ABB FIAフォーミュラEシーズン11 第16戦イギリス・ロンドンの最終戦は前日の第15戦優勝に続いてジャガーTCSのニック・キャシディが優勝した。第14戦のドイツ・ベルリンでも勝っており、ラスト3レースで3連勝を果たしている。
最終戦はすでにドライバーズタイトルをニッサンのオリバー・ローランドが獲得しており、残りはチームタイトルとマニファクチャラータイトルを残すのみとなった。チームタイトルはポルシェがトップで244ptでニッサンが207ptで追いかけている。最終戦で獲得できる最大ポイントはポールポジションの3点、レース中のファステスト1点、そして優勝の25点で最大47ptが獲得できるため、逆転はあり得る。

マニファクチャラーは、そのメーカーのPTを使うドライバー2名のポイントが入るので、優勝と2位のポイント25点+18点で最大43ptが獲得でき、トップのポルシェが361pt、ニッサンが338ptなので、こちらも逆転が可能という状況だった。
最終戦のロンドンは前日につづき、曇り空で雨の心配もない中で行なわれた。グループ予選A組ではモルタラ、デ・フリース、エバンス、キャシディがデュエルスに進出。マヒンドラ2台とジャガーが2台だった。グループBはティクタム、ギュンター、ヴェアライン、ヴァンドーンでポルシェPTが2台、ステランティスPTが2台で、ニッサンPTは一台もなかった。
デュエルスではドライバーランキングで2位のヴェアラインに12点差まで詰めているジャガーのニック・キャシディとの争いが注目。PPの3点はキャシディが絶対に欲しいポイントだ。
デュエルス・セミファイナルではジャガー同士となり、エバンスとキャシディが対決。するとチームオーダーが入り、エバンスが勝っていたものの、最終コーナーで大きく減速し、アタックに失敗していたキャシディが勝利する展開だった。

迎えたデュエルス決勝はそのキャシディとティクタムが戦うが、ティクタムは前戦のペナルティがあり5グリッド降格が決定している。そのためキャシディのポールポジションが確定しているのだが、PPのポイントはPPを取らないと獲得できないため、必死にキャシディはアタックをした。だが、ティクタムに敗れる波乱があった。
決勝
決勝レースは2.080Kmのコースを34周で競うが今回はピットブーストはなく、マネージメントレースで展開されることが予想された。

前日はオープニングラップでクラッシュが続出しいきなりSCでの展開だったが、最終戦は綺麗なオープニングラップではじまり、1周1分22秒という超スローペースで始まった。案の定エネルギー・マネージメントレースを各チームが計画しており、ペースが遅すぎるため、誰もがいつでも順位を入れ替えることが可能な展開。それをドライバーは理解しているため、無理に順位を上げるようなことはせず、トレインのマネージメントレースで展開していた。
中盤に入るとアタックモードを使いはじめ、そろそろトラックポジションが重要になり始める。すると、接触が起こり始め、小さな接触を含めると全てのコーナーでぶつかり合う展開に変わっていく。コース幅が狭いため、アタックモードを使っても追い抜くことが容易ではないため、無理に抜こうとするため、そうした接触が増えてくるわけだ。

16周目にはローランドが無理な走行でミュラーのマシンに接触し、フロントを大破しレースをリタイヤしている。またその前の10周目にはニッサンPT同士のナトとバーナードが接触し、バーナードをリタイヤに追い込んでいる。その影響でナトは最下位を走行しており、ニッサンPTはバード1台だけになってしまう。この時点でポルシェのチーム優勝が確定したようなものだった。
そして後半、今度はジャガー勢が1、2位体制を整えており、なんとジャガーチームはニッサンチームをうわまるポイントが獲得できる可能性が出てきたのだ。またドライバーチャンピオンシップの2位争いのヴェアラインとキャシディでは、21周目の時点でキャシディはトップでアタックモードを1回残しており、ヴェアラインは4位でアタックモードを使い切っている。つまり圧倒的にキャシディが有利の展開になっていたのだ。


そして終盤、キャシディはトップ走行をしながら6分間アタックモードを使って、ファステストの1点を狙って全開走行を披露する。一方のヴェアラインは5位に落ち、その後もズルズルと順位を落としていき、マシンが不調であることを無線で伝えていた。
この時点でドライバーランキングもキャシディの2位浮上が決まり、結果、チームランキングはポルシェ、ジャガー、ニッサンとなり、マニファクチャラーはポルシェが獲得した。

シーズン11チームランキング結果
POSITION | TEAM | POINT |
1 | タグホイヤーポルシェ | 256 |
2 | ジャガーTCS | 227 |
3 | ニッサン | 207 |
4 | マヒンドラ | 186 |
5 | DSペンスキー | 184 |
6 | ネオムマクラーレン | 143 |
7 | アンドレッティ | 141 |
8 | エンビジョン | 107 |
9 | マセラティ | 102 |
10 | クプラキロ | 86 |
11 | ローラヤマハ | 32 |
シーズン11ドライバーランキング結果
POSITION | DRIVER | TEAM | POINT | POWER TRAIN |
1 | オリバー・ローランド | ニッサン | 184 | ニッサン |
2 | ニック・キャシディ | ジャガーTCS | 153 | ジャガー |
3 | パスカル・ヴェアライン | タグホイヤーポルシェ | 145 | ポルシェ |
4 | テイラーバーナード | ネオムマクラーレン | 112 | ニッサン |
5 | アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ | タグホイヤーポルシェ | 111 | ポルシェ |
6 | ジャン・エリック・ヴェルニュー | DSペンスキー | 99 | ステランティス |
7 | ジェイク・デニス | アンドレッティ | 93 | ポルシェ |
8 | ニック・デ・フリース | マヒンドラ | 92 | マヒンドラ |
9 | エドアルド・モルタラ | マヒンドラ | 88 | マヒンドラ |
10 | マキシミリアン・ギュンター | DSペンスキー | 85 | ステランティス |
11 | ダン・ティクタム | クプラキロ | 85 | ポルシェ |
12 | セバスチャン・ブエミ | エンビジョン | 84 | ジャガー |
13 | ミッチ・エバンス | ジャガーTCS | 74 | ジャガー |
14 | ストフェル・ヴァンドーン | マセラティ | 62 | ステランティス |
15 | ニコ・ミュラー | アンドレッティ | 48 | ポルシェ |
16 | ジェイク・ヒューズ | マセラティ | 40 | ステランティス |
17 | ルーカス・ディ・グラッシ | ローラヤマハアプト | 32 | ヤマハ |
18 | サム・バード | ネオムマクラーレン | 31 | ニッサン |
19 | ロビン・フラインス | エンビジョン | 23 | ジャガー |
20 | ノーマン・ナト | ニッサン | 21 | ニッサン |
21 | フェリペ・ドルゴヴィッチ | マヒンドラ | 6 | マヒンドラ |
22 | セッテ・カマラ | ニッサン | 2 | ニッサン |
23 | デビット・ベックマン | クプラキロ | 1 | ポルシェ |
24 | ゼイン・マローニ | ローラヤマハアプト | 0 | ヤマハ |
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