【WEC2014】速報!ル・マンテストデートヨタがトップタイム 追うアウディ、ポルシェ

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テストデー恒例のレース出場マシン大集合

2014年6月1日、ル・マンのコースでは唯一のテスト走行ができるテストデーが行なわれ、トヨタTS040ハイブリッドが最速ラップタイムを叩きだした。そして、いよいよ11日から15日にかけて開催される24時間レース本番を迎えるために各チームとも最終的な準備に入った。

■トヨタ
6月1日に行なわれた恒例の公式テストデーでは、トヨタTS040ハイブリッドは終始ベストラップタイムを記録し、最終的に8号車がベストタイム、7号車が2番手のタイムとなった。トヨタTS040は、スーパーキャパシターに蓄積されたブレーキ時の回生電力により、加速時に前後の駆動軸に加えられるモーターアシスト合計は480ps、新開発の3.7L自然吸気V8型ガソリンエンジンが後輪に伝える520psと合わせると、システム全体では1000psのパワーがモノをいったのか。

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テストデーで最速タイムを記録したトヨタTS040ハイブリッド 8号車

トヨタ・レーシングの木下美明代表は、「TS040ハイブリッドと我々のル・マンへの道のりは、1年前のル・マンのレース直後から始まった。以来、チームや関係者全員でとてつもないハードワークをこなし準備してきた。2014年のル・マン挑戦に向けてやり残したことはないと思う。我々の目標はただ一つ、勝つこと。レースではライバルのパフォーマンスや運、天候などコントロールできない多くの要素があるが、我々は自分達が今までやってきたことを信じて、レースウィークも自分達のやるべきことを続けていくだけだ。ポルシェの復帰により今年のレースはこれまでよりもさらに熾烈なものとなるだろう。しかし、それは逆に言えば、勝利がさらにこの上ないものになることを意味している」と語っている。

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また村田久武モータースポーツユニット開発部部長は、「2014年の新レギュレーションにより、ついに我々のハイブリッド技術を全て活かした戦いを見せることができる。それは4輪でハイブリッドブーストを駆使できるということだ。このシステムこそ我々が当初から開発していたものであり、それが実現出来て嬉しい。ル・マンはエネルギー回生の面ではスパやシルバーストーンとは異なるサーキットだ。しかし我々のハイブリッドシステムはル・マンで最大の効果を得られるように設計されており、2013年までの経験からもラップタイムに非常に大きく貢献することが分かっている。ミュルサンヌストレートのシケインにおけるハードブレーキングで、6MJ(メガジュール)エネルギーをフルに回生できるので我々にとっては非常に期待できるところだ。ル・マンにおいて燃費は常に重要なポイントだが、我々はハイブリッド・エネルギーを上手く利用することで、燃料消費の面でもパフォーマンスの最適化を図れる」と語っている。

*1ジュール = 1W・1秒 = 1ワット秒を意味し、1メガジュールは1kWのシステムが1000秒間に行なう仕事を意味する。

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中島一貴もステアリングを握るトヨタ7号車

2014年の今シーズンはすでに2連勝し、テストデーでも最高の結果が得られただけに、トヨタはこかつてないほどの自信を持って24時間レースに臨むことができるのは間違いない。

■アウディ
アウディは24時間レースにR18 e-tronクワトロの3台体制で臨む。テストデーでも3台が走り込み、ラップタイムは3、4、6番手の順位となった。しかし、アウディ・チームはあらゆる面で24時間レースに備えていることにも注目すべきだろう。メカニックは早い時期から体力トレーニングを行なっており、2名で行なうタイヤ交換や給油作業のスピードと正確さについては数100回も練習するなど鍛え上げている。メカニックたちはなんと2014年1月の段階から週に2回、2時間のジムトレーニングを実施しているという。このトレーニングはチームドクターが提案したもので、さらにレースウイーク中のチームの栄養管理も徹底させるという。

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3カー出場で万全の体制のアウディ・モータースポーツ

また、ヨーストチームのメカニックたちは早い段階から2014年マシン用に特殊工具を準備しており、アッセンブリーにしたスペアパーツと特殊工具を使用することで、例えばリヤ・サスペンションの交換作業は5分以内に完了する。またリヤのエンジン部、ボディ、リヤウイング、ディフューザーのすべての交換は70秒以下でできるというから恐るべしだ。

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アウディで最速タイムを記録した3号車
WEC 6 Hours of Spa-Francorchamps 2014
2号車の女性エンジニア、レーナ・ガイデとロッテラー

