【フォーミュラE】シーズン8第4戦ローマ ジャガーのエヴァンスが通算3勝目

フォーミュラEシーズン8のローマでは第4戦、第5戦のWヘッダーが行なわれた。これまでヴェンチューリのエドアルド・モルタラがポイントリーダーで、メルセデスパワートレインを使うチームがやや有利に見える状況でシーズンスタートを切っている。

シーズン8第4戦で通算3勝目を挙げたジャガーTCSレーシングのミッチ・エヴァンス

ローマの市街地コースはコース幅が極端に狭い所と幅広い所もあり、またアッタクゾーンはかなり大回りしないと通過できない位置に設置され、順位変動が激しくなるセットアップだ。またバンピーな箇所も多く、予選では宙に浮くマシンを見かけることもあるほど。そんなコースに昨年までF-1で走っていたアントニオ・ジョビナッチ(ドラゴン・ペンスキー)ですら上位に食い込めない難しさがあるようだ。

シーズン8から予選フォーマットが変更され、グループ予選は220kWで12分間を競う。周回数に制限はなく、A、Bの二組に分かれてアタックをする。グループはシーズンランキングの偶数順位と奇数順位に分かれ上位4台、計8台がQF(準々決勝)に進める。

予選

A組ではジェイク・デニス(アヴァランチ・アンドレッティ)、ロビン・フラインス(エンヴィジョン)、ストフェル・ヴァンドーン(メルセデスEQ)、パスカル・ヴェアライン(タグホイヤー・ポルシェ)が進出。

B組はアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(DSテチータ)、ジャン・エリック・ヴェルニュー(DSテチータ)、アンドレ・ロッテラー)タグホイヤー・ポルシェ)、ニック・デ・フリース(メルセデスEQ)が進出した。

期待の日産セバスチャン・ブエミ、マキシミリアン・ギュンターは共に17番手、16番番手と振るわなかった。

QF(準々決勝)ではマシンは250kWで走行し、計測は1周。トーナメント方式で上位4台がセミファイナルに進む。進出したのはデ・フリース、フラインス、ヴァンドーン、ダ・コスタの4台。ここでもメルセデスパワートレインが有利に見える。またポイントリーダーのモルタラはグループ予選落ちをしている。

セミファイナルはQF同様の250kWで1ラップ勝負、フラインスとヴァンドーンが決勝に勝ち上がり、ポールポジションは通算7度目、ヴァンドーンが制した。

決勝レース

決勝は従来どおり220kWのパワーで45分+1周のレースになるが、今季はFCYが1分毎に45秒レース時間に加算され、第4戦のアタックモードは4分間を2回使い切る設定で、13%のパワーアップ(248kW)で走ることができる。

今季はモルタラ、デ・フリース、ヴェアラインがこれまで優勝しており、シリーズはモルタラがリードしている。この第4戦では、ヴァンドーンがポールポジションからのスタートで、フロントローがフラインス、3番手デ・フリース、4番手ダ・コスタ、5番手ヴェルニュー、6番手デニスという順。

スタートは狭いながらもクリーンに1コーナーを抜けていくが、その後サム・バードが接触し右フロントフェンダーを飛ばす接触。と同時にモルタラがローランドをプッシュしてスピンさせ後続が多重追突を起こしてイエローとなった。

2ラップ目はFCYとなり、その後SCが入りコースクリアを待つ。キッカケを作ったモルタラは5秒のペナルティが加算され、チャンピオンシップから早くも脱落してしまう。

残り34分でレースが再開され、早めにアタックモードを使う作戦をとるチームが多い。そうした中、フラインスはアタックモードを使わず、トップのヴェアラインを交わしトップに浮上。ヴェアラインはマネージメント走行しているような雰囲気もあった。

そしてメルセデスチーム2台が同時にアタックモードに入ると、各チーム、アタックモードに入り、レース順位は激しく動く。全車のアタックモードが終了しないと順位の整理ができないほど混乱し、あちこちでオーバーテイクシーンが繰り広げられ迫力は満点だ。

そうした中9番手スタートのミッチ・エヴァンス(ジャガー)が6位まで順位を上げつつも、アタックモードは残している。上位6台はフラインス、ヴァンドーン、デ・フリース、ダ・コスタ、エヴァンス、ヴェルニューとなり、途中エヴァンスはアタックモード中のヴェルニューをアタックモードを使わずとも交わすなどして3番手まで浮上してくる。

終盤、トップ争いを繰り広げるフラインス、ヴァンドーンはアタックモードは使い切り、周回を重ねるが終盤にアタックモードを残していたエヴァンスがトップ2台を攻め始める。また後方の4番手以降ではデニスが激しいアタックを繰り広げ徐々に順位を上げていくが、レースコントロールから5秒のペナルティを指示され実質の順位を下げてしまう。

レースは序盤のFCYがあり5分15秒加算されたレース時間になり、バッテリー残量争いが勃発するかに見えたが、結果的にアタックモードを残してたエヴァンスが苦労せずトップ2台を交わし、さらにフラインス、ヴァンドーンを引き離す余裕まで生まれた。

最終ラップ、エヴァンスが危なげなく通算3勝目をあげ、この時3%の残量がある余裕も。フラインスも最後逃げ切り2位、3番手争いはヴァンドーンとヴェルニューが激しく争うもヴァンドーンが抑え切り3位となった。またオープニングラップで右フロントフェンダーを失っていたサム・バードは5位に入賞する活躍を見せた。

ローマの第4戦はトリッキーなコースレイアウト、バンピーな路面、大回りを余儀なくされるアタックモードゾーンの設定など、レース展開を複雑にする工夫があり、順位入れ替えが激しく、面白い展開を見ることができた。そして翌日は第5戦が同じコースで開催される。

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