自動車工学、自動車技術の向上発展を奨励することを目的として、自動車技術会から毎年表彰される「自動車技術会賞」は例年4月末に発表されるが、2014年からは「人とクルマのテクノロジー展」の会場へと変更され、発表、表彰が行なわれた。
■学術貢献賞
・安部正人氏(神奈川工科大学):自動車の運動力学と運動制御の学術的発展への貢献
自動車の運動性能基礎理論に関する研究をはじめ、後輪操舵やダイレクト・ヨー・モーメント制御による車両アクティブ制御理論、それらの車両統合制御やフル・ドライブバイワイヤ車両の運動制御、さらにはマン-マシン系の運動に関する研究を重ね、現在の車両運動性能向上の礎を築いた。
また著書「自動車の運動と制御」は初版以来35年にわたり、車両運動性能に関する研究開発や設計に携わる研究者や技術者の必読書となっている。
・飯田訓正氏(慶應義塾大学):内燃機関の高効率燃焼および排出ガス低減への貢献
次世代燃焼として注目される予混合圧縮着火燃焼(HCCI燃焼)に関する研究では、先駆的な研究に取り組み、多くの成果を上げるとともに、国際ジャーナルに多数の論文を発表するなど同分野を牽引している。
さらに、近年では都市部の沿道など局所における大気汚染解明のための研究を行ない、機構の解明はもとよりその解決方法を提案するなど、効果的かつ幅広い研究活動は社会的貢献が大である。
■技術貢献賞
・安達美智雄氏(デンソー):可変動弁技術の開発と実用化への貢献
位相可変型可変動弁システムは、エンジン性能の向上に貢献する重要な要素であり、現在のガソリンエンジン車の高効率・高性能化とクリーン化に不可欠の標準的なシステムとなっている。受賞者は、本システムの開発初期から関わり、現在の標準方式となっているベーン式可変動弁システムを世界で始めて量産化するに当たって、初期の設計から品質向上とグローバル生産の実現などに多大な貢献をした。
さらに、革新的なフィードバック機能付きディーゼルコモンレールシステム、空調連携型アイドルストップシステム、次世代直噴ガソリン噴射システムなどの世界初の多くの製品の市場投入にも尽力した。
・清水康夫氏(本田技術研究所):操舵装置の電子制御化技術による自動車の進歩発展への貢献
従来は油圧駆動であるがために多くのエネルギーを消費していたパワーステアリングを電動化し、効率を大幅に向上させ、世界で初めて量産車に実用化した。また併せて開発したモーターのトルク制御技術をベースに、自身で解明した緊急操舵時のドライバー特性を反映し、電動ならではの高度な制御でギヤ比を変化させる技術によって、運転の楽しさ・安全性・燃費を向上させた。
■浅原賞学術奨励賞
・岩崎宏明氏(トヨタ):目視検査作業の定量値化を目指した人の検査メカニズムのモデル化
自動車用部品は、製造品質確保のため、形状のズレやキズの有無判断など、最終的には作業者の目視検査に頼ってきた。最近の画像処理技術の進歩によっても、エンジンのような複雑な部品では、作業者に依存しない完全な自動検査は困難であった。
受賞者は人の検査メカニズムをモデル化し定量値化するという着眼で、実際の目視検査員の目・腕・頭脳の動きを科学的に解析し、同じ部位を複数の視点から分析することで良/不良の判定を明確にする手法を開発した。対象の中から不良と疑われる箇所を見つけ出し、そこを集中的に検査する画像処理アルゴリズムを開発し、高い確率で不良箇所を検出することに成功した。
・秋元賢治氏(本田技術研究所):Development of Pattern Recognition Knock Detection System using Short-time Fourier Transform
ガソリンエンジンのノッキングは、CO2削減やエンジン保護などの観点で回避すべき異常燃焼のひとつである。ノッキングが発生すると、特徴的な周波数成分を持つ振動が観測されることから、これまでノッキングの検知には特定の周波数成分の強度だけが用いられてきた。しかし、この手法ではメカニカルノイズと区別しにくいという問題があったが、受賞者は、両者の振動の減衰過程が異なることに着目し、ノッキングの発生をより正確に判定できる簡便な手法を開発した。
