ヒョンデ ドイツで開発した高性能スポーツEV「IONIQ 5 N」のワールドプレミア WRCからのフィードバックで誕生 vol.1

ヒョンデは2023年6月にイギリスで高性能スポーツEV「IONIQ 5 N」のワールドプレミアを行なっている。「IONIQ 5」は日本を始めグローバルで展開しているヒョンデのEV専用モデルだが、「5 N」は、ヒョンデのスポーツ・シリーズのサブブランド「N」モデルであることを意味している。

■ Nブランド初のEVモデル
「N」シリーズは、2000年に開設されたヒョンデモーターヨーロッパ本社(ドイツ・オッフェンバッハ)が開発を担当している。ヒョンデモーターヨーロッパは、欧州など47カ国で2279の販売店を通じて車両を販売する地域本部で、2022年の市場シェアは4.6%。ヨーロッパ地域で販売されるヒョンデ車の70%以上は、現地で設計、開発されチェコとトルコの工場で生産されている。

2022年には、ヨーロッパで販売されたヒョンデの16%以上が完全電気自動車(BEVとFCEV)で、これにはIONIQ 5と、サブコンパクトSUVのKONA EVが含まれる。こうした実績によりヨーロッパにおけるEVの販売台数シェア、総販売台数においてトップメーカーのひとつになっているのだ。また、ヨーロッパにおけるヒョンデの現行ラインアップの80%以上が電動化モデルとなっている。

6月にワールドプレミアされたIONIQ 5 Nは、Nブランド初の高性能スポーツEVで、Nブランドの電動化の未来を象徴するモデルに位置付けられ、公道やサーキットで高性能を求めるエンスージアストにふさわしいモデルとなっている。もちろん5 Nに続くNシリーズのEVモデルも計画されているという。

■ 高性能スポーツモデルの追求
IONIQ 5 Nは、「E-GMP(Electrified-Global Modular Platform)」プラットフォームをベースに、世界ラリー選手権参戦で蓄積しているNモータースポーツのノウハウを投入し、日常からサーキット走行までをカバーできる高性能EVスポーツモデルとなっている。

ボディ骨格は、スポット溶接ポイントの大幅な追加、構造用接着剤の採用拡大、そしてモーターやバッテリーのマウント部の強化が行なわれ、フロントとリヤのサブフレームは横剛性を向上するなどボディ、シャシーをアップグレードしている。

世界ラリー選手権のノウハウを生かしたインテグレーテッド・ドライブ・アクスル(IDA:e-アクスル)をフロントとリヤに搭載する4WDとし、21インチ鍛造アルミホイールの装着を始め、バネ下質量を低減しながら、より強力な電気モーターのトルクに耐えるよう強化されている。

そしてステアリング・レスポンスとフィードバックを高めるため、ステアリング・コラムも強化し剛性を向上。ステアリングレシオをクイック化し、トルクフィードバックを向上させた専用チューニングのN R-MDPS(ラックマウント・モータードライブパワーステアリング)システムを採用。これらによりダイレクトでインフォメーションの優れたステアリング系を実現している。

■ 主要諸元
・モーター出力 フロント:226ps リヤ:383ps 総合出力:609ps(ブースト時は650ps)
・バッテリー容量 84kWh ・充電 350kW対応 充電時間は10%〜80%まで18分間
・ボディサイズ 全長4715mm、全幅1940mm、全高1585mm、ホイールベース3000mm
・タイヤ ピレリPゼロ 275/35R21
・動力性能 0-100km/h加速:3.4秒(ブースト時)最高速度:260km/h

なお、IONIQ 5 Nは2023年秋からヨーロッパで発売が開始され、その後、順次各市場に導入される予定だ。価格は現時点で発表されていないが、約6万3000ドルからと予想され、日本円では900万円台と推測されている。

IONIQ 5 Nの具体的な5Nの全貌はvol.2へ続く。

ヒョンデ IONIQ 5 関連記事
ヒョンデ 関連記事
ヒョンデ モーター ジャパン 公式サイト

ページのトップに戻る