【WEC2016】第2戦 スパ6時間レース アウディが今季初優勝

ルーカス・ ディグラッシ / ロイック・デュバル / オリバー・ジャービスが駆るウディ8号車
ルーカス・ ディグラッシ / ロイック・デュバル / オリバー・ジャービスが駆るウディ8号車が優勝

2016年5月4日~7日、世界耐久選手権(WEC)第2戦、スパ・フランコルシャン6時間レースがベルギーの山岳地方、スパ・フランコルシャンで開催された。気温が上昇する中で、トヨタが4時間の時点までレースをリードするもののリタイアとなり、アウディ8号車が今季初優勝を飾った。

スパ6時間は、ル・マン24時間レース直前のレースで、この天王山の24時間レースの行方を占うためには重要なレースと位置付けられている。公式予選では、またもやポルシェがハイパフォーマンスを見せつけ、1、2位を独占。2番手につけたトヨタに1秒の差をつけた。

しかし、トヨタとしては不本意な結果に終わった第1戦・シルバーストンのことを考えれば上出来で、トップを争うことのできるポテンシャルを備えていることを確信することができた。またトヨタは予選より決勝用のセッティングを重視しており、3、5番手に終わった予選結果には不安はない。

一方アウディは、8号車が4番手、7号車が6番手と、トヨタの後塵を拝した。しかしアウディも決勝レースのセッティングに集中しており、トヨタが予想より速いタイムを出したことでこのポジションとなった。しかしアウディは、第1戦でポルシェを上回るレースでのポテンシャルを見せているだけに、決勝レースではトップグループを形成することは間違いない。

QF
公式予選結果
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天気予報を覆す異例に高い気温の中で決勝レースのスタートが切られる

快晴で、気温が上がり、路面温度は50度に達する中で決勝レースはスタートした。レース序盤はポルシェ1号車がリードしたものの給油のためにピットインした結果、トヨタ5号車がトップとなり、レースに復帰したポルシェ1号車と接戦を繰り広げた。しかしポルシェ1号車は37周目にタイヤがパンクし、不運にも丸1周を走ってピットに戻ることになっため、ボディの各部を破損してしまった。

ポルシェ2号車
ポルシェ2号車
Porsche 919 Hybrid, Porsche Team: Romain Dumas, Neel Jani, Marc Lieb
2位に食い込んだポルシェ2号車
多くのトラブルが発生したポルシェ1号車
多くのトラブルが発生したポルシェ1号車

このボディ破損が原因で、その後もタイヤのパンク、ボディ補修、フロントデフの交換を行ないポルシェ1号車は戦線から脱落し、27位でゴールすることになった。一方、ポルシェ2号車はスタート直後は2番手を走行していたが、序盤にハイブリッド・システムが不調となり、その後はモーターパワーを十分に使用することは不可能になってしまった。ポルシェにとっては最悪ともいえるレース展開となったのだが、レース後半にはポルシェ2号車は3位に、終盤はトヨタの脱落により2位に浮上しゴールを迎えることができた。

アウディと接戦を繰り広げるトヨタ5号車、6号車
アウディと接戦を繰り広げるトヨタ5号車、6号車

トヨタは決勝では本領を発揮し、5号車は中盤からトップに立ち、早々とトラブルが発生した6号車もその後は3番手に付けて期待を抱かせた。5号車は4時間目までトップのポジションを維持し、後続するアウディに1周分ほどの差をつけていたが、突発したエンジントラブルにより大きく遅れ、かろうじて完走し26位でレースを終えた。6号車もエンジントラブルが発生し、リタイアに終わった。

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トヨタにとって、今回のTS050はトップを走行できる速さを見せ付けたが、次戦のル・マン24時間レースを考えるとエンジンの耐久性をどのように確保するのか? 残された時間が短いだけに難問を抱えている。

アウディ8号車
アウディ8号車

ポルシェ、トヨタだけでなくアウディもトラブルが発生した。7号車はレース序盤に激しいトップ争いのバトルを展開中、アンダーフロアを縁石に強打し、パーツ交換を余儀なくされ、交換作業に致命的な14分30秒の時間を費やした。さらにその後もボディカウルの交換が必要となり、その作業中のミスに対してドライブスルーペナルティを課せられるなど散々な結果となり、その後は挽回したものの5位でゴールすることになった。

何度もピット作業を強いられたアウディ1号車
何度もピット作業を強いられたアウディ1号車

WEC Spa 2016WEC Spa 2016

しかしアウディ8号車は、マイナートラブルはあったものの、他車のトラブル続出により2番手に浮上。最終的にはトヨタ5号車が脱落してトップに浮上し、そのままゴールを横切った。フォルクスワーゲン・グループのマティアス・ミューラー会長、アウディの技術開発担当のシュテファン・クニルシュ取締役が見守る中での幸運な優勝となった。また、今回は表彰台の総合3位のポジションにはLMP1のノン・ハイブリッドクラスのリベリオン・チームが立つという異例の表彰式となり、LMP1クラスのトラブル多発ぶりを物語っている。

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