テストデーで、アウディの3台は8時間で合計284周し、走行距離は3870kmに達した。もちろんこの走行距離は24時間レースの距離には達していないが、貴重な実戦ベースの走行データとなる。またアウディはこのテスト走行中に、最終的なエアロダイナミクスのチューニング、サスペンションのチューニング、タイヤの磨耗テストも行なっている。

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デグラッシ、デュバル、クリステンセンが乗るアウディ1号車

アウディ・モータースポーツの責任者、W.ウルリッヒ博士は、「ドライバーも我々チーム員のすべても、完璧で有意義なテストをこなすことができ、大いに喜んでいます。今回得られたデータを3台のマシンに盛り込み、決勝レースに備えます」と語っている。

■ポルシェ
ポルシェは919ハイブリッドを、未来の市販車のための技術プラットフォーム、実証実験と位置付けているが、ハイブリッドシステムのクラスはトヨタと同じ6MJ(メガジュール)クラスを選択したため、ル・マンの13.6kmのコースで1.67kWhが使用できることを意味する。2013年のル・マンでの優勝者の走行距離を想定すると、レース全体で581.2kWhの回生エネルギー量となり、e-Golfでアメリカの東海岸から西海岸まで走行できる電力量になるという。

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元F1ドライバーのマーク・ウェーバーを擁するポルシェ20号車

919ハイブリッドのシステムは、前輪は減速回生を行ない、V型4気筒ターボは通常のターボのウエストゲートに相当する部分にタービンジェネレーターを装備し、メインターボから排出される過剰な排気ガスエネルギーを使用して発電を行なうというシステムを採用している。前輪からの回生電力とタービンジェネレーターにより発電された排気ガス回生電力は、水冷リチウムイオン電池に蓄電される。したがって、919ハイブリッドは加速時でもエネルギーを回生できるのだ。

ポルシェは、蓄電装置としてスーパーキャパシター、フライホイールジェネレーターも検討したが、最終的にA123社製(エー・ワンツースリ)の超高出力密度のリチウムイオン電池がベストと結論付けている。結果的には、6MJクラスの500psオーバーのガソリンエンジンは、全長13.6kmのル・マンを1周するのに4.78Lのガソリンしか使用できず、これは2013年より30%も燃費が向上していることを意味するが、しかし919ハイブリッドはこれを問題なくクリアしている。

Porsche 919 Hybrid, Porsche Team: Timo Bernhard, Brendon Hartley, Mark WebberPorsche 919 Hybrid, Porsche Team: Romain Dumas, Neel Jani, Marc Lieb

ポルシェは、実はテストデー前の5月中旬にスペインのアラゴン・サーキットで長距離テストを実施している。この時、3日間の耐久テストで6600kmを走破したという。またこのテストにおいていくつかの問題点を修正し、テストデーでは決勝レースを想定して臨んでいる。特に、ル・マン専用のエアロダイナミクスとサスペンションの微調整を行なうことと、決勝レースを想定した作業を重点的に検証し、十分な成果が得られたとしている。

テストデーのラップタイムは14号車が5番手、20号車が7番手であったが、これは決勝レースを見据えたタイムと考えられる。ポルシェの隠し玉は、トヨタ、アウディに勝る燃費にあると考えてよいだろう。

伝統の耐久レース、ル・マン24時間レースは24時間だけの戦いではない。なぜならば、レースウィークの11日から始まる走行は、午後4時から4時間の練習走行から始まり、午後10時からの2時間の予選へと続く。レースウィークを合計すると走行時間はおよそ35時間にもなるのだ。予選は翌12日も継続され、さらに2回/各2時間の予選走行セッション(午後7時と午後10時から)が実施される。決勝レースのスターティンググリッドはこれらの予選セッション全ての中での最速ラップタイムで決定されることになる。

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ガレージ56の特別枠で出場する日産ZEOD-RCはLMGTクラスより速いタイムを記録

13日の金曜日にはル・マン市内中心部で伝統的なドライバーズパレードが行なわれ、ファンがドライバーと間近にふれあえる貴重な時間となる。そして14日の午前9時から45分間のウォームアップ走行が行なわれ、午後3時に24時間レースのスタートが切って落とされる。なお、下記のル・マン公式サイトで決勝レースのライブを楽しむことができる。

ル・マンテストデー 結果
 

ル・マン24時間レース公式サイト
FIA WEC公式サイト

COTY
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