【海外試乗】ヒョンデのニューカマーKONA・コナ electricを韓国・ソウルでドライブ。EV周辺の進化が早い

Hyundai・ヒョンデから新型のEVモデルがデビューする。2023年9月に国内導入予定のKONA・コナelectricをひと足早く韓国・ソウルで試乗できたのでお伝えしよう。

KONAはBセグメントプラスサイズのクロスオーバーSUVで、北米や欧州ではガソリン搭載のハイブリッドやプラグインハイブリッドもラインアップしているモデルだ。そのBEV版が日本に上陸するのだ。ボディサイズは全長4355mm、全幅1825mm、全高1575mm、ホイールベース2660mmとなっている。

KONA electricは2023年9月上旬に上陸予定。B+セグメントのSUVだ
ヒョンデモータースタジオの地下にあるパーキングスペースに並ぶKONA

2022年はIONIQ5が話題を作り、日本カー・オブ・ザ・イヤーのインポートカー賞を受賞している。2023年はKONAで賞典を狙うというわけだ。

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国内でのEV普及は欧州や中国、北米より緩やかな上昇率で、イノベーターやアーリーアダプターと言われる人たちにとどまっている。が、2022年は日産・サクラが軽自動車のEVとしてデビューしたことで、EVの普及期に入ったと言われている。

さて、試乗したKONAは日本仕様ではなく、本国・韓国仕様で左ハンドルのモデル。バッテリー容量は64.8kWhと48.6kWhの2タイプがあり、大容量のほうはロングレンジで150kW/255Nm、小さいほうが標準レンジで99kW/255Nmという出力だ。搭載バッテリーは三元系のリチウムイオンバッテリーでニッケル、マンガン、コバルトのNMCタイプを使っている。

シルエットはICE車を踏襲したデザインでノーズの長さもそれなりに確保されている

駆動方式はFWDで駆動モーターもフロントアクスルに搭載し約1700kg程度の車重になるという。プラットフォームは「K3」で、ICEを搭載できるように作られたEV優先設計のプラットフォームだ。サスペンションはフロントがストラットで、リヤがマルチリンクを採用し、乗り心地を重視したモデルという。

実際にステアリングを握ると、北米仕様なのか?と思わせる、ゆったりとした乗り心地で、ヒョンデの広報に聞けば、韓国仕様は北米仕様に近いもので、ゆったりとした乗り心地が好評という話だった。

ソウル郊外の市街地も走行してみた
ETCに相当するシステムはあるが、ゲートはなく80km/hで通過

ただ動き出しでアクセル開度に対する飛び出し感などは、日本では指摘されると理解しており、そうした微細なチューニングは行なって日本仕様を仕上げるということだ。もちろん、右ハンドルに変更され、もしかするとIONIQ5のようにウインカーレバーも右側にして導入する可能性がある。

またADASもKONAの魅力としているが、今回の試乗では高速道路でのテストのみで詳細はわかっていない。だが、リモート駐車機能は備えており、国内仕様にも対応してくると思う。そして高速道路ではワンタッチでのACC稼働など、使い勝手は良い。

日本には右ハンドルで輸入される
運転席からのインパネ視界は、もはや従前の車とは違う乗り物になってきた印象だ

インテリアでは12.3インチのパノラミックディスプレイや充電時車内でリラックできるように、フロントシートがリクライニングする「リラクゼーションフロントシート」を装備。リヤシートにもリクライニング機能を持たせ、もちろんフラットなフロアなのでゆったりとした足元の広さが確保されている。そしてラゲッジは466Lあり、バッテリーの搭載で犠牲になるようなことはない。

車両価格は不明だが、IONIQ5より100万円は安くなる予定だという。現在IONIQ5は479万円から販売されており、競争力のある価格帯になる可能性があるのだ。

量販EV車にも当たり前のようにARナビが装備されている
左ウインカーで後方画像表示。105km走って残り72%、電費は5.7km/kWh

ここでヒョンデのEVへの取り組みを見てみよう。まず急速充電器をテスラのように自前で開発している点に注目だ。E-Pitと呼ぶ急速充電器は50kWから350kWまで対応し800Vの電圧で充電する。車両の仕様にもよるが約18分で充電完了する。

E-Pit。急速充電は18分で完了するが、15分以内を目指しているという

さらに充電プラグの形式は、韓国はCCS1タイプで、車両に差し込むだけで車両認識と支払いができてしまうのだ。また充電完了から15分以内に動かさないと再びペナルティだか手数料だかの料金が発生する仕組みにもなっており、充電完了車の放置課題はないわけだ。

そしてHyundaiオーナーには専用の料金プランが用意され、CCS1を使う他社モデルとは差別化されている。さらに重たい充電ケーブルは吊り下げ式になっているので、それほど力を使わずともプラグに差し込めるようになっている。また普及型の400V充電器では、天井にケーブルを配し360度回転するので、充電口がどこにあっても容易に充電ケーブルを差し込める利便性がある。

充電ケーブルが360度回転するので駐車方向を気にせず停められる

このようにカーメーカーが独自の急速充電装置を開発しているのはテスラとヒョンデだけで、EV化への本気度が伝わってくる。国内では2023年6月にレクサスがオーナー向けサービスとして急速充電施設を始めたばかりで、インフラ整備を待ち、ディーラーに設置するだけの国内メーカーとは攻めのスタンスが違うようにも感じられる。またネット販売だけという売り方も新しく、製造・販売のビジネスモデルからモビリティサービスへの転換の受け止め方、対応の仕方が違っていることがよくわかる。

ヒョンデモビリティジャパンの社長、趙源祥(チョ・ウォンサン)氏。欧州、中国に駐在しジャパンの社長になった

ついでに、EV車の価値とは?がよく問われているが、ひとつには基本性能の競争領域としてモーター出力と電池搭載量があり、電池にはコスト、電費、耐久性=残存価値が求められている。そしてプラス価値として自動運転とコネクテッドによるサービスの提供がある。

KONA electricはOTA対応を基本としていることや上記のように充電に関する技術も投入されている。もちろん、量販を狙っているモデルなので、安価な設定しているため電池容量は少ないものの、EV車としての価値は高いのではないだろうか。韓国製品に対する嫌韓感情を持つ人もいると思うが、技術をフラットな目線で見ていくと、日本はかなり遅れをとっている印象を持つ試乗だった。

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