トヨタは2023年3月1日、予告通りプリウス PHEVを発表した。グレードは「Z」グレードのみで、3月15日から発売される。
今回、Zグレードに設定するPHEVモデルは、コンパクトで大容量な駆動用バッテリーと、高出力の駆動用モーター、高効率なガソリンエンジンを組み合わせた最新のPHEVを搭載しており、プリウス中でハイパフォーマンスモデルという位置付けになっている。なお、トヨタは先代のプリウスまでは「PHV」と称していたが、今回から「PHEV」に改称され、バッテリー容量の拡大、EV走行距離を重視するトレンドに合わせている。
マーケットとしては、ヨーロッパ市場ではPHEVのみが販売され、アメリカ市場でもこのPHEVモデルがメインとなり、その一方で日本ではこのPHEVは月販目標は450台とハイブリッド・モデルに比べ10%程度の規模とされている。
プリウスPHEVは、アトキンソンサイクルのM20A-FXS型2.0Lエンジンで151ps/188Nmを発生し、フロントの駆動モーターで163ps/208Nmを発生する。システム最高出力は223psとなっている。先代モデルのPHVに比べ約2倍のシステム最高出力となっているのがポイントである。また動力性能は0-100km/h加速は6.8秒となっているが、最高速は177km/hで、ハイブリッド・モデルよりやや低い。
なおバッテリー容量は13.6kWh/51Ahで、先代PHEVの1.5倍の容量になっている。そのためEVモードでの走行距離は、19インチタイヤ装着車で87km、17インチタイヤ装着車では従来型比で75%アップとなる105kmを達成する。したがって日常での通勤や買い物ではEV走行のみで走りきることができ、家庭で充電を行なうことで、ガソリンを使用することなく乗り続けることも可能だ。またもちろんアメリカのZEV規制も問題なくパスすることができる。
WLTC燃費は19インチタイヤ装着車は26.0km/L、17インチタイヤ装着車では30.1km/Lとなっている。
またPHEVならではの機能として、アウトドアで役立つバッテリーの電力を外部に給電できる「EV給電モード」を備え、停電や災害などの非常時にクルマを電源として活用できる「HEV給電モード」を設定。HEV給電モードでは、最初はバッテリーのみで給電し、バッテリーが一定の残量を下回るとエンジンがかかり発電しながら給電を継続する。
外部給電は、バッテリー満充電・ガソリン満タンの状態から約5日分の電力を供給可能な能力を持っている。給電用の装備として、室内への虫などの侵入や雨天での雨水の侵入を防ぐ外部給電アタッチメントを標準で装備し、ドアガラスを閉じたままでの外部給電を可能としている。また、付属のヴィークルパワーコネクターを充電インレットに差し込むことで、100V/1500Wの外部給電コンセントとしても活用できる。
新型プリウスPHEVは、従来のPHVモデルと同様にオプションでルーフにソーラーパネルを装着できる。このソーラーパネルは第2世代に進化し、標準的な日照時間では1年間でEV走行1250km分に相当する電力を発生させることができるという。なおソーラーパネルの機能により、駐車中は駆動用バッテリーへ充電し、同時にエアコンなどさまざまな機能に電力を供給。走行中は12Vの補機バッテリー系統に給電することで駆動用バッテリーの消費を低減させることができる。
デザイン面では、プリウス共通のデザインを採用しつつ、PHEV専用のデザインとして、ハイパフォーマンスな走りを予感させるスポーティでダイナミックな造形の19インチ・アルミホイール、先進性を強調する金属調シルバー塗装のロワグリルとグレースモークカラーのテールランプを採用している。