ヒョンデ・モーター本社は、韓国のソウル・モビリティショーで開催されたグローバルローンチイベントで、最先端のFCEV(燃料電池車)を搭載するミッドサイズSUV「NEXO(ネッソ)」を発表した。

第2世代のネッソは、水素モビリティにおける先駆者であるヒョンデの技術的なノウハウや、27年にわたる燃料電池技術における経験がフルに活用されている。
またこのニューモデルは、カーボンニュートラルを実現するためにEVやハイブリッドだけではなく、水素電気自動車(FCEV)も車両電動化戦略のひとつであり、消費者に選択肢を提供するという存在意義もある。
新型ネッソは、水素を利用して発電する先進的な燃料電池技術により、テールパイプ排出ゼロを実現しており、同時に5分間の水素ガス充填で700kmの航続距離が得られるようになっている。

パワートレイン
パワートレインでは、燃料電池スタックの性能とモーター出力、パワーエレクトロニクスの性能向上が図られている。
その結果、システム総合出力は135kW(184ps)から190kW(258ps)に、バッテリーの出力は400kWから800kWに倍増されている。これらの改良により、0-100km/h加速タイムは7.8秒(従来型は9.2秒)とアップし、優れた加速性能とスムーズな追い越し性能を実現している。

燃料電池スタックの出力は総出力110kW、ネット出力94kW。水素タンクは3本搭載し、合計162.6L/6.69kgを搭載。高電圧バッテリーの容量は2.64kWhだ。そしてモーターの出力は150kW(204ps)/350Nmとなっている。
アンダーボディの最適化やエアフローマネジメントの強化など、エアロダイナミクスの改良により、空気抵抗を低減。ANC-R(アクティブ・ノイズ・コントロール)や吸音タイヤなどの採用により、ノイズ、振動、ハーシュネス性能は大幅に向上、特に加速時や悪路での車両の静粛性が高められている。
また駆動モーターは路面状況に合わせた駆動トルクコントロールを採用し、グリップ性能やハンドリング性能を向上。減速ではスマート回生システム(SRS)を採用し、ナビゲーションデータと先行車との距離に基づいて回生ブレーキを自動調整することで、運転の利便性を高めている。
全世界で利用可能なこのシステムは、地図情報を使用して、スピード取締りカメラ、曲がり角、スピードハンプなどの道路状況に対応。惰性走行の減速度を自動的に管理することで、ドライバーの負担を減らすことができる。
EVモデルと同様に新型ネッソはビークルtoロード(V2L)機能を備えており、車内外で多目的な電力供給が可能だ。
ボディ
新型ネッソは剛性の高いインナーフレーム構造を採用し、乗員と水素タンクを保護する。また最大9個のエアバッグも備えて乗員の安全性を高めている。
ボディ骨格は第3世代の高強度鋼板、ホットスタンプ材を使用することでボディ剛性を高め、効果的なパッシブセーフティ性能を確保。主な構造強化点としては、強化フロントエンド部品、ホットスタンプ加工されたマルチピースロワーサイドエリア、改善された前面衝突荷重経路、側面衝突用のマルチ荷重経路構造などが挙げられる。
もちろん衝突防止のための先進運転支援システム技術も備えており、現時点の最新機能をフル装備し、ドライバーの負担を減らすことができる。
デザインと装備
デザインは、は、ヒョンデの新しいデザイン言語「アート・オブ・スティール」を体現しており、素材本来の強さと自然の造形美を重視している。ボディは、スチールの耐久性と汎用性が緊張感と力強さをもたらし、芸術的なフォルムが実現している。

無骨さを感じさせる大胆なラインと堅固な構造に、ドアに施された水平の溝パターンは車両の耐久性を表現しており、全体的に都市とアウトドアの両方のライフスタイルに適合する造形になっている。

インテリアは、快適性と利便性を両立させるために広々とした空間となっている。まるでリビングにいるような暖かさと快適さを連想させるパターンのソフトで贅沢なパッドが使用されている。
ドライバー中心の湾曲したディスプレイ、直感的に操作できるコントロール類、収納スペースに優れたアイランド型センターコンソールなども特長だ。デジタルサイドミラーディスプレイは、ダッシュボードの一部としてシームレスに統合されている。ハイテク感にあふれた「家具付き空間」のイメージを作り出すデザインが特長だ。

新型ネッソは、従来モデルよりは、車内空間が長く、広く、高くなったことで乗員の快適性が向上し、ラゲッジ・エリアに新たに導入されたプラットフォームは、ユーザーがニーズに合わせて自由にアクセサリーを選べるように設計されている。ラゲッジ容量は993L/1716Lと極めて大きい。
前席のシートバックはスリム化され、2列目シートのニークリアランスとレッグルームが改善されている。2列目シートにはベンチレーションシートも設定され、リクライニング角度も従来より大きくなり、快適性を向上。
センターコンソール、ダッシュボードエリア、ドアトリムなど、キャビンのいたるところにスマートな収納を備えたことでより利便性が向上。また、道路速度制限アラートと連動したアンビエントムードライトによりプレミアム感を演出する。なお室内のトリム類やシート表皮はすべてサスティナブル素材が採用されている。
またセレクトレバーはステアリングコラム式に変更され、室内空間とデザインの自由度を拡大し、センターコンソールの収納スペースを拡大している。

FCEVルートプランナーを装備しており、エネルギーレベルが低下した場合に必要な充電ステーションをルートに組み込むことで、ドライバーが目的地に到着するのをサポート。水素ステーションの提案、水素燃料の状態表示、リアルタイムの水素ステーション情報を提供することができる。
インスツルメントパネルには、CCNC(コネクテッド・カー・ナビゲーション・コックピット)システムを採用し、12.3インチのドライバーインフォメーションクラスターと同サイズのインフォテインメントモニターを組み合わせた曲面ディスプレイを採用。
もちろんOTA(Over-the-Air)ソフトウェア・アップデートをサポート。また、自然な会話によるAI音声認識機能+音声アシスタント機能が備わっている。もちろんスマートフォンとの連携も可能だ。オーディオはバンク&オルフセンのハイエンド・サラウンドシステムを採用している。