・ポンサトーン・ラクシンチャラーンソク氏(東京農工大):無信号交差点における歩行者事故防止のための危険予測運転ドライバモデルの構築
これまでの衝突回避システムは障害物検出に基づいて回避を実行するため、交差点の見通しの悪さや、歩行者の出現の仕方によっては衝突が回避できない状況が存在する。一方、熟練ドライバーはこのような状況においても、適切な予測に基づき安全運転を実行していると考えられる。
受賞者は熟練ドライバーの危険予測行動に着目し、信号のない交差点通過時の運転行動を解析し、歩行者予測位置に基づく交差点手前における速度モデルを構築した。さらにこのモデルを自動ブレーキシステムに応用し、シミュレーションによって対歩行者衝突事故回避の可能性を示した。
■浅原賞技術功労賞
・水谷良治氏(トヨタ):自動車駆動用モータの進歩発展への寄与
受賞者は、モーターの小型高性能化と高精度制御技術の開発を中心に、自動車の生産設備ならびに電気自動車をはじめとする車両の電動化に大きく貢献した。特にハイブリッド自動車用モーターの研究開発では、モーターの使い方に着目した磁場解析技術を駆使し、モーターの動作点ごとに損失の発生要因を解明して温度を下げ、材料、構造、加工方法を最適化することにより小型軽量化を実現するなど、現在の自動車用モーター技術の発展に大きく寄与した。
・齋藤俊博氏(本田技術研究所):パワートレーン摺動部挙動解析技術の進歩発展への寄与
従来、理論計算では十分な予測精度が得られなかった摩擦力を、多くの実験結果を用いて実用上十分な精度が得られる数式で表現できるようにした。また部品の変形の予測計算では、その計算時間を大幅に短縮する手法を示した。
これにより従来は膨大な時間を要していた挙動、変形および摩擦の連成計算を、開発段階で活用可能な計算時間まで短縮することに成功した。また、構造解析と制御を連成計算させることも可能にした。これらの技術は、エンジン等の設計および解析技術の向上に大きく寄与した。
■論文賞
・小島昭和氏 竹内克彦氏 内山賢氏(デンソー):ディーゼル噴射系の進化―超高圧噴射が拓く世界―
超高圧噴射のコモンレールシステムは、ディーゼル車のクリーン化と高性能・高効率化に欠くことのできない装置だが、受賞者らは噴射特性をフィードバック制御する世界最高レベルの超高圧ディーゼル噴射システムを開発した。
具体的には、リーク量の低減を図るコンポーネント設計によって、250MPa以上の超高圧を実現し、また世界初の噴射特性を自動修正が可能でインジェクタ個体のばらつきや噴射量変動を抑制するクローズドループ制御システムと、それによるエミッションのばらつき低減であり、これらの技術はディーゼル性能向上技術として高く評価される。
・隅田祐介氏 紙屋雄史氏 大聖泰弘氏(早稲田大学):各種電動車両に搭載したリチウムイオン蓄電池の許容劣化度に関する検討
リチウムイオン電池を搭載した各種電動車両(BEV、HEV、PHEV)における車両諸性(CO2、燃費、走行距離、加速力など)の低下について詳細分析を行ない、その性能の許容レベルとそれに対応する蓄電池の容量維持率、内部抵抗増加に伴う最大出力維持率の許容劣化度を検討している。
リチウムイオン電池を搭載した電動車両の普及拡大が見込まれる中、蓄電池の劣化による車両性能への影響評価に関する研究、検討例は極めて少なく、本論文の検討手法と成果は今後の各種電動車両の発展を推進するうえでの指針として大きく寄与することが期待できる。
・皆川正明氏(ダイナミックリサーチ):車両運動特性上の後軸横力特性の役割
これまで車両の横運動特性は、前輪の横力特性と後輪の横力特性の両方に依存すると考えられてきた。受賞者は、操舵入力に対するヨー角速度や重心点横加速度などの応答のモードは、後輪の横力特性のみで規定され、前輪の横力特性はすべての応答の大きさと位相角を平等に増減、あるいは進角/遅角するに過ぎないことを示し、さらにヨー角速度に対する重心横すべり角のような、応答同士の関係は後輪の横力特性だけで決まり、前輪の横力特性には影響されないことを明らかにした。
