シャオミは2025年6月26日、すでに販売している「SU7」に続く第2弾、初のSUVモデル「Xiaomi YU7」の正式販売を開始した。価格は25万3500元(約450万円)からとなっている。

スマート家電、スマートフォンメーカーのシャオミは2023年12月に初のEVセダン「SU7」を発売し、大きな反響を巻き起こし、EVメーカーとしては最後発にも関わらず、先進技術、性能、そしてリーズナブルな価格により台風の目となっている。そしてシャオミは今後15年間の成長で世界有数のEVメーカーになる計画を着実に推進している。
今回発売した第2弾のEVセダンYU7は、テスラ モデルYに真正面から勝負を挑むEVだ。
モデル概要
YU7は、高性能なラグジュアリーSUV として、デザイン、テクノロジー、走行性能、安全性のすべてにおいて常識を覆す革新的なモデルになっている。

YU7のグレード展開は、YU7 Standard:後輪駆動モデル(25万3500元)、YU7 Pro:4輪駆動モデル(27万9900元)、YU7 Max:高性能4輪駆動モデル(32万9900元)という3機種の展開となっている。
YU7は、時代を超える優雅さとラグジュアリー感を備えたSUVデザインを追求し、エクステリアからインテリアまで細部に至るディテールにこだわり、プレミアムクラスと同等のラグジュアリーさを追求している。

ボディサイズは、全長4999mm、全幅1996mm、全高1600mm、ホイールベース3000mmのD+セグメントサイズである。
リヤのラゲッジ容量は678L/最大1758Lと十分な容量を確保。さらにフロントのボンネット下に141Lのスベースを備えている。
デザイン
エクステリアは、ホイールベース対ボディ全長比が3:1、タイヤ径対車高比が2.1:1、車幅対車高比が1.25:1 という理想的なバランスを実現することで、インパクトのある美しいプロポーションを生み出し、高性能SUV特有の低重心で力強いスタンスを体現している。

また1:3という超ロングノーズの比率により、フロントはなだらかに伸びたフードラインが形成され、自動車デザインの歴史の中で磨かれてきた、ラグジュアリーさを表現できるフォルムを生み出している。そしてまた安全性の面でもフロントで659mmというクラストップレベルのクラッシャブルゾーンを確保している。さらに空力性能もきわめて高いレベルにありCd:0.245を達成している。

ワイドボディ設計と力強く引き締まったリヤは、スポーティで強い存在感を強調。これらすべての要素が融合することで、従来のSUVとは一線を画す理想的なスタイル、フォルムを備え、ひと目見ただけで記憶に残るエクステリアとなっている。またボディカラーにもこだわり、9色の多彩なカラーバリエーションを展開。どのカラーも個性と魅力にあふれ、視覚的なインパクトを備えている。

ボディカラーは、すでにSU7でも採用されている「バサルトグレー」、「ラバオレンジ」、「チタニウムシルバー」、「エメラルドグリーン」の4色に加え、今回新たに「パールホワイト」、「オーシャンブルー」、「ダスクパープル」、「シャドウティール」、「ドーンピンク」の5色を追加いた。
とりわけ新色の「パールホワイト」は、青みを帯びた繊細なパール感が太陽光に反射して、清らかで洗練された印象を与える。その他のカラーにもアルミ粉やパールパウダーが用いられており、光の角度によって奥行きのあるメタリックな輝きが浮かび上がる。
ホイールはロゴが正位置に保たれる「フローティングセンターキャップ」式で、19インチ、20インチ、21インチをラインアップ。高性能なハンドリング性能を追求するオーナー向けに21インチ鍛造ホイールには前後異径タイヤ仕様も設定されている。
タイヤはシャオミ専用のミシュラン プライマシー5 エナジー、およびパイロットスポーツEVが設定されている。静音仕様のスポンジ入りタイヤの選択も可能だ。
インテリア
インテリアカラーは全4色を設定。ボディカラー9色とインテリア4色は組み合わせて選択することができる。

