2013年5月22日〜24日まで「人とくるまのテクノロジー展」(自動車技術会)がパシフィコ横浜で開催された。今年もこの内容たっぷりの「人とくるまのテクノロジー展」を取材してみた。例年より訪れる人が多く、入場者数は7万8255名で、昨年を6000人以上上回り、景気回復を思わせる賑わいぶりで、出展企業も力の入るイベントとなっていた。その中、AutoProve編集部が気になるメーカーをいくつか紹介してみよう。
【マグナシュタイヤー】マグナシュタイヤーはメルセデスのGクラス、アウディA5カブリオレの製作など、4WD車とアルミボディ造り、オープンボディ造りには定評のあるマニファクチャラー/サプライヤーだ。そのマグナシュタイヤーはメルセデス・ベンツのスポーツモデル、そしてフラッグシップモデルであるSLSのホワイトボディを展示していた。オールアルミの大型ボディは圧巻だ。
【シェフラー】欧州自動車メーカーからのニーズが多いというスタート&ストップ用の部品で、シェフラーは常時かみ合い式のものを展示。フライホイールにダイレクトにかみ合うように造られている。また、オルタネーターをエンジン再始動のスターターとして使用するための振り子式ベルトテンショナーも展示。インバーターとDCDCコンバーターの標準モジュールを小型化することができたため、さまざまな車体への搭載が可能になるというモジュールを展示。他にBMWのハンドリングを司る重要なパーツのひとつである第三世代のEPS-apaのボールスクリューナット及びラック用ボールスクリュードライブを展示。ZFレンク社とボッシュ共同開発のパーツはシェフラーから供給されていたのだ。
【ボッシュ】レース用ガソリンエンジンの高圧燃料噴射システムが展示されていた。250barまで対応し、マルチ噴射、噴孔デザインも可能ということで、WRCやWTCCで走る4気筒2.0Lターボエンジンに既に採用されている。また、直噴エンジンやディーゼルエンジンにはマストアイテムとなったピエゾインジェクターや高速反応のソレノイドタイプも展示。
【ジェイテクト】最新世代のコラムアシスト用EPSが展示。1.5Lクラス用としてインターミディエイトシャフトの剛性を上げ、コントロールユニットも一体化されたコンパクトなアシストシステムだ。
【ティッセンクルップ】ビルシュタインからは連続無段階可変システムを持つダンパーを展示。モノチューブ構造で2つの独立した比例弁でバウンド/リバウンドそれぞれに対して個別制御が可能。エアサスをメルセデス・ベンツに納入した実績から、次期Sクラスに搭載されることが予測される。またマンガン-ボロン鋼によるボディ構造部材(Bピラー)を展示。軽量化、1900MPaまで到達する引長強度など高い変形抵抗が可能な反面、局部クエンチ技術を用いて、部位ごとに強度を調整することが可能な画期的な部材だ。またBMWに採用されているラックをベルト駆動するラックアシスト電動パワーステアリングシステムも展示されていた。
【ZF】2013年ジュネーブショーで発表されたレンジローバー・イヴォークに搭載している9速ATを展示。4つのプラネタリーギヤセットで、3つのクラッチ、2つのドグクラッチで構成されている。また、EVD1というモーターとトランスミッションを一体化した車輌駆動用モーターユニットを展示。またBMWに採用されているアクティブ(キネマティック)後輪操舵システムも展示された。
【ヴァレオ】人とくるまのテクノロジー展初出展というヴァレオは、冷却系部品は有名。今回は電動スーパーチャージャーやトルクコンバーターなどパワートレーンも展示していた。また、ワイパーブレードからウォッシャー液が出る新型ワイパー「アクアブレード」を展示。ブレード全域に噴孔があり、ウォッシャー液が出た瞬間にふき取る構造なので、視界を遮ることがない画期的ワイパーだ。これはメルセデス・ベンツSLに採用されている。
【コンチネンタル】ハイブリッドやEV車からの需要に応じ、インバータ&DCDCコンバータモジュールを展示。小型軽量でアウディA5、A8、Q5、メルセデス・ベンツE400ハイブリッド、E350BlueTECハイブリッドなどに搭載している。また、アダプティブセーフティでは日本車にも採用されているレーダー式自動ブレーキシステムや第三世代のステレオカメラも展示。そして完全全自動運転に向けてのフォーラムも行なわれ、コンチネンタルの目指すスタンスを講演。会場が満席になる注目度で、各社が注目している技術であることが分かった。
【リカルド】イギリスのエンジン・駆動系の専門メーカーであるリカルドは、受託開発した1.0L・3気筒ディーゼルエンジン、カーボン製フライホイールを使用するKERSを出展。
【ウイリアムズ】F1のウイリアムズのエンジニアリング会社は、フライホイール式KERSを出展。真空容器ないで高速回転するカーボン製フライホイール・ジェネレーターを展示。最高出力120kW、最大エネルギー貯蔵量1.8MJ、重量65kgといったスペックも詳細に公表された。
【マーレ】ピストンで有名なマーレ社は、オイルポンプやオイルパン、インタークーラーなどエンジン各部の部品の専門メーカーだが、86/BRZやレクサスISに採用されて有名になったサウンドクリエーターのメーカーで、実物も展示されていた。