トヨタは2019年11月25日、東京モーターショーに出展した全長5300mm、全幅1970mmのフルサイズ・ミニバン、新型「グランエース」を12月16日から発売すると発表した。年間の販売目標は600台とされている。メインは法人向け販売で、ショーファードライブでの使用が想定されている。
新開発されたの海外向けミニバン
新型「グランエース」はもちろん日本初登場だが、ベースになっているのはH300型の海外向け「ハイエース」だ。TNGAコンセプトを採用し、ハイエースとしては初のセミボンネット・タイプのボディを採用している。このハイエースは2019年2月にフィリピンで発表され、オーストラリア、インドネシア、フィリピン、メキシコなどで販売されている。
そしてこの新型ハイエースをベースにして、2019年5月にラグジュアリー乗用ワゴンが新登場した。このミニバン・ワゴンは、グランエース、グランビア、マジェスティ、ハイエース・スーパーグランディアなど仕向地ごとの車名が与えられている。
今回、日本に投入されるのもこの乗用ワゴンタイプで、車名は「グランエース」が選ばれている。セミ・ボンネットのパッケージを採用し、上質な室内空間、静粛性や走行安定性など基本性能の高さを重視して開発されている。
デザインとパッケージング
金属調の大型ラジエーターグリルと一体化されたヘッドランプ、上下、左右方向に張り出したフロントグリルなど、アルファードなどと共通の強い押し出し感を感じさせるフロントビューを採用。
ホイールアーチはオーバーフェンダー処理とし、ボディサイド下端の金属調モールはリヤバンパーまで回り込むなどデザインとし、踏ん張り感のあるエクステリアとしている。
またボディサイズは、ホイールベース3210mm、全長5300mm、全幅1970mm、全高1990mmというワイド&大型サイズにも関わらず、FR駆動方式を採用しているため最小回転半径5.6m(17インチタイヤ装着時)を達成。十分なステアリング切れ角とギヤ比の設定により、市街地での取り回しの良さを実現している。
インテリアは、室内長3290mm、室内幅1735mmのゆとりある空間に、3列シート6人乗り、4列シート8人乗りの2タイプを設定している。3列シートの「プレミアム」は、2列目と3列目の4座席に、ゆったりとくつろげる専用のエクゼクティブ・パワーシートを採用。座り心地の良さに加えて、ロングスライド機構やパワーリクライニング機構、パワーオットマン、快適温熱シート、格納式テーブルなど、快適な装備を充実させている。
4列シートの「G」は、2列目にエグゼクティブ・パワーシート、3列目にレバー操作でシート調整可能なリラックス・キャプテンシートを設定。4列目には、ワンタッチで座面が跳ね上がる6:4分割チップアップシートを採用し、乗車人数や手荷物の量に合わせてフレキシブルに対応できるようになっている。
後席の乗員を包み込むように、フロントシート背面からサイドトリムに向かって配した木目調加飾を設置し、加飾に沿って優しく灯されるLEDサイドカラーイルミネーションなど、クールさの中にも落ち着きのある上質感を演出している。
スライドドアの開口幅は1000mmと大きく設計し、後席への乗降性を向上させている。また事前予約をして、スマートキーを携帯し車両に近づくとスライドドアが自動的に解錠し開く「ウェルカム・パワースライドドア」機能を搭載したスマートエントリー&プッシュスタートシステムを全車に標準採用している。さらに、スライドドアが閉じ始めれば、スマートドアロックを受け付け、完全に閉じたタイミングで自動的に施錠する予約ロック機能も設定されている。
パワートレーンとボディ、シャシー
搭載されるエンジンは、1GD型の2.8L・直列4気筒クリーンディーゼルエンジンで、トランスミッションは6速ATを組合わせている。高級車に求められる滑らかさ・静粛性に加え低回転からトルクフルな走行を実現し、WLTCモード走行燃費は10.0km/Lを達成している。
1GD型ディーゼルエンジンは、DPR(粒子フィルター)や尿素SCRシステムの採用により、窒素酸化物(NOx)を大幅低減。これにより排出ガス規制の基準「ポスト新長期規制」に適応させている。
グランエースは、フロント縦置きエンジン、リヤ駆動方式を採用。アンダーボディは、サイドメンバーを前部から後方までストレートに通すストレートラダー構造とし、フロア面のねじれ剛性を確保。さらには、各ピラーをアンダーボディと結合した環状骨格構造を用いることで、高剛性ボディを実現している。
サスペンションは、フロントがマクファーソン・ストラット式独立懸架、リヤは5リンク式トレーリングリンク車軸式を採用している。高いボディ剛性に合わせて、サスペンション・ジオメトリの最適化やストローク量の確保により、接地感ある上質な乗り心地と走行安定性を両立させている。
またエンジンルームと室内を隔てるダッシュパネルに減衰効果の高いサンドイッチ鋼板を使用するなど、制振材・吸遮音材を効果的に配置。様々な路面環境でも高級ワゴンにふさわしい静粛性を追求している。
装備
トヨタ最新のコネクティッド技術を採用し、通信モジュール、ディスプレイオーディオを標準装備している。さらにスマートデバイスリンク方式のスマートフォン連携も採用しており、スマートフォンのアプリをディスプレイ上で操作できる。
またTコネクト契約をすることでApple CarPlay、Android Autoとも連携できるようになっている。
安全装備では、歩行者(昼夜)や自転車運転者(昼間)を検知対象に加えたプリクラッシュセーフティ採用の予防安全パッケージ「トヨタ セーフティ センス」を装備。
さらに駐車時など、静止物を検知して衝突被害の軽減に寄与するインテリジェントクリアランスソナーや、駐車場での後退時に左右後方から接近する車両を検知し衝突の可能性がある場合、ブレーキを制御するリヤ・クロストラフィックオートブレーキ、そしてデジタルインナーミラーも装備している。