これは、学術的には車両運動性能理論に新たな視座をもたらし、工学的には応答同士で規定される車両挙動の改善は、後輪の横力特性のみで可能だという、新たな実務的手法をもたらすものであり、車両運動力学の発展に大きく貢献するもので高く評価される。
・林朋博氏 鈴木雅幸氏 馬崎政俊氏(以上デンソー) 池本雅里(トヨタ):等倍モデルによるディーゼルノズル内流れと噴霧燃焼の可視化解析
ディーゼル噴射弁内の可視化により、噴口入口部の膜状のキャビテーションのみならず、サック室に起源を持つひも状のキャビテーションとディーゼル噴霧燃焼の関係をはじめて明らかにした。
特にストリングキャビテーションに伴う噴霧角の増大が輝炎としての火炎の急速な広がり、すなわちストリングキャビテーションが噴霧への周囲空気の巻き込みを促進させていることを解明したことは、噴射弁の改良とディーゼル燃焼の改善により、更なるディーゼル噴霧の希薄燃焼の可能性を示唆するものであり、高く評価される。
・西垣佳臣氏 川野健二氏(トヨタ紡織):着座姿勢の個人差を表現するマネキンモデルの開発
着座姿勢の違いがシートの座り心地評価に関わっているが、体型の違いとは別に、ヒップ角(骨盤と大腿部の相対角度)の前屈限界角度と首付角(頭部と胸部の相対角度)を着座姿勢マネキンのパラメータとして、個人差の表現を試みた。
マネキンモデルは6個の身体ブロックを回転結合などでつなぎ、頸椎と腰椎のみを弾性はりとした比較的シンプルなものである。詳細なシートの解析モデルに、このマネキンモデルを載せることで、着座姿勢の違いや座圧分布の変化も表現可能とした。実際にこの2つのパラメータが異なる乗員や、異なるシートによる実験で、その妥当性を確認した。快適性向上に有用な開発であり、高く評価される。
・斎木康平氏 渡辺健氏 白木啓1郎氏 深町俊介氏(以上富士重工)飛澤圭一郎(富士テクノサービス):自動車用ハイポイドギヤの高効率化
ハイポイドギヤは高強度で静粛性にも優れているため、自動車の最終減速装置に広く用いられているが、はすば歯車などに比べ、すべりが大きく伝達効率が低い。受賞者らはハイポイドギヤの伝達ロスが測定できる実験装置を作製し、ギヤ噛合い効率は負荷トルクに関係なく1定であることを示した。
その結果から導出されたギヤ噛合い効率計算式を基に、ハイポイドギヤの高効率化には、小オフセット化と弱ねじれ角化が有効であることを検証した。この解析手法を用いて、はすば歯車と同等の高効率ハイポイドギヤを新型変速機に採用し、省エネルギー化を達成したことは、今後の歯車研究の発展に大きく寄与するもので、高く評価される。
・吉村友志氏 浅野一朗氏 宮井優氏 中村博司氏(堀場製作所):加熱NDIR分析計を用いた過渡EGR率計測とEGRガス濃度応答時間の解析
EGR(排ガス再循環システム)は、燃焼ガス温度を下げて窒素酸化物を低減するためにディーゼルエンジンで広く使われ、ガソリンエンジンでも熱効率の改善やノッキングの抑制のために使われている。
排ガス規制や燃費規制が強化されるに従い、より高精密なEGR制御が必要になっているが、これまでのEGR流量計測は精度と応答性に問題があり、精密な制御を行なうことが困難であった。そこで受賞者らは高精度かつ高速応答でEGR流量を測定できる加熱NDIR(非分散赤外線吸収法)分析計を用いた計測器を開発、実用化した。これによりEGRの高精密制御が可能で、排ガス規制や燃費規制の適合が容易になり、高く評価される。
・稲垣英人氏 勝見則和氏 山田智久氏 野沢右氏(以上豊田中央研究所) 川合清行氏(TPR):ピストンリング諸元が吸気管負圧時のオイル上がりにおよぼす影響
