【ABB FIAフォーミュラEシーズン11】第13戦ドイツ・ベルリン ジャガーのミッチ・エバンスが優勝 チャンピオン争いのニッサン・ローランドはノーポイント


ABB FIAフォーミュラEシーズン11も大詰め。このドイツ・ベルリンの第13戦を含め、残りは4レース。ここまでニッサンのオリバー・ローランドがチャンピオンシップを大きくリードし、この週末のダブルヘッダーの結果次第ではチャンピオンが決まる可能性があった。

第12戦終了時点のチャンピオンシップポイント

PositionDriverTeamPoint
1オリバー・ローランドニッサン172pt
2パスカル・ヴェアラインタグホイヤー・ポルシェ103pt
3アントニオ・フェリックス・ダ・コスタタグホイヤー・ポルシェ98pt

さて、土曜日に行なわれた第13戦はベルリンのテンペルホフ元飛行場の駐機場跡で毎年開催されているが、今回はレイアウトが少し変更され、コーナーのRの見直しやコース幅の拡張などが行なわれている。全長2.374kmのコースを39周で競うレースで、30秒間の急速充電をする「ピットブースト」もある大会だ。

土曜日のワンデーで予選、決勝が行なわれる第13戦は、生憎の雨でフリープラクティス2がキャンセルされるほどの雨量。さらに路面はコンクリート舗装で、フラットな構造のため、水捌けも悪く、至る所が水浸しになっていた。そのため予選も大きくディレイされ、また上位8台によるデュエルスもキャンセルとなった。

決勝のグリッドはグループ予選のタイムでポールポジションを決め、ポールを取ったグループが奇数のポジションを獲得するルールに変更されてA、Bグループの予選が雨中で行なわれた。

気になるローランドはグループA組で12分間の予選を走る。天候は回復傾向にあり、雨も小雨。周回ごとにラップタイムが上がるコンディションとなり、各ドライバーは予選アタックを12分間続けるという厳しい予選になった。

A組ではトップタイムをジャガーのミッチ・エバンスが常時トップを譲らず1位。ローランドは2番手につける好位置を獲得した。直接ライバルのポルシェのヴェアラインはB組の予選を走行し、3番手のタイムをマーク。トップはエンビジョンのロビン・フラインスでA組、B組ともにジャガーPTを採用するチームがトップをわけあった。ちなみに、エバンスが1分11秒021でフラインスが1分11秒109。0秒088秒差でA組エバンスがポールとなり、ローランドは3位のグリッド。ヴェアラインは9位のグリッドからのスタートとなった。

決勝レース

決勝レースもウエット路面のままでスタートし、2周目に早くももセーフティカーが入る展開。ただコース幅が広いため、ラインの自由度も高く、いつもの公道レースよりは接触は少なくクリーンな展開で行なわれた。

第13戦はピットブーストがあるため、ポルシェ勢をはじめ多くのチームが序盤からアタックモードを使い、バッテリー残量を減らす作戦。残量60%以下、40%以上のタイミングでしかピットブーストができないため、そのタイミングを手中に収めたいわけだ。

そうした中、ローランドのアタックモードはトップグループが使い終わったあとにアタックする作戦のようで、ワンテンポずらした使い方をしていた。

23周目あたりになるとピットインするマシンが増え、順位は混沌とする。ローランドはやや遅れて26周目にピットインをし、27周目全車がピットブーストを終えると9番手に下がっていた。このあたりの戦略は難しい判断だ。

29周目にベックマンがアクシデントでコース上にストップしたため、SCが入り、残り周回数を考えるとアタックモードを消化していないマシンはSC明けが勝負になる展開に変わった。

32周目にリスタートとなり、ほぼ全車がアクティベートゾーンへ飛び込み、アタックモードを使う。AWDとなり、350kWにパワーアップするとRWDの300kWとは段違いのスピードになる。ウエット路面ではその違いが顕著で、1ラップで3秒から4秒もラップタイムが上がるのだ。

順位はエバンス、ヴェアライン、ギュンター、フラインス、ダ・コスタ、バーナード、モルタラでローランドは低迷している。すると35周目、ローランドはマシン後方を追突され、マシンがダメージを受けピットイン。走行不可能なダメージのため、ローランドは今季初のリタイヤとなった。

これでローランドのチャンピオンシップポイントはゼロとなり、ヴェアラインが何点獲得するのかに注目が集まる。現在2番手。2位は18点だ。しかし、雨の中ジャガーパワートレインは好調でエバンスがどんどん逃げる展開。

SCによるアディショナルラップが2周加算され41周のレースとなったが、エバンスは危なげなくトップチェッカーを受けた。そしてヴェアラインは2位でフィニッシュ。さらにファステストをヴェアラインが記録しているため1点プラスの19点を獲得することに成功した。

そしてチームポイントでもニッサンはゼロポイントだった。もう一台のニッサンはノーマン・ナトーだが、今回WECへの出場のため、代役としてセッテ・カマラがドライブしていたが、ノーポイントに終わっている。

一方、チームポイントトップのポルシェは3位にダ・コスタが入りビッグポイントを獲得したかに思えたが、5秒のタイムペナルティが課せられ、結果10位フィニッシュとなっている。

これでチャンピオンシップはローランドがトップで変わらないもののギャップは50点差。またチームポイントはポルシェとニッサンではレース前は11点差だったが、30点差に開いてしまった。

残りは翌日13日の第14戦(ベルリン)と7月末に行なわれるロンドンのダブルヘッダーを残すのみとなった。ローランドのシリーズチャンピオンとニッサンのチーム優勝をかけて、残り3戦での争いが面白くなってきた。

第13戦結果

PositionDriverTeamPoint
1エバンスジャガーTCS25
2ヴェアラインタグホイヤーポルシェ19
3モルタラマヒンドラ15
4バーナードネオムマクラーレン12
5キャシディジャガーTCS10
6ギュンターDSペンスキー8
7ブエミエンビジョン6
8ミュラーアンドレッティ4
9ティクタムクプラ・キロレース2
10ダ・コスタタグホイヤーポルシェ1

第13戦終了時点シリーズランキング

PositionDriverTeamPointGap
1オリバー・ローランドニッサン172
2パスカル・ヴェアラインタグホイヤーポルシェ122−50
3テイラー・バーナードネオムマクラーレン
104−68
4アントニオ・フェリックスダ・コスタタグホイヤーポルシェ99−73
5ダン・ティクタムクプラ・キロレース82-90
6エドアルド・モルタラマヒンドラ80-92
第14戦終了時点で58点差以上つけばローランドのチャンピオンが決まる。

第13戦終了時点チームポイント

PositionDriverPoint
1タグホイヤーポルシェ221
2ニッサン191
3DSペンスキー153
4マヒンドラ136
5ネオムマクラーレン135

★第1戦 サンパウロ
★第2戦 メキシコシティ
★第3戦 ジェッダ
★第4戦 ジェッダ
★第5戦マイアミ
★第6戦、第7戦モナコ
★第8戦東京
★第9戦東京
★第10戦上海
★第11戦上海
★第12戦ジャカルタ

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