2015年11月19日~21日、中東のバーレーンで世界耐久選手権(WEC)シリーズの最終戦となる第8戦、「バーレーン6時間レース」が開催された。ポルシェ・チームのマニファクチャラーズ・タイトルは第7戦の上海で決定しているが、ドライバーズ・チャンピオンの決着はこの最終戦まで持ち越されていた。
公式予選では、やはりポルシェ919ハイブリッドが他車を圧倒し、ポールポジションの17号車は3番手のアウディ7号車に1.6秒もの差をつけた。予選5番手となったトヨタ1号車は2.4秒差と水をあけられている。
ドライバーズチャンピオンのポイント争いは、ポルシェ17号車(T.ベルンハルト、M.ウェーバー、B.ハートレイ)がリードし、アウディ7号車(M.ファスラー、A.ロッテラー、B.トレルイエ)が追う展開で、アウディはポルシェを抑えることができるか?
決勝レースはスリルに満ちたレースとなった。ポルシェ17号車は、ランキング2位のアウディ7号車に13ポイント差をつけた状態でスタートした。今シーズンのポルシェの勢いを考えると、バーレーンでのドライバーズタイトル獲得はさほど難しくないように思わた。しかし、スタート後30分でポルシェ17号車は異常なパワーダウン状態となりピットに戻り、8分半の時間をかけてアクチュエーターを交換し、大きく遅れた。ポルシェに一気に暗雲が立ち込めたのだ。その後、17号車のドライバー達は最後尾から全力で追い上げ、最終的に5位でのフィニッシュとなった。
アウディの希望を打ち砕いたのは、ポルシェ18号車だった。18号車は2番手からスタートし、10周目にはアウディ8号車に抜かれてしまった。しかしアウディ8号車にはトラブルが発生し、アウディ7号車とポルシェ18号車との接戦が繰り広げられた。だが、この接戦はポルシェ18号車が終盤にアウディの追撃を振り切って決着を付け、優勝を果たした。この結果、5位でフィニッシュしたポルシェ17号車のT.ベルンハルト、M.ウェーバー、B.ハートレイ組がアウディ7号車のドライバーズポイントを上回り、チャンピオンが決定した。
現場にはポルシェ社O.ブルーメCEO、ポルシェ・ホールディングスのW.ポルシェ会長、そしてフォルクスワーゲン・グループのM.ミュラー会長というグループ各社の首脳がレースの行方を見守り、歓喜の輪に加わった。ポルシェ社はすでに少なくとも2018年まではWEC参戦を継続することを決定しており、現在ディーゼル・エンジンの排ガスシステムでの大きな問題を抱えているフォルクスワーゲン・グループだが、ポルシェ、アウディのWEC参戦、フォルクスワーゲンのWRC参戦を継続することを発表している。
トヨタは、1号車の中島選手がレース序盤にLMP2クラスの車両と接触、フロントカウルの交換を強いられた。その結果、2号車が前に出ることになる。さらに、レースの折り返し地点を過ぎた頃、2番手を走っていたアウディ8号車がピットへ入り15分間を費したためトヨタ勢のポジションがが繰り上がる。
2台のTS040ハイブリッドは3位、4位に順位を上げ、そのままゴールを迎えた。トヨタの今シーズンの結果は、マニュファクチャラーズ選手権3位、デビッドソン、ブエミがドライバーズ選手権5位、ブルツ、サラザン、コンウェイが6位という順位に終わった。トヨタは2016年シーズンに向けて、新しいマシンを開発中で、今シーズンの雪辱を期していることは言うまでもない。