トヨタ カローラ フルモデルチェンジ試乗記 真のグローバルモデルに生まれ変わった新型カローラハッチバック(プロトタイプ)

マニアック評価vol589
トヨタ カローラハッチバックプロトタイプ

世界の大衆量販車『カローラ』が12代目に生まれ変わる。正式発表に先立ちプロトタイプへの試乗ができたので、速攻レポートをお伝えしよう。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

トヨタ カローラハッチバックプロトタイプ 1.8Lハイブリッド フロントスタイル
1.8Lハイブリッド。18インチを装着した新型カローラハッチバック・プロトタイプ

カローラは現行の11代目で生誕50周年を迎えている。1966年にデビューしたカローラは国内専用モデルとして販売され、また、海外向けには16拠点で仕向け地仕様が生産されている。これまでカローラは、延べ154か国以上、4600万台を生産、販売されたグローバル量産車でもある。

トヨタ カローラハッチバックプロトタイプ 1.8Lハイブリッド リヤスタイル
1.8Lプレスラインと張り出し感のあるリヤデザイン

今回の12代目は次の100周年に向けてのトップバッターで、このカローラを真のグローバルカーとするポジションとなり、仕向け地仕様ではなく、共通の仕様で生産、販売が行なわれる。これまでの国内でのカローラユーザーは、セダンのアクシオが70歳代、ステーションワゴンのフィールダーが60歳代中心の客層だというが、12代目は、グローバルモデルという位置づけになり、若い世代に向けてのモデルチェンジという、新しいポジションニングで誕生した。

トヨタ カローラハッチバックプロトタイプ フロントシート
カローラのイメージを一新。これが新型カローラ!20代を刺激するか?!

ボディタイプは、今回試乗できたのはハッチバックタイプで、時期は不明だが、セダン、ワゴンも続くということだ。ボディサイズはCセグメントに属する量販車のメインサイズ。中心となる市場は中国、アメリカが最も大きなマーケットで、日本、欧州で販売されていく。現状でも中国は月販5万台、北米が3万台という台数が販売されており、トヨタの屋台骨の一台でもある。ちなみに国内モデルの生産工場は堤工場で、プリウスと同じ工場で製造される。

トヨタ カローラハッチバックプロトタイプ 1.8Lハイブリッド サイドビュー
1.8Lハイブリッドの16インチ装着車。Cセグメントサイズでライバルはゴルフか

ライバルとされるのは、フォルクスワーゲン・ゴルフ、フォード・フォーカス、ホンダ・シビックといったあたりだ。搭載されるパワートレーンは1.2Lターボの6速MTとCVT、1.8Lハイブリッドという3種類。