2013年11月に3代目となる新型ハリアーが発表され、ガソリン車が12月から、ハイブリッド車は2014年1月15日から発売される。2代目のハリアーは2012年9月に生産を終了し、約1年間のブランクを経て後継モデルが発売されるという異例のニューモデル登場だが、それには理由があった。
初代、2代目のハリアーはレクサスブランドの「RX」としても販売されていたが、今回の3代目からは日本専用モデルという新たなポジショニングが与えられ、プラットフォームもレクサスRXとは別のRAV4系のものに変更された。
このため、レクサスRXはこれまで通り九州工場で、新型ハリアーは高岡工場での生産となっている。ボディサイズは、これまでのレクサスRXと共通ボディからわずかにダウンサイズされているが、パッケージ的には居住性に文句はない。
クロスオーバーSUVブランドのハリアーは、SUVルックの上級モデルで、このクラスのパイオニアであるが、同時にトヨタ車のなかでは若い男性ユーザー層を吸引する貴重な車種となっている。そのためエクステリアのデザインは水平基調としながらダイナミック感を訴求した「エレガント・ヴェロシティ」をテーマにしている。
側面から見ると、フロントオーバーハングはクロスオーバーSUVとしては長く、リヤは短くしている。またフロントグリルがガラス感を表現した樹脂製で、ヘッドライトと一体化させたデザインだ。ただ一目見た印象では、やや装飾性が過ぎるという気もする。
インテリアは先進性と高級感を前面に打ち出している。ダッシュボードやドアトリムはソフト素材とし、ダークな木目長パネルとの組み合わせ。オプションの本革シートはブラック、基本設定の内装色はファブリック+合成レザーでブラックかアイボリーを選択できるが、インスツルメントパネルのカラー、木目パネルなどはダークな配色で、モダンというよりオーソドックスな印象だ。なお細部では、スマートフォン、携帯電話の格納スペースが設けられ、置くだけ充電(ワイヤレス充電)ができるのは最新モデルらしい装備だ。
ドライビングポジションはSUVとしては低めだが、乗降性は良好だ。リヤシートの足回りのスペースもたっぷり確保されている。またステアリングホイール位置の調整も電動テレスコ+チルトで、乗降時のオートチルトアウェイ・リターンも備えているのは上級モデルらしい。
運転席からの斜め前方の視界は、ドアミラー位置を考慮するなどしているが、Aピラーが前進し傾斜角が強めのため、少し圧迫感がある。
搭載するパワーユニットは、アトキンソンサイクル・タイプの2.5L・直4エンジン+前後2モーターのハイブリッド、THSⅡ+E・Fourと、2.0L・直4の3ZR-FAE(バルブマチック付き)の2種類のみ。
ハイブリッドモデルのシステム総合出力197ps。トルクはエンジンが206Nm、フロントモーターが270Nm、リヤモーターが139Nmで、車両重量1800kgに対して十分なトルクといえる。特に走り出しはモータートルクの力強さが感じられる。もちろん燃費もクラス随一だ。
一方、ガソリン車の3ZR-FAE型エンジンは151ps/193Nmの出力で、CVTとの組み合わせている。車両重量がFFモデルで約1600kg、4WDモデルで1630kgということを考えると、市街地での日常的な使用では問題はないものの、動力性能はクロスオーバーSUVとしてはやや非力さを感じる。
エンジン自体はレスポンスがよく、吹け上がりも悪くないがトルク感が薄い。4WDはフルタイム4WDではなく電子制御カップリング式で通常走行ではFF、発進や滑りやすい路面で後輪にトルクを分配するシステムだ。なおこの4Dはコーナリング時にアンダーステアやオーバーステア傾向を前後トルク配分で可変制御するダイナミックトルクコントロールを新採用している。もちろんハイブリッド車のE・Fourも同様の制御を行なうようになっている。もっとも市場では、ガソリン車を選択するなら約20万円安いFFモデルが主流となるだろう。燃費はFF車が16.0km/L、4WD車は15km/Lだ。
乗り味は、SUVというより乗用車的で、特に室内の静粛さ、乗り心地の滑らかさが強調されている。静粛性はクラスでもトップレベルで、乗り心地は綺麗に舗装された路面での乗り心地は優れているが、大きめの段差があるような路面では足回りがばたつく印象だった。そういう意味では、クロスオーバーSUVというよりやはり乗用車的なのだろう。
ステアリングの操舵フィーリングも滑らかで軽く剛性感があるが、路面のインフォメーションはもう少し欲しい気がする。
新型ハリアーの価格だが、ハイブリッド車が360万円~447万円と高価格帯モデルであり、ガソリン車は300万円弱という価格帯という設定だ。やはりコスト・パフォーマンスで考えるとガソリン車がメインと考えられる。
なおナビ+パノラビックビューモニター(左右確認機能付き)、レーダー式プリクラッシュ自動ブレーキがプレミアム・アドバンスト・パッケージに標準装備され、レーンデパーチャーアラート(操舵アシスト付き)はプレミアムグレード以上に標準装備となる。
一方、ドライバー支援システムがプレミアムは+25万円、プレミアム・アドバンスト・パッケージは、プレミアムに対して+50万円とやや高めの設定になっている点がちょっと気になる。