【フォーミュラEシーズン9】第9戦モナコ エンビジョンのキャシディが連勝

ABB FIA フォーミュラE第9戦が5月6日(土)モナコで開催された。F-1で有名なモナコの市街地コースをフォーミュラEのマシンが走った。予選では日産、そして日産パワートレインが躍進し、上位を占めた。

モナコの市街地コースはフォーミュラEでは車速やボディサイズからもジャストサイズで、レースの醍醐味である抜きつ抜かれつの展開が期待された。

予選では日産が大躍進し、日産パワートレインを採用するマクラーレンも速さを見せていた。

グループA予選ではトップタイムはノーマン・ナト(日産)で、2番手にもサッシャ・フェネストラス(日産)が入り、日産チームがワンツーを占めた。3番手は、このところ予選では速さを見せるNIOのダニエル・ティクタムが入り、4番手はジャガーのミッチ・エバンスという結果になった。

日産のノーマン・ナト

グループB予選はマキシミリアン・ギュンター(マセラティ/DS)がトップ通過し、ジェイク・ヒューズ(マクラーレン/日産)が続いた。そしてエドアルド・モルタラ(マセラティ/DS)、セッテ・カマラ(NIO)と続き、ここではDSと日産のパワーユニットの速さがあった。

そしてデュエルスでは最初にNIO VS 日産というアジア勢対決があり、ティクタムと競ったサッシャが勝ち上がった。またシリーズランキング5位のミッチ・エバンス(ジャガー)にナトが勝利する番狂わせもあり、QFではナトとサッシャの日産対決となった。

結果はサッシャが勝利し、その勢いのまま、決勝でもマクラーレン/日産のヒューズを制し、サッシャが今季2回目のポールポジションを獲得した。ところが、レース後に技術違反があったとしてサッシャのタイムは抹消され、ジェイク・ヒューズがポールポジションになった。

日産のサッシャ・フェネストラズ

しかし、予選のファイナル・デュエルスでヒューズはシケインを不通過しており、釈然としない結果だ。サッシャは350kWのオーバーパワーユースという技術違反で、ドライバーの責任というより、制御でオーバーシュートがあったと想像する。

その結果、ヒューズがポールで、サッシャはフロントローの2位。3位がナトなので、上位3台が日産パワートレインという快挙になった。

決勝でのグリットは、4番手がギュンター(マセラティ/DS)、5位ティクタム(NIO)、6位エバンス(ジャガー)という順で、チャンピンシップリーダーのパスカル・ヴェアライン(ポルシェ)は11位からのスタート。

シリーズ2位のニック・キャシディ(エンビジョン・ジャガー)は、10位スタート。シリーズ3位のジャン・エリック・ヴェルニュー(DS)は、なんと最後尾の21番手からのスタートとなった。

先頭を走るジェイク・ヒューズ

ここ数戦の傾向として、序盤の順位争いは大人しく展開し、レース終盤、とくにアディショナルラップの加算周が判明してから急激な順位争いという展開になってきている。

そのため、伝統のモナコのコースでもクリーンなスタートが切られ、オープニングラップのホテルヘアピンを過ぎたあたりで、早くもトレインを形成していた。今回のモナコは1周3.337kmで29周のレース。そのアディショナルラップは23周で、その時点で加算周が決まる。

序盤はヒューズ、サッシャ、ナト、ティクタム、ギュンター、エバンス、キャシディ、デニスという順で、アタックモードを早めに消化する作戦を取るチームが多く、周回するごとに順位は激しく入れ変わる。

だが、この順位争いは激しくなく、レース終盤に向けてのポジション確保という意味合いが強い。だから10位以下ではスプリントらしい順位争いをし、サイドバイサイドの展開も多くみられるものの、上位では穏やかな展開になる。

したがって、クラッシュも少なく、接触があっても大事に至らないものが多い。だからFCYやSCは少なく淡々と周回数を減らす展開になっていく。

しかし優勝を狙うにはやはり4〜5位付近にまでポジションを上げておかねばならず、レース巧者は徐々に上位に顔を出し始める。前戦のベルリンで優勝し、シリーズランキング2位のキャシディは、10位からのスタートだったが、7周目には3位に浮上し、14周目にはトップに立っている。

気づけば2位にレース巧者のエバンスもポジションし、その時点でアタックモードはすでに消化しているという巧者ぶりなのだ。

エバンスをリードするキャシディ

17周目の順位はエバンス、キャシディ、デニス、サッシャ、ティクタム、ヒューズ、ギュンター、モルタラ、バード、ナトという順で、レース巧者と新人、新勢力組が次第に下位へと順位を追いやられているのだ。

そして19周目には綺麗なトレインを描き、23周目のアディショナルラップの結果を待つことになる。ここまでSCはないため、加算周はないと判断でき、エネルギー温存から徐々にラップタイプを上げ、全体のペースは上がってくる。

そして20周目に最後尾スタートのヴェルニューまでもが気づけば9位に上がっており、ポイント圏内だ。そして22周目、ついにSCが入るアクシデントが起こる。しかし加算周はなく、25周目にグリーンフラッグとなり、超スプリントレースで再開となった。

29周で競われるモナコだったが28周目にアプトのミュラーがクラッシュし、再びSCが入り、そのままチェッカーとなるレースだった。

その結果、優勝は第8戦ベルリンに続きニック・キャシディ(エンビジョン・ジャガー)が連勝し、2位にミッチ・エバンス(ジャガー)、3位にジェイク・デニス(アンドレッティ・ポルシェ)という結果でジャガーPTワンツーで、ついでポルシェになっていた。

モナコで勝利を飾ったニック・キャシディ

シリーズランキングトップのヴェアラインは12位フィニッシュで、ノーポイントになりランキングは入れ替わることになる。

シリーズトップはキャシディで121点、ついでヴェアライン101点、3位デニス96点、4位エバンス94点、5位ヴェルニュー87点、6位ダ・コスタ68点という結果になった。このままでいけば、上位5台の争いになるだろうが、まだまだ波乱はありそうだ。

一方、日産のサッシャは19点で14位、ナトは11点の17位と振るわないが、予選での速さをみせたことから、後半戦でのポイント次第では旋風を巻き起こす可能性もある。

次戦は6月3日、4日に第10戦、第11戦をインドネシア・ジャカルタで開催される。

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