インテリアも真のラグジュアリーな質感を徹底追求しており、触れる機会の多いすべての場所にはソフトタッチ素材を採用。これらの素材はすべて、乳幼児の肌に直接触れても安全な国際基準「OEKO-TEXR クラス1」の認証を取得している。また、シートには柔らかさと適度な反発力を兼ね備えたナッパレザーを採用。長時間のドライブでも快適な座り心地を提供する。

またオプションとして、「デュアルゼログラビティ・フロントシート」を設定。ボタンひとつでリクライニングできるうえ、10点式マッサージ機能を搭載しており、座席を移動することなくドライバーがそのまま休息をとることが可能だ。

リヤシートは、135度までリクライニング可能なラグジュアリーシートを採用。100度のポジションから135度のくつろぎポジションまで調整が可能で、シートヒーターも搭載。さらに、後部ヘッドレストも厚みと幅が増し、横方向のサポート性を向上させている。
パフォーマンス
YU7は、高性能ラグジュアリーSUVとして、自社開発の「3つのコア電動技術」(電動モーター、動力用バッテリー、モーター制御ユニット)をさらに進化させている。
全グレードに搭載されているのは、アップグレード版の駆動モーターである「シャオミ HyperEngine V6s Plus」だ。モーターの最大回転数は2万2000rpm、最大トルクは528Nm、最大出力は288kW(392ps)に達している。

最上位モデルの YU7 Maxは、前後合計出力690ps、最高速度253km/hで、0-100km/h加速はわずか3.23秒(発進制御をオフにすれば2.98秒)を記録。これは、80万元未満の SUVとして最速の発進加速性能である。
一方で航続距離は3グレード全てがロングレンジ性能を備えている。エントリーモデルのStandardで中国CLTC(WLTPとほぼ同等)モード835km、4WDモデルで770kmとなっており、都市部では2週間分のバッテリー容量を備えている。

こうした高性能を支えているのがシャオミの「800V SiC電気駆動プラットフォーム」である。充電性能は5.2Cレート(電池容量の5.2倍での充放電性能)の超急速充電に対応し、10%から80%への充電はわずか12分間であり、15分間の急速充電で620km相当の充電が可能だ。

高性能コンピューティングパワー・システム
スマートカーであるYU7の心臓部であるE/Eアーキテクチャ(EEA)に、「4-in-1 ドメインコントロールモジュール」を搭載している。これは電子プラットフォーム・コントロール(EEC)の中枢であり、運転支援ドメイン(ADD)コントローラー、デジタルコックピットドメイン(DCD)コントローラー、車両中央制御ドメイン(VCCD)、およびテレマティクスボックス(T-Box)を統合。
複数の機能モジュールを一元化し、高度に統合された中央処理ユニットとして、システム全体のサイズや重量を削減するとともにエネルギー効率も最適化している。
「4-in-1 ドメインコントロールモジュール」は、強力な演算能力。次世代の4nmプロセスを採用した「NVIDIA DRIVE AGX Thor車載コンピューティングプラットフォーム」を搭載し、700TOPS(毎秒7兆回の演算能力)を発揮する。
また、徹底的かつ厳格な信頼性試験をクリアし、業界標準の耐久試験を2倍以上上回る信頼性を実証しており、10年以上の長寿命を保証している。
インフォテイメントと運転支援システム
YU7は、iPhoneユーザー向けの利便性が大幅に向上している。UWB(超広帯域)によるリモートアンロックに対応し、シャオミEVアプリのウィジェットをホーム画面やコントロールセンターのショートカットから操作が可能。
さらに、iPhoneのアクションボタンを専用の施錠・解錠ボタンとして割り当てることもできる。リアルタイムの車両状況は シャオミ・アプリの「Alive Status」機能で確認でき、ナビゲーションルートもスマホから車両へ直接送信が可能だ。
また、Appleエコシステムとの連携も大幅に強化されている。Apple CarPlay はデスクトップウィジェットとして固定でき、CarPlayと車載アプリの同時表示に対応。車両システムは Apple Musicによる高音質オンラインストリーミングをサポートし、Apple Watchからの独立した車両コントロールも可能。後部座席のタブレットホルダーはiPadの拡張利用にも対応している。
運転支援システムは、市街地におけるレベル2.5の高度運転支援が可能なNOA(ナビゲーション on オートパイロット)を搭載している。
ボディ骨格と安全性能
YU7は、セル to ボディ(C2B)の基本構造で構成され、車両骨格の主要部位に200MPaの超高強度鋼板を採用している。これは、自動車業界で量産されているホットスタンプ鋼材としては最高強度のもので、全ドアの衝突防止ビームや、Aピラー、B ラーに配置された6本のホットスタンプ拡張チューブなどが使用されており、車体と結合された「埋め込み型ロールケージ」構造を形成。これにより、側面衝突や転倒などの過酷な状況下でも安全性を大幅に向上させている。

