トヨタは2015年8月17日、ランドクルーザーをマイナーチェンジして同日より発売を開始した。今回は内外のデザインを一新するとともに、歩行者も検知する衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」をトヨタ車として初めて採用している。
まずエクステリアでは『Functional Beauty』をキーワードとし、機能性を突き詰めた“美しさ”や“風格”により、4WD の頂点にふさわしいスタイリングを追求。高い位置でサイドの軸を通すことで、車両全体で伸びやかなスタイルの実現を目指した。またフードからグリルまで、凸形状を保ちながらフードセンター部をえぐることで、フロント全体の塊感と立体感を強調。さらに3本のグリルバーの上下にメッキを施すことで、最上級SUVにふさわしいフロントマスクを訴求した。
今回は灯火類もアップデートされた。LEDヘッドランプを採用し、それらを奥に配置して破損回避を図りながらも、グリルからランプに連続したフレームと一体感のあるデザインとすることで、機能性と先進感を付与している。さらにリヤコンビネーションランプ下側をつなぐライセンスガーニッシュにより一体感を強調し、リヤビューに ワイド感と安定感を付与。リヤコンビネーションランプはバックドアパネルから連続するデザインとし、赤色のレンズを高い位置にレイアウトすることでハイリフトなイメージを表現している。
そのほか、アルミホイールと外板色にも注目したい。ZXに標準の20インチは、切削・光輝処理とグレーのコンビネーションを施した動きのあるV字デザインの組み合わせによる、高級感あるデザインが特徴。一方でAXとAX“Gセレクション”に装備される18インチは、放射状に広がる5本のツインスポークによる立体感あるデザイン。外板色には新たにカッパーブラウンマイカとダークブルーマイカを追加し、全9色を設定している。
インテリアにも大幅なモディファイが施された。金属を削りだしたようなヘアライン処理で重厚感のある加飾部とソフトな表皮巻を組み合わせることで、上質な室内空間を創出。センタークラスターにはスイッチや表示類を集約し、機能ごとにまとめて配置することで操作性を向上させている。さらに、ひと目でクルマの状況が把握できる機能的なオプティトロン式6眼メーターを採用している。
このメーター盤面にもヘアライン加飾を施して質感を向上させるとともに、中央には4.2インチTFTカラー 液晶画面を配置。運転状況やナビゲーションと連携した情報をカラーで表示することで、ドライバーを サポートする。シート表皮にはセミアニリン本革を採用するとともに、天井色にもブラックを追加。内装には新色のブラウンを含む4色を設定している。
先進の安全デバイスを標準装備
新型ランドクルーザーには衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」をトヨタで初採用し、全車に標準装備とした。これはミリ波レーダーと単眼カメラを用いた統合的な制御により、クルマだけでなく歩行者も認識する歩行者検知機能付き衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ(PCS)をはじめ、4つの先進安全機能をセットにしたものだ。
この歩行者検知機能付き衝突回避支援型PCSとは、ミリ波レーダーと単眼カメラを用いて前方の車両や歩行者を検出。これに対して警報、ブレーキアシスト、自動ブレーキで衝突回避支援および被害軽減を図るもの。自動ブレーキは歩行者に対しては約10~80km/h の速度域で作動し、もし歩行者との速度差が30km/hの場合には約30km/h減速し、衝突回避や衝突被害の軽減を支援。また車両に対しては約10km/h~最高速の幅広い速度域で 作動し、例えば停止車両に対し自車の速度が40km/hの場合には約40km/h減速し、衝突回避 や衝突被害の軽減を支援する。
2つ目の先進安全機能はブレーキ制御付きのレーダークルーズコントロール。これは先行車との車間距離の検知にミリ波レーダーを使用し、設定車速内で先行車の車速に合わせて速度を調節することで、一定の車間距離を保ちながら追従走行が可能。前方車両の車線変更をミリ波レーダーと カメラで検知し、よりスムーズな加減速制御を実現している。
3番目のでデバイスは、レーンディパーチャーアラート(LDA)カメラによる車線逸脱の回避支援システム。カメラの画像で走行車線の白線や黄線を認識し、車線逸脱の可能性を検知した場合にはブザーとディス プレイ表示でドライバーに警報を出すというもの。
そして最後が、オートマチックハイビーム(AHB)カメラによる夜間の前方視界確保を支援するシステムだ。これはカメラによって対向車のヘッドランプ、または先行車のテールランプを検知し、ハイビームとロービーム を自動で切り替える仕組み。他の車両のドライバーの眩惑を低減する効果も併せ持つ。
そのほか、隣の車線を走る車両をレーダーで検知して、車線変更時の後方確認をアシストするブラインドスポット モニター(BSM)を採用。また駐車場から後退する際に接近してくる車両をBSMのレーダーで検知し、ドライバーに注意喚起するリヤクロストラフィックアラートも設定。さらに急ブレーキをかけるとハザードランプが自動的に点滅し、後続車に注意喚起する緊急ブレーキ シグナルも全車に標準装備とされた。
今回のマイナーチェンジでは、パノラミックビューなどにより、まわりの安全を確認できるマルチテレインモニターを設定。また、 今まで確認できなかった車両下の情報やタイヤ位置の確認が可能となったアンダーフロアビューを世界初採用。さらにディスプレイ上に地平線を水平表示することで前方の路面形状、車両の傾きを直感的に確認することができるフロントビュー回転表示も世界初採用している。 また、4輪それぞれの空気圧をマルチインフォメーションディスプレイ内に表示可能としたタイヤ空気圧警報システム(TPWS)を設定している。