エンジンの潤滑系が長年抱えてきた課題のひとつとして、オイル上がりの抑制がある。この対策として、オイルの通路となるピストンリング合口を塞ぐことが考えられてきたが、詳細なメカニズム解明や研究が行なわれてこなかった。
この課題に対してピストン周辺部の影響を詳細に調査するために開発した独自の計測手法を基に、丹念な実機評価を行ない、合口を塞ぐことでオイル上がりが抑制される効果は、ピストンランドの過渡的な圧力影響を介するものであるという新たな知見を見いだした。これはオイル上がり低減に新たな技術開発の機会を与えるものであり、高く評価される。
・平岡敏洋氏 川上浩司氏 野崎敬太氏(以上京都大学) 高田翔太氏(西日本高速道路エンジニアリング関西):自発的な行動変容を促す安全運転評価システム
自動車の安全性を向上させる運転支援システムが研究されているが、運転者に自発的な安全運転を促すことも重要である。安全運転の評価結果を運転者に提示するシステムが考えられるが、評価結果が安全運転に及ぼす影響についてはほとんど調べられていない。また、安全運転の動機づけを効果的に高める方法も見出されていない。
本論文では、安全運転を評価する4つの指標を提案し、数値シミュレーションにより手法の妥当性を検証し、次にドライビングシミュレータ実験により本システムが安全運転行動に及ぼす影響を考察して、運転者の自発的な行動変容が促進されることを確認している。今後の安全運転技術および支援システム開発へ寄与するものであり、高く評価される。
■技術開発賞
・片岡準氏 淡川拓郁氏 小島洋幸氏 内山雅仁氏(スズキ):リチウムイオン2次電池を用いた減速エネルギー回生システムの開発
自動車部品の変更を最小限にしつつ燃費向上を図るシステムを開発した。自動車の減速時の運動エネルギーを従来型のオルタネータにより、電気に変換して電池に充電し、これを使いオルタネータの発電トルクを減少させ、エンジン負荷を少なくすることにより燃費向上が実現できた。
従来から類似したシステムが提案されてきたが、鉛蓄電池に近い電圧電流特性を有するリチウムイオン電池および従来型オルタネータの採用、半導体スイッチなどシンプルな構成で実現したことは、高く評価される。
・片岡一司氏 鐵野雅之氏 林原寛氏 山田薫氏 旗生篤宏(マツダ):走る歓びと環境性能を両立する新世代クリーンディーゼルエンジン
従来のディーゼルエンジンの常識を上回る14という低圧縮比を採用し、燃料混合過程の最適化と、低圧縮比化による機械摩擦損失の低減の組み合わせにより、従来型ディーゼルエンジンに比べ20%の燃費向上と、静粛性、低エミッション性を両立させた。低圧縮比化と高効率過給などの周辺技術と組み合わせて、走る歓びと環境性能の両立を高次元で実現したことは高く評価される。
・大塩洋彦氏 堀宇司氏 望月清隆氏(小糸製作所) 毛利文彦氏 中川享俊氏(トヨタ):配光可変ヘッドランプの研究開発と商品化
夜間の歩行者事故を低減するためのひとつの方策として、ハイビームを積極的に使用することが考えられる。しかし、単にハイビームにするだけでは、対向車あるいは先行車のドライバーに眩しさを与えるものになるため、対向車、先行車の存在をカメラにより検知してその部分を遮光し、路側にいる歩行者のみを明るく照らすランプ制御技術が有効である。
受賞者らは、LEDヘッドランプを用いて可動シェードにより5種類の配光パターンを交通環境に応じて可変とする技術を開発し、いち早く市場導入したもので、夜間の歩行者事故の低減が大いに期待でき、高く評価される。
・久保川範規氏 楢崎拓也氏 蔡佑文氏 中山大氏 菅原直人氏(日産):転舵角と操舵力を独立制御可能な操舵システムの開発
ステアリングの操作を電気信号に変えてタイヤを操舵するシステムは、機敏な応答と高度の安定性を実現できる。しかし、故障時の信頼性の確保と従来の操舵システムとの違和感を解消することが、量産車に適用する際の最も困難な課題であった。
