【スズキ】マイナーチェンジソリオ試乗記 デュアルジェットエンジン搭載で走りと燃費を改善 レポート:髙橋 明

マニアック評価vol235

2010年12月に発表された新型車ソリオがマイナーチェンジを受け、デュアルジェットエンジンとスズキ・グリーンテクノロジーの搭載。そしてエクステリア、インテリアの一部意匠変更などが行なわれている。詳細はコチラを参照いただきたい。ソリオMC

試乗インプレッションのハイライトになるのは、やはりエンジンが変わったことだろう。従来のシングルジェットタイプエンジンとは出力スペックの差がなく67Kw/118Nmで、トルクフィールを向上させたということだ。もちろん狙いは省燃費であり、Xグレードの2WDで比較すると20.6km/Lと25.4km/Lという大きな差がある。

デュアルジェットエンジン搭載

ちなみに車輌の価格差は12.5万円で、月に1000km走行したとして、ガソリン代160円/Lの計算をしてみると、モード燃費通りであれば月額1600円安くなる。車輌価格の差をガソリン代だけで元を取ろうとすれば約6.5年で追いつき、さらに装備面での違いやエコクール、アイドリングストップなどの進化した機能を考えればお得感のあるモデルだと思う。

デュアルジェット部デュアルジェットイラスト

さて、デュアルジェットエンジンだが、出だしのトルク感や走行中のアクセルの踏みなおしからの加速フィールなどが向上しているという。1.2Lの自然吸気+CVTというパワーユニットで、エンジントルクの特性変更とCVTのマッチングを変更して、そう感じさせるのだろう。正直なところソリオオーナーではないし、シングルジェットとの乗り比べをしたわけではないので、はっきりとしたフィールの違いを言いにくい。だが、試乗した幕張の臨海エリアでは信号のゴーストップも、また途中からの加速でも不満には思わなかった。クラスレベルのパワー感だと思うし、出だしのかったるさやトロさは感じなかった。

真横両側スライド

もともと乗り心地の良いソリオは14インチ、15インチの設定があり、今回は15インチにも低転がりのタイヤが標準装備された。ブランドはヨコハマのブルーアース。エア圧も2.4barで常識的な範囲だ。燃費を向上させるために3.0bar近いエア圧にして乗り心地も犠牲にして省燃費にするという、本末転倒とも言える手段は使っていない。

その低転がりのタイヤは総じて乗り心地が硬めに感じることがあるが、ソリオでは感じられず本来の乗り心地は維持されていた。ソリオの乗り心地が良く感じるのは、タイヤからの入力がソフトに感じることであり、ガツンという衝撃を感じさせないものになっている。残念ながら後席でのチェックができなかったが、おそらく後席でも乗り心地の良さは確保されていると思われる。

ソリオMC

エンジン音もそれほど車内には入らずまた、ロードノイズも適度ではないだろうか。乗り心地が良い分、もう少し静粛性を高めてもよいのかもしれない。逆にエンジン音の音質に手を入れてみるのはどうだろうか。今は実用車のエンジン音になっているので、聞こえないほうがベターだ。でも音質がかわれば聞こえるほうがいいわけで、ミニバンタイプのワンボックスはNVHでのハンデを逆手に取る方法があってもいいと思う。

ステアリング操舵感はしっかりしたもので、ハンドルまわりを叩くと横方向の振動が多いものの、実際の走行では全く感じることはない。電動アシストの制御も良く、特にSAT(セルフアライニングトルク)もしっかりあり、ナチュラルに感じる。以前、駐車場での切り返しの際、やや電動アシスト量が少なく感じ、重めだとレポートしているが、今回タイヤの性格が変更されたためか、重くはなかった。エンジニアに確認しても電動パワーステアリングの制御変更は行なっていないということなので、タイヤによる影響がいい方向に出たのだろう。

インパネ

アイドリングストップは13km/hから作動する。減速途中からの加速でも違和感なく再始動するので、何も不安はない。また、踏力をソフトに使った減速をした場合、アイドルストップが作動しない場合がある。これは再始動時にクルマの飛び出しを警戒しての制御ということなのだが、ソリオのアイドルストップはソフトタッチでもしっかり作動し、もちろん再始動時にクルマが動いてしまうようなこともなかった。

今回のトピックは燃費であり、そのためのエンジン投入だが、運転の仕方も考慮しなければそのメリットを活かしきれない。ソリオにはエコドライブアシストというメーター表示でエコドイラブを分かりやすく表示する機能が追加されている。通常の運転時速度計まわりはブルーで表示されるがエコ運転になるとグリーンに変わる。またエネチャージでエネルギー回収をするとホワイトに表示され、簡単で分かりやすいサポート機能になっていた。

発売当初1630mmという幅は微妙なサイズだと思ったが、こうして試乗を繰り返すうちに絶妙なサイズだと思うようになってきた。国内専用モデルに特化したモデルであり、販売エリアも都市部、農村部、山間部を問わず平均的に売れているという。大きいミニバンが不要になり、軽サイズでは不便というユーザーに響く稀有なモデルと言えるだろう。このサイズのSUVがあってもいいのかも?という気もしてきた。

価格表

 

 

スズキ公式サイト

 

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