【フォーミュラEシーズン10】第1戦メキシコシティ パスカル・ヴェアラインがポール to ウインで開幕戦を飾る

世界最速の電気自動車によるレース「フォーミュラEシーズン10」がメキシコのエルマノス・ロドリゲスサーキットで開幕戦を迎え、ポルシェワークスチーム「TAG HEUER PORSCHE FORMULA E TEAM」のパスカル・ヴェアラインがポールtoウインを飾った。

パスカル・ヴェアライン

FEシーズン10は23年から導入したGen3マシンを継続採用し、ハンコックタイヤのワンメイクでシーズンを戦う。シーズン9からの変更点は決勝レースで30秒程度のピットストップを行ない、充電をすることになるが、運用は第6戦のイタリア以降を予定している。そのため、開幕戦のメキシコでは昨年と同じフォーマットでのレース開催となった。

またドライバーのチーム間移籍も多数あり、別表を参照してほしいが、新人ドライバーはMASERATI MSG RACINGのジャン・ダルバラが唯一となっている。ダルバラはシーズン9ではマヒンドラ・チームのリザーブドライバーでF2の経験もあり、マセラティのシートを獲得している。

予選フォーマットに変更なし

さて、開幕戦の予選は例年通り、Aグループ、Bグループに分かれ、各組上位4台がデュエルスに進出する。通常、A組、B組の組み分けはシリーズランキングの偶数順位と奇数順位で分けるが、開幕戦は各チーム内で割り振りを委ねる形でグループ予選が行われた。

予選は12分間のうち6分経過までに、1回のアタックを計測する必要があり、残りの6分でタイムアタックをするという方式だ。マシン出力は300kWで行なわれ、Aグループからデュエルスに進出した4台は、トップ通過がエンヴィションのロビン・フラインス、DSペンスキーのストフェル・ヴァンドーン、ジャガーTCSのニック・キャシディ、そしてタグホイヤー・ポルシェのパスカル・ヴェアラインの4台。

「タグホイヤー・ポルシェ」パスカル・ヴェアライン

BグループはマセラティMSGのマキシミリアン・ギュンターがトップ通過し、続いて、NEOMマクラーレンのジェイク・ヒューズ、エンヴィジョンのセバスチャン・ブエミ、ジャガーTCSのミッチ・エバンスの4台が通過した。

パワートレインではジャガーユニットを使う4台全てがグループ予選を通過し、ポルシェ、NISSANが1台、DSが2台という結果で、シーズン9と変わらずジャガーパワートレインが強さを見せていた。また昨シーズンのチャンピオン、アンドレッティのジェイク・デニスはグループBの7番手でデュエルスに進出できず、NISSANの2台も進出できなかった。

デュエルスはポルシェVSジャガー

デュエルスではマシン出力が350kWへと変更され、1ラップのタイム競争を1対1の対決方法でトーナメントを勝ち上がるやり方だ。初戦のQuater Finalではキャシディとヴァンドーンが戦い、元F1ドライバーを寄せ付けないキャシディの強さが光った。ヴェアラインとフラインスも見応えを期待したものの、フラインスが1コーナーをオーバーランし、あっさり決着してしまった。そしてブエミ対ヒューズでは大ベテランのブエミが途中リードされながらも逆転で勝ち上がった。最後の組み合わせエバンスとギュンターで、僅差でエバンスが勝ちあがった。

「ジャガーTCS」ミッチ・エバンス

続くSemi Finalでは、3台のジャガーユニットマシン対ポルシェの戦いになり、最初のキャシディ対ヴェアラインはヴェアラインが意地を見せて逆転勝利。そしてブエミとエバンスはジャガーサテライト対ジャガーワークスとなり、サテライトのブエミが勝ち上がった。

「エンビジョン」セバスチャン・ブエミ

そしてFinalではヴェアラインとブエミというある意味想定外の戦いで、過去の対戦成績もなく今回が初対決となった。結果はポルシェワークスの意地か、ヴェアラインがブエミを下しポールポジションを獲得した。

「タグホイヤー・ポルシェ」パスカル・ヴェアライン

混乱のない決勝レース

決勝レースは1周2.630kmの特設コースを35周で競い、アタックモードは昨シーズン同様8分間を2回にわけて使い切る規則。今回のアクティベートゾーンはスタジムエリアのアウトコースに設置され、ここを通過すると確実に順位を落とす設定になっていた。

ポールポジションがヴェアライン、続いて、ブエミ、ギュンター、キャシディ、エバンス、ヒューズという順。NISSANの二人はサッシャが9位、ローランドはなんと20番手からのスタートになった。またチャンピオンのデニスも14位からのスタート。さらにシーズン7のチャンピオンのニック・デ・フリースもFEに戻り、今季はマヒンドラから参戦するも22位の最下位からのスタートとなった。

スタートはパーマネントコースだけにコース幅があり、混乱なく全車が駆け抜けていく。フォーミュラEはコース幅の狭い公道でレースをする前提だが、例外的にこうしたサーキットでも開催されている。こうしたパーマネントコースは走行ラインも絞りやすく、言い方を変えれば抜きつ抜かれつが起きにくいわけだ。

全車が同じマシンを使い、パワートレインなど一部は性能競争領域で残るものの、バッテリーも共通であり、タイヤもワンメイクということから予選タイムを見ても0.1秒以内にほぼ全車が入る僅差。それだけにポジション変化は起きにくい。

そのためアタックモードが有効なのだが、それも全車が同じようにタイムロスをし、同じようにポジションダウン、アップをするため、アタックモードもあまりキーになっているとは言い難い展開だ。

ミッチ・エバンス

そんな中8ラップ目にフラインスが突如コントロールを失ってクラッシュする。そのためイエローフラッグから、FCYへと変わり、そしてSCへと変わるアクシデントがあった。12周目に再開されるとやはり、スタート順をそのまま維持しており、アタックモードに先に入ったヴェアラインとブエミの順は入れ替わっている。が、SC明けにブエミがアタックモードに入ったため、再びヴェアラインがレースを引っ張ることになる。

全車が似たようなタイムで走行できるとはいえ、やはり10位以下になるとレースならではの順位変動も起こり、ベテラン勢はジワリと順位を上げてくる。21周目にデ・フリースが最下位から15位へ、ヴェルニューも10位から6位に順位を上げている。また14番手のデニスもポイント圏内の9位にポジションしているのだ。

しかし25周付近では膠着状態になり順位変動はなく、トレインを形成して周回数を消化していく。33周目になるとアディショナルラップが提示され、プラス2周の37周のレースとアナウンスされる。

それでも全車がエネルギーマネージメントをしっかりと行ない、バッテリー残量計算をしつつ順位をあげることを目指す。しかし、大きな変動はなく、ヴェアライン、ブエミ、キャシディの順でチェッカーを受け、いずれのマシンもバッテリー残量0.0%という完璧なエネルギーマネージメントでレースを終了した。

優勝はポルシェのヴェアライン、2位エンビジョンのブエミ、3位ジャガーのキャシディでポルシェとジャガーが表彰台を独占した。

以下、ギュンター/マセラティMSG、エバンス/ジャガーTCS、ヴェルニュー/DSペンスキー、ヒューズ/NEOMマクラーレン、ヴァンドーン/DSペンスキー、デニス/アンドレッティ、ナトー/アンドレッティまでの10位がポイントを獲得した。NISSANのサッシャが12位、ロランドは見事に追い上げ11位だがノーポイントに終わった。

次戦は1月26日、27日、サウジアラビアのデルイヤーでの2連戦になる。ジャガーVSポルシェの牙城にNISSANが苦込めるのか注目したい。

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