2016年7月22日~24日、ドイツのニュルブルクリンク・グランプリコースで世界耐久選手権(WEC)第4戦、ニュルブルクリンク6時間レースが開催された。この第4戦は夏休み前のシーズン前半の最後のレースとなる。また、3メーカーのチームにとっては地元のレースとあり、いやがうえにも盛り上がった。
公式予選では、アウディ7号車が1分39秒444をマークしてポールポジションを獲得し、2番手も0.266秒差でアウディ8号車がつける。そして3、4番手にポルシェの1号車、2号車がつけている。ポルシェ勢はアウディに対して0.4秒遅れ。
一方、ル・マン24時間レースで勝利を寸前で逃したトヨタは、新開発のハイダウンフォース仕様を持ち込んだがアウディ勢に1秒以上の差をつけられ、5、6番手となった。トヨタ勢は公式予選の時、時々降り出す雨でタイヤ交換のタイミングがずれ、不本意なタイムに終わった。しかしいずれにしてもダウンフォース重視のコースでは、アウディがポルシェ、トヨタより一歩抜きん出ていることは確かだ。
■決勝レース
7月24日、5万8000人の観衆が見守る中でスタートが切られた。レースをリードしたのはアウディ7号車を駆るマルセル ファスラーで、ドライバー交代をしたレース開始から2時間を経過した時点で、アウディは1-2ポジションを占めていた。ポルシェはアウディに激しく食らい付いたが、アウディは押さえつけるという戦いの様相となった。
しかし、レース開始から3時間目に異変が起きた。2台のアウディが共に3度目のピットストップを終えた直後に、コース上のアクシデントによってイエローフラッグが出された。レギュレーションにより燃料タンク容量が多いポルシェはピットストップのタイミングはアウディ勢より遅いため、フルコース・イエローの間にピットインし、40秒のリードしていたアウディを逆転。イエローフラグが解除された時点で、トップに立ったポルシェ1号車とアウディ8号車との差が24秒、同じく7号車は29秒に広げられた。
ポルシェ2号車は波乱万丈のレースとなった。序盤からアウディと接戦を演じ、コースアウトするなどのアクシデントもあったが、後半にはフルコース・イエローフラッグの間に、絶妙のタイミングでドライバー交代を行ないに立つ。しかし、GTクラス車と接触してフロントボディを交換。このロスタイムを取り戻してトップを奪回したものの、接触時のペナルティで3位に後退。その後はアウディ7号車、8号車に挟まれる形になり、ボディtoボディのレースを続けた。しかし、土壇場になってリヤボディが破損し、これを修理した結果4位でレースを終えることになった。
トヨタはレースのスタート後、1時間半が経過した時点でトップのアウディ8号車から40秒遅れとなっていた。さらにレース中盤にはトヨタ5号車はGT車両と接触し、フロントボディを交換し、大きく遅れてしまった。さらにトヨタ6号車はエンジン部品がトラブルを起こし、ピットで5分間を要して修理を行なった。
このため、4度のフルコース・イエローフラッグのチャンスも生かせず、トヨタの2台はトップグループに迫る機会を完全に失ってしまい、5号車が5位、6号車が6位でレースを終えた。トヨタは、後半戦に向けボディの見直しを行なう計画を立てている。