ABB FIAフォーミュラEシーズン11の第11戦はダブルヘッダーで、前日の第10戦につづいて中国・上海サーキットで行なわれた。
6月1日(日)は激しい雨に見舞われ、予選もままならい状況で始まった。ディレイを重ねて、始まった予選はグループ予選だけが行なわれ、デュエルスは実施しないと決定。そしてA、Bグループのトップタイムを比較し、速いタイムを出した選手がポールポジションとなり、ポールを取ったドライバーが属したグループから交互にスタート順位を決めるという方式に変更されて行なわれた。

グループAの予選ではキャシディ、ヴェアライン、ヒューズ、デ・フリースという順で、グループBはダ・コスタ、ディ・グラッシ、ヴェルニュー、ヴァンドーンとベテラン勢がどちらも上位を締め、またキャシディのタイムがもっとも雨量の少ない好条件だったため、そのままポールポジションを獲得した。その結果、Aグループが奇数グリッドで、Bグループが偶数グリッドとなった。
今季のジャガーPTは不調続きで予選、決勝ともに上位に入れない苦しいシーズンを戦っており、キャシディのポールは変則予選とは言え、チームにとっても朗報だった。

そして2時間後に行なわれた決勝もスタートディレイを繰り返しつつも、レースは28周で行なわれた。ただし、SC先導でのスタートとなり、SCが1分30秒以上入ると周回数が1周プラスされるルールが適用されている。コース上はレコードラインがかろうじて水がはける状況で、完全なヘビーウエット状態で始まった。
SC先導は8周までつづき、グリーンフラッグとなった。この時点でSCは7分程度走行していたため、+3周がアディショナルラップとして加算されることになる。

こうしたヘビーウエットではコースアウトするマシンや、激しくスピンをするマシンも数多く出たが、コース幅が広いことと、エスケープも広いことからクラッシュには至らず、コースオフした直後にレースに復帰できるマシンが続出した展開だった。
そして、アタックモードも使いこなすことが難しく、レコードラインを外すと止まりきれない状況となるため、ストレートの加速で追い抜きをしても止まれずコースアウトというシーンも多々あった。そのため、いつものレースのように順位が目まぐるしく入れ替わり、アタックモードになると順位を把握することが困難になるといった展開は起こらなかったのだ。
ドライバーも慎重になり、順位争いは大人しく、どちらかと言えばコースアウトしないように、コース上に留まることに注力するような展開が終始で、ポールポジションからスタートしたキャシディはトップをキープ。そのままトップでチャッカーを受けることができたのだ。

また2位、3位はポルシェのヴェアライン、ダ・コスタと続き、チームポイントでニッサンを上回りチーム順位は再びトップになった。そのニッサンのローランドは13位、ナトが21位、そしてニッサンPTを搭載するマクラーレンのバーナードが10位、バードが15位と低迷した。

もっともキャシディが完全優勝はしたものの、チームメイトのエバンスが14位で、ジャガーPTを搭載するエンビジョンもフラインスが8位、ブエミも18位と低迷しており、根本的な解決があったのかどうか疑わしい。また登り調子のデ・フリースやティクタム、マローニ、ディ・グラッシもコースアウトを何度かしており、上位進出はできないレースとなった。
次戦は6月21日インドネシア・ジャカルタでのレースとなる。
第11戦終了時点 チャンピオンシップ
順位 | ドライバー | チーム | ポイント |
1 | オリバー・ローランド | ニッサン | 171pt |
2 | パスカル・ヴェアライン | ポルシェ | 103pt |
3 | アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ | ポルシェ | 88pt |
4 | テイラー・バーナード | マクラーレン・ニッサン | 86pt |
5 | ジャン・エリック・ヴェルニュー | DS | 74pt |
6 | マキシミリアン・ギュンター | DS | 71pt |
7 | ニック・キャシディ | ジャガー | 58pt |
8 | ニック・デ・フリース | マヒンドラ | 56pt |
9 | ジェイク・デニス | アンドレッティ・ポルシェ | 56pt |
10 | ダン・ティクタム | クプラキロ・旧ポルシェ | 55pt |
第11戦終了時点チーム順位
順位 | チーム | ポイント |
1 | タグホイヤー ポルシェ フォーミュラEチーム | 191pt |
2 | ニッサン フォーミュラEチーム | 190pt |
3 | DS ペンスキー | 145pt |
4 | ネオム マクラーレン フォーミュラEチーム | 113pt |
5 | マヒンドラレーシング | 103pt |
6 | マセラティMSGレーシング | 89pt |
7 | アンドレティフォーミュラE | 88pt |
8 | ジャガーTCSレーシング | 83pt |
9 | エンビジョンレーシング | 62pt |
10 | クプラキロ | 55pt |
11 | ローラヤハマABTフォーミュラEチーム | 30pt |
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