プリウスのブレーキ問題

プリウス 30型

今日、現行型のプリウスのオーナーと話をしたら、例のリコールでのブレーキ制御のアップデートを行った後、通常のブレーキ・フィーリングがとてもよくなったという感想を聞いた。
「え?」、である。
トヨタの発表ではABS作動時の油圧を、機械式油圧を使用するのを止め、20型までのような電動ポンプによる油圧にもどした・・・とのことであったが、なぜか通常のブレーキでのフィーリング、自然な効きの感じが向上したという。それもかなり敏感な人だけがわかるということではなく、誰でもわかるようなフィーリング改善だそうだ。
もう一点は、朝一に始動した直後は、超カックン・ブレーキのフィーリングが顕著だったのが、その点も今回のアップグレードで改善されているという。
オーナーは、他のプリウスのオーナーにも確認したが、全員がそういう感想だという。

ということは、今回のリコールによる対策は、周知のABS作動時のプログラム変更だけではなく、ブレーキフィーリング全般、つまり電動ポンプによる油圧制御の油圧特性全般が見直されていると推定せざるを得ない。
もちろん改善されたわけであるから文句をいう筋合いではないが、この時点で、つまり発売後1年を経ずしてアップグレード・データが存在するということは、社内では思い当たるふしが多々あったのではないか。
逆に言えば、やはり発売時点でじゅうぶんにやり切れていなかったのではないか、ということができる。
むろん、クルマの開発では、さまざまな事情で(例えばサプライヤーにパーツの改良要求を出したが発売時期までに間に合わない)見切り発車の発売を行い、1〜2年後に改良するというやり方も存在するが、ことはブレーキというもっとも基本的かつ重要な性能、特性だけに、それはちょっと問題といわざるをえない。

文:松本晴比古

 
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