2013年10月18日~20日、富士スピードウェイにおいてFIA世界耐久選手権シリーズ第6戦「富士6時間レース」が開催された。決勝レースは雨が降り続けるというヘビーウェット状態となり、セーフティカーが先導した合計16周したのみでレースは終了した。規則によりレースは成立し、先頭のトヨタTS030 7号車が優勝という形で終了した。
10月19日の公式予選は、前夜の冷え込みにより初冠雪した富士山を望む天候のもとで行なわれた。予選ではアウディ2台とトヨタ2台の激しいラップタイム競争が繰り広げられたが、最終的に1番手:アウディ1号車、2番手:トヨタ8号車、3番手:トヨタ7号車、4番手:アウディ2号車となった。アウディ2号車はプラクティス中に大クラッシュし、本調子を出せないで終わっている。しかし、いずれにしても4台とも1分26秒台で、その差はほとんどなく、決勝レースの行方は全く予想できなかった。
10月20日の決勝レースは天気予報通り強い雨にたたられた。富士スピードウェイのコースの一部は水はけが悪く、軽量で高速のLMP1/2クラスにとってはあまりにもリスクが大きすぎた。また天候の回復の見込みはなく、主催者、FIAはけっきょくレースを無理やり成立させる決断を下し、赤旗によるレース中断時間以外の16周の走行時間はすべてセーフティカーによる先導走行で、実際のレースが行なわれないという前代未聞のレースとなった。
大会審査委員会は今回のレースを天災による不可抗力の中止と認定し、各ドライバーにはレース結果を元に通常の半分のポイントが付与された。レース走行は本来はアウディの1号車が優勝するはずだったが、セーフティカー先導走行中に吸気口からエンジンに異物が混入し、アウディチームは、安全確保を最優先させるため大規模な修復作業を決意。チームは2度目の赤旗中断中に修復作業を行なったが、セーフティカー先導の隊列に戻ると下位になり、LMP1クラス4位、総合26位に終わった。このため2番手に着けていたトヨタ7号車に優勝が転がり込んだ。アウディ2号車(デュバル/クリステンセン/マクニッシュ組)が2位となった。
トヨタでは、8号車がレーススタート前の周回後にピットで燃料補給を行ない、コースに戻る時にピット出口が閉鎖され、ピットスタートに。その後は追い越し禁止走行のため本来のポジションを回復できないというハプニングもあった。7号車が優勝とはなったが、トヨタチームにとっても戦いのない苦い勝利となった。
レース終了後、ポイントはマシンをドライブしなかったドライバーにも与えらることになり、その結果アウディはトヨタに対して66.5ポイントのアドバンテージを獲得して残り2大会を待たずに今年のWECマニュファクチャラーズチャンピオンを決定した。またドライバーポイントのリーダーのアウディ2号車は、今回のレースでアドバンテージを40.75ポイントに広げている。