この先進素材を基盤に、高強度鋼とアルミ合金を組み合わせた「アーマーケージ鋼+アルミハイブリッドボディ」を全面的にアップグレードさせている。
高強度鋼およびアルミ合金の比率は90.2%に達し、ねじり剛性は4万7610Nm/度とレーシングカーレベルに到達。SUVセグメントでもトップクラスの剛性を備えている。

パッシブセーフティ面においても、極めて高い基準で設計されており、C-NCAPおよびC-IASIの各種クラッシュ基準を網羅した50以上の社内試験に合格。さらに、全座席の乗員を守るための対策も徹底的に施されており、こちらも C-NCAPおよびC-IASIの試験基準を上回る高い安全性能を実証している。

バッテリー保護に関して、YU7に搭載されるリン酸鉄リチウム(LFP)電池と三元系リチウム(NMC)電池は、いずれも超高安全基準を満たしており、中国の2025年新国家バッテリー安全規制を既に上回っている。
さらにYU7はSU7 Ultra と同様に、バッテリーパック底部に「防弾コーティング」を採用。また、車体下部には1500MPaの耐傷性クロスビームを追加し、悪路や過酷な走行条件下でもバッテリーセルを保護している。
高いレベルの信頼性は、高次元の車両設計基準だけでなく、厳格な安全性および耐久性テストによっても確認されている。YU7の開発期間中、653台のテスト車両が合計1062万kmを走破。うち実道路試験は539日間にわたり、296都市を網羅した。試験環境は、酷暑のトルファン(最高53度C)、極寒の黒河(最低-41度C)、さらには標高5380mのチベット・アリ地区までおよび、中国の多様な気候や過酷な地形への対応力を実証。加えて、安全性、効率性、インテリジェンス、総合性能に関する多数の第三者機関による検証も実施され、すべて専門機関の認証を取得している。
24 時間耐久チャレンジ
優れたクルマを作ることへの挑戦も実施した YU7は最近、パワー、航続距離、充電性能、耐久性、信頼性の限界を試す過酷な24時間耐久テストに挑んだ。伝説的レース「ル・マン24 時間レース」に着想を得たこのチャレンジは、長距離走行、高速充電、高い性能、優れた熱管理を同時に求められるEVにとってハードルが高い。
YU7は、中国自動車技術研究センターの公式監督のもと、YU7 Maxのテスト車は24時間で 3944kmを走破し新記録を樹立している。速度210km/hを維持し、30回以上の超高速の急速充電を繰り返す走行であった。シャオミは、この24時間耐久テストに他のEVメーカーが加わることを望んでいる。
なお、この新型YU7は発売直後の3分間で20万台を受注しており中国のEVモデルでも新記録を打ち立てており、シャオミのブランド力の高さを物語っている。