トヨタ ノア/ヴォクシーが4代目へとフルモデルチェンジし、TNGA-Cのプラットフォーム、新規開発したハイブリッドシステムを搭載して登場した。多様化するニーズに応えるモデルとしてさまざまなアイディアと技術を投入した新型ノア/ヴォクシーに試乗してきたのでお伝えしよう。
ボディサイズは全長4695mm、全幅1730mm、全高1895mmそしてホイールベースが2850mmで、2.0Lのガソリン車と1.8Lハイブリッド車をラインアップ。ハイブリッドモデルには新たにE-Fourの4WDもラインアップした。もちろん両側スライドドアで7人乗り、8人乗りがありFF、4WDが選択可能。価格はノアが267万円~389万円、ヴォクシーは309万円~396万円となっている。
力強い新世代ハイブリッド
新世代ハイブリッドシステムは、モーター本体やインバーター、バッテリーなど全てが新規設計となり出力をアップさせながら小型化した新ユニットになった。70kW/185Nmのモーターに、1.8Lの2ZR-FXE型で出力98ps/142Nmのエンジンを組み合わせたシリーズ パラレル式ハイブリッドだ。
試乗してみると発進時のダッシュ力が力強く、およそファミリーカーのイメージを覆すパワフルさがある。そして試乗ルートが都心部の一般道だけだったが、静粛性や乗り心地の良さも光っていた。
ロードノイズの車内への入り込みや風切り音は抑えられ、また3列目からドライバーとの会話も普通にできる静粛性がある。声を張り上げたり、耳を澄ます必要がなく会話できるというのは、こうしたワンボックスタイプではハードルが高いものだが、静粛性のレベルは高い。
最新の安全予防装置を装備
新型のノア/ヴォクシーはプラットフォームも一新されGA-Cプラットフォームを採用している。アップライトになりすぎず、乗用車ライクなドラポジになるよう設計され、それでいてアイポイントは高くなるポジションだ。
フロントウインドウは広大な面積を持ち、ワイパーブレードなど視界の邪魔になるものが一切ない。さらに左右の大きな三角窓は死角を減らし、見晴らしの良い運転席になっている。
新型ノア/ヴォクシーのセールスポイントに予防安全装備「トヨタセーフティセンス」のレベルアップがある。プリクラッシュセーフティや、ブランドスポットモニターなどではセンサー類の高機能化が行なわれ、より広い範囲での検知が可能になり安全性が高められている。
ブラインドスポットモニターでは、後方からくるクルマや自転車に対するアラート機能を備え、かつスライドドアの開閉が途中で中断するなど「うっかり」を予防する措置が取られている。
運転支援機能系の「トヨタチームメイト」の「アドバンストドライブ」では駐車機能のパークアシストに磨きがかかった。駐車可能スペースの判断の速さや切り返しの速度など運転になれた人の駐車ペースと同等の速やかさがあった。またヘッドイン駐車も可能になっている。
さらにスマホを使った車外からの操作も可能になった。専用アプリをダウンロードしドライバーはクルマを降車し、アプリの操作で駐車できるのだ。こうした高級車向け装備も備わってきていた。
渋滞時支援機能では、前走車が停止した場合、3秒以内であれば自動再発進していたが、これが3分にまで拡大しより利便性が高くなっていた。
便利機能ではリヤゲートに工夫があり、どの位置でも開閉を止めることができるようになった。障害物があるような場所でのリヤゲートオープンでは、完全に開けてしまうと障害物に当たってしまうような場面では、手で抑えていなければならなかったが、少し押し下げる動作を入れるとその場で開閉が止まる機能を搭載した。
カラクリは開口部左側ピラー内にワイヤー巻き取り装置を取り付けたことで対応している。これは掃除機の電源コードの巻き取りと同じイメージで、どの位置でもコードの引き出しを止めることができるのと同じ仕組みだ。そして自動開閉ドア機能ではリヤゲートにはボディ左サイドにスイッチを設け、スライドドアには足の蹴り込み動作で開くハンズフリーデュアルパワースライドドアを装備した。
そしてユニバーサルステップもオプション導入したが、従来はアクチュエーターを使った仕組みを、今回はスライドレールを利用したアイディアパーツにすることで、大幅なコスト削減ができ車両価格に影響の少ないレベルで提供することができた。
さらに2列目キャプテンシートのスライド量は745mmもあり、広大な2列目スペースが現れ、オットマンの装備やソファーモードなどのシートアレンジの幅が広くなっていた。
そして3列目シートはワンハンド格納が可能になった。レバーを引くと背もたれが倒れ、ステーが外れてフリーになり、サイドへはね上げるとカチッとロックされ固定できるのだ。実に軽い力でできるので、女性でも楽々操作が可能だ。
最先端のハード類
こうした使い勝手や便利機能、安全装備などを充実させた新型ノア/ヴォクシーのハードパーツを少し見てみると、TNGA-Cを採用し、ボディにはハイテン材を採用。大きな開口部にはスポット溶接の打点を最適化しボディ剛性をアップしている。これはドライブしても感じるもので、左右のスライドドア、リヤの大開口部をもちながら、Bピラーやリヤゲート周りのシッカリ感が伝わってくる。
2.0Lの4気筒エンジンはトヨタの最新環境エンジン「ダイナミックフォース」M20-FKSで、高速燃焼による高効率化で省燃費、環境負荷低減するエンジンだ。WLTCモードは15.0km/L。ガソリンモデルには従来どおりFFと4WDが用意され、駆動配分を自動制御する効率のよい機械式4WDだ。
ハイブリッドは冒頭説明したように、新世代ハイブリッドとなり、クラストップの低燃費で23.4km/L(FF/Xグレード)となっている。そして新たにリヤに駆動モーターを搭載するE-Fourを設定し、ノア/ヴォクシー全車にFFと4WDから選択可能になった。ちなみにリヤの駆動モーター出力は30kW/84Nmとなっている。
そしてもうひとつのトピックが制御ソフトウエアのOTAが可能になったことだ。つまり、ディーラーへ行かずともアップデートできる仕組みに進化したのだ。
そのために、制御用コンピューターを刷新し、メモリーの増大などで今後のアップデートに対応できるコンピュターへと変更している。常時接続や車内Wi-Fiなども可能になり、これまで高機能安全装備は車両の買い替えをしない限りアップデートできなかったが、4代目ノア/ヴォクシーからは乗り換えをしないでも最新の装備にアップデートできるのだ。<レポート:高橋アキラ/Takahashi Akira>