がいたるところで繰り広げられた。レース開始から30分を過ぎたころ、LMP2クラスのマシンがコースオフしてイエローフラッグとなった。このタイミングでトヨタ、ポルシェはタイヤ交換、燃料補給を行なうなどレースは動き始めた。
ポルシェはスタート後1時間半まで2台で1-2体制を守り、トップの17号車を操るマーク・ウェーバーは他車を引き離しつつあったが、44周後にトランスミッションが故障して惜しくもリタイア。代わって18号車がトップに立ったが、レースの後半からはアウディ7号車と接戦になり、トップを争った。
しかし最後のピットインのタイミングでアウディ7号車がトップに立ち、ポルシェ18号車は追撃も及ばず2位に終わった。実はアウディ7号車はギヤチェンジのタイムラグが大きいという問題を抱えていたが、ドライバーはそれを克服して4.6秒差での優勝となった。
2番手ポジションからスタートしたアウディ8号車は、レース中に他車と接触し、ボディ交換のために2度のピットインを強いられ、5位でレースを終えた。トヨタはアウディと接戦を演じたものの、タイヤの摩耗やボディの小破などにより遅れを取り戻すことができず、1号車が3位、2号車は4位に終わった。
3週間後に行なわれるスパ・フランコルシャン6時間レースは、ル・マン24時間レースの前哨戦となる。そのため、ポルシェ、アウディの両チームは3台体制とし、それぞれの1台はル・マン用のロングテール型のボディで出場する。