受賞者らは電子システムの多重化による異常検知と、瞬時に作動するクラッチの連結機構を組み合わせることで信頼性を確保し、タイヤからの路面反力を演算し、適切な操舵力を与えることで違和感を解決し、世界初の実用化に成功した。予防安全技術の向上や将来の自動運転に貢献するものとして高く評価される。
・中村哲男氏 小野田剛氏(カルソニックカンセイ) 寿原雅也氏 徳毛一晃氏 石井郁氏(日産):超薄肉射出成形インストルメントパネル表皮技術の開発
インストルメントパネルは大きな内装部品であり、視認性確保や高級感も要求される。軟質パッド付きインパネの材料・製造技術には、素材が高価、製造に手間が掛かり、製品にならない部分の廃棄物が大量に発生するなどの問題があった。
受賞者らは最も汎用的な射出成形を用い、超薄肉のインパネ表皮を短時間で効率的に製造する技術の実用化に成功した。加工性の良い材料開発に加え、無人で製造できる工法開発、製品形状の工夫による連携の成果である。35%の低コスト化や廃棄物削減が可能であり、実用的な技術として高く評価される。
・島田裕央氏 樋口成智氏 仁木学氏 田中正志氏 細田正晴氏(本田技術研究所):優れた燃費性能と力強く滑らかな加速を両立した新2モータハイブリッドシステムの開発
シリーズ方式ハイブリッドシステムは、低速域ではエンジンを高効率領域で自由に運転し燃費を改善できるが、高速域ではエネルギー変換ロスの問題により燃費が悪化する欠点がある。
受賞者らは、高速クルーズにおいてはエンジン直結駆動とすることで、この欠点を克服した独創的なハイブリッドシステムを開発した。リラクタンストルクの活用や高電圧化によるモータの小型高効率化、アトキンソンサイクルや可変バルブタイミングリフト機構によるエンジンの高効率化により、大型セダンでありながら30km/Lという優れた燃費を達成した。開発したシステムをプラグインハイブリッドにも展開し、優れた電力量消費率を実現した。これらは、ハイブリッドの可能性を広げる新技術として高く評価される。
・福原恵美氏 石内健太郎氏 岩崎剛氏 吉田健氏 徳光偉央氏(日産):世界初1.2GPa級高成形性ハイテン材の開発
車体の軽量化を目的に強度の高い高張力鋼板の適用が拡大しているが、一般に高強度化するとプレス成形性や衝突性能に影響する延性が低下し、またスポット溶接強度を確保しにくいという問題がある。
受賞者らは、材料の組織を極限まで微細化させ、かつ硬質層と軟質層の比率が最適な複合組織とすることにより、高強度化と高延性化を同時に実現できる材料を開発した。さらに、開発材に最適な制御となるスポット溶接技術、成形解析精度向上により、既存プレス設備で成形を可能とした成形技術の開発を進め、1.2GPa級ハイテン材の冷間プレス車体構造部材への実用化を達成した。今後の軽量化技術として高く評価される。
・細谷満氏 木村昌裕氏 大井寛氏 佐藤信也氏 平林浩氏(日野):尿素水を必要としないNOx、PM同時低減システムの開発
大型ディーゼル商用車の後処理装置として尿素水を用いる尿素SCRシステムが実用化されているが、小中型ディーゼル商用車では限定された範囲での走行が多く、尿素水供給が難しい地域では利用面で問題があった。
これに対して受賞者は炭化水素(軽油)を反応促進剤として使用し、尿素水を必要としないNOx、PM同時低減システムを開発、実用化することで解決策を示した。特に同一触媒コンバータ上で軽油によるNOx低減反応とDPF再生反応を両立させる新たな画期的な触媒を開発した。
■技術教育賞
・土屋高志氏(静岡工科大学):全日本学生フォーミュラ大会におけるEVフォーミュラ活動の推進
受賞者は、2006年度より静岡理工科大学の学生フォーミュラ部の顧問教員として学生を熱心に指導し、ものづくりを支える優秀な学生を世に送り出しており、2010年には他校に先駆けてEVフォーミュラ車を製作し、大会中にデモンストレーション走行を行なった。
学生フォーミュラEV部門開設に尽力し、2013年度には同部門で優勝している。また、開催地周辺校として大会運営や海外を含む他校のサポートなども行ない、EVフォーミュラ活動の推進に多大な貢献があった。