2013年9月9日、トヨタは新型「クラウン マジェスタ」を発表し、同日から発売した。マジェスタはクラウンの上級車種としてトヨタ車の頂点というポジショニングがされてきたが、今回からレクサスとの競合を回避するため4.6L・V8エンジンを廃止し、3.5Lハイブリッドのみという方向に大きく舵を切った。
環境性能と動力性能を両立させた3.5Lハイブリッドシステムを新設定し、標準クラウンシリーズに対してホイールベースが75mm長いボディ、すなわち現行マジェスタ、中国仕様のクラウンと同等の2925mmのホイールベースとすることでゆとりある後席空間を実現している。
ハイブリッドシステムは、新世代直噴技術D-4S搭載の3.5L・V6アトキンソンサイクル・エンジンを採用。モーターやインバーターなどの改良で、高効率を追求したFR専用ハイブリッドシステムにより、JC08モード走行燃費18.2km/L(CO2排出量:128g/km)を実現している。また実用燃費を向上させるため、フロントロアグリル後方に車速やエンジン水温などに応じて開閉するグリルシャッターを装備。空気抵抗の低減や暖機の促進を図っている。
FR専用2段変速式リダクション機構付ハイブリッドシステムの搭載により、V8エンジンに匹敵する加速性能、力強いトルクによるゆとりある、静かで滑らかな走りとしている。その一方で優れた静粛性を追求し、室内へのエンジンノイズ透過音を低減するダッシュインナーサイレンサーの増強、吸遮音材、防振材を最適配置したほか、リヤサイドガラス、リヤウインドウの板厚をアップなどを行なっている。またオプション設定の18インチタイヤにはタイヤ内部の空気の振動を抑制する特殊吸音スポンジタイヤを採用。
サスペンションは、クラウン・シリーズと同様にリヤアームは開断面構造として、路面から伝わる振動を減衰させ上質な乗り心地としている。シャシー制御はVDIM(アクティブステアリング統合制御付)を採用し、エンジン、ブレーキ、ステアリングなどの機能を統合制御。さらにVGRSとEPSを用いて前輪の舵角と操舵トルクを最適コントロールしている。
またNAVI・AI-AVS(ナビ情報採用のアダプティブダンパー)を採用し、乗り心地の質感を向上。電子制御アブソーバーにより、車両の複合的な挙動を4輪が連動して制振し、フラットな乗り心地を目指している。
インテリアは、手工芸品風の質感を表現する一方、トヨタマルチオペレーションタッチのセンターディスプレイを採用。ダッシュボードなどのトリムは欅(けやき)の風合いをいかした木目風の樹脂として室内を演出。ステアリングホイールにも木目調の加飾を加え、本革との組み合わせで高い質感を追求している。シート表皮は高級感あふれる2種類の本革(ブラック、フラクセン)を「Fバージョン」に標準装備、標準仕様は上質で優雅なファブリック(フラクセン)を設定している。
ドライバーアシストとしては、「ブラインドスポットモニター」を標準装備。車両の周囲を映像で表示するパノラミックビューモニターをオプション設定。LED4灯式ヘッドランプは、夜間に先行車や対向車の動きに合わせて直接ハイビームを当てないように遮光範囲を自動調整する「アダプティブハイビームシステム」を標準装備としている。またタイヤ空気圧警報システムも標準装備する。
ミリ波レーダー方式の自動ブレーキ・衝突回避、アダプティブクルーズコントロールと、超音波ソナーを使用した誤発進防止システムは「Fバージョン」では標準装備、標準モデルはパッケージオプションとなっている。また歩行者との衝突で歩行者頭部への衝撃を緩和するポップアップフードを標準装備している。