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スズキは過去最高の業績
スズキは、過去の提携関係でもGMがクジラなら、スズキはメダカではなく蚊と称するなど「小さな会社」と自称することが多いが、近年の業績は好調であり、優良な成果を残している。
スズキは2020年に創立100周年を迎えるが、次の100年に向かう土台作りのために新中期経営計画「NEXT100」を2015年に策定した。その内容は多岐にわたるが、クルマづくりの基盤となるハードウエア戦略、商品戦略も明確化されている。
日本市場では、5ナンバー車の販売台数10万台超えを掲げ、2016年度、2017年度とこの目標をクリア。2017年度の国内の販売台数は軽自動車が55万6000台、登録車が11万2000台、合計66万8000台となっている。
またスズキの主戦場であるインドでは前年比14.5%増の165万4000台を販売し、絶好調だ。またヨーロッパ市場は、西ヨーロッパ諸国で前年比14.9%増となる28万1000台を販売した。ちなみに欧州市場では日産は同期に19万9800台、マツダは19万3000台で、スズキの好調さが分かる。この欧州での成功は、ハンガリーにあるマジャール・スズキでの現地開発・製造体制の成功によるところが大きい。
こうした結果、2017年3月~2018年3月期の売上高は、前年比18.5%増の3兆7572億円、営業利益は40.3%増の3742億円で、過去最高の利益を記録し、営業利益率は10%となっている。この高い営業利益率はスバル、トヨタと並ぶ業界最高レベルだ。
2019年3月期の業績見通しは、円高の為替と、研究開発費の増加により増収・減益で、営業利益は3400億円と見込んでいるが、同業他社よりは減益幅は小さく、極めて順調と言える。しかし、スズキはインド市場に大幅に依存した一本足構造で、そのインドでの電動化政策の進展により予断は許されないこと、巨大市場の中国でプレゼンスが低いなど、長期的な成長には問題点が多いと気を引き締めている。
しかし、スズキの持つインド市場での圧倒的なシェア、小型・軽量で、低コストなクルマづくりの技術力、強い自主独立の意思など、世間で思われている以上に業界での評価は高く、今後もその動向は注目しておきたい。