2012年9月27〜29日、WEC第6戦は、ペルシャ湾に浮かぶバーレーンのサキール砂漠にあるバーレーン・インターナショナル・サーキットで開催された。WEC第5戦のサンパウロで6時間レースでトヨタTS030ハイブリッドに敗れたアウディは、これまでのR18 e-tronクワトロとR18 ultraという2カー体制から、ハイブリッドマシンのR18 e-tronクワトロ2台体制に変更してこのレースに臨んでいる。
バーレーン6時間レースは、中東の強烈な日差しと暑さ避けるために決勝レースは午後4時にスタート、午後10時にゴールとなるレースで、半分以上がナイトレースとして開催された。エントリー総数は28台。LMP1クラスが7台、LMP2クラスが11台、LM GTE Proクラスが4台、LM GTE Amクラスが6台という顔ぶれだ。
9月28日に行われた公式予選では、クリステンセン/マクニッシュ組のアウディ2号車がポールポジション、ロッテラー/トルルイエ/ファスラー組の1号車が2番手、そして3番手にトヨタTS030ハイブリッドという順番に。
9月29日午後4時に決勝のスタートが切られた。ポールポジションのアウディNo2カーが先頭に立ったが、3番手からスタートしたトヨタTS030が2番手のアウディをかわしただけでなく、トップのアウディをも抜き去って先頭に立つ。しかも2番手に落ちたアウディ2号車は日没後に片側ヘッドライトが点灯せず、ピットでの修理を余儀なくされた。その後もこの2号車は次々にマイナートラブルに見舞われ、後退していく。
レースの半ばに差し掛かってもトヨタがトップを守り、約20秒差を縮めようとアウディ1号車が追走する。しかし、トヨタに、ゼッケンの夜間照明が消えるというトラブルが発生し、ピットで修理したため、7分間を費やした。
こうしてアウディ1号車がトップに立つことができた。遅れたトヨタは6番手にまで下がり、そこから猛追を見せるが、スタート後4時間を過ぎた頃にHPD ARX-03a・ホンダと接触事故を起こし、サスペンションを破損してリタイアとなってしまった。
このためアウディ1号車のロッテラー/トレルイエ/ファスラー組がWEC3度目の優勝を飾る結果となった。2位にはアウディの2号車、クリステンセン/マクニシュ組が入り、アウディの1-2フィニッシュが演じられサンパウロの雪辱を果たした。
さて、いよいよシリーズ第7戦、富士6時間レースが目前に迫ってきた。富士ではトヨタは中島一貴選手を復帰させ、ブルツ/ラピエール/中島一貴組、アウディはもちろん2台のR18 e-tronクワトロを持ち込んでいる。ドライバーの組合わせはこれまで通りだ。
すでに各チームは日本に到着し、9日に富士スピードウェイに入り、チームスタッフもマシンも10日から行われるテスト走行の準備を進めている。トヨタにとってはホームコースとなるため、是が非でも優勝を狙いたいところだが、アウディもR18 e-tronクワトロのジャパン・プレミアで勇姿を見せるために万全の準備を整えている。
レースの見所は、F1マシンをはるかに上回るストレートでの圧倒的なスピードだけではなく、燃費はアウディ勢にやや劣るがパワーのあるトヨタTS030と、反面、タイヤの磨耗が厳しいアウディR18 e-tronクワトロのレース作戦、ピット作戦の違いが興味深い。サンパウロやバーレーンでは気温が高いことで照明など電気系のトラブルが発生したり、タイヤの磨耗が厳しかったりしたが、富士でのレースはそうした心配もなく、まさに2メーカーのハイブリッドマシン同士の真っ向勝負となるはずだ。
タイムスケジュールは次の通り。
10月12日(金) 10:50〜12:20 15:30〜17:00 公式練習走行
10月13日(土) 13:00〜13:50(GTEクラス) 14:00〜14:20(LMPクラス) 公式予選
10月14日(日) 11:00〜17:00 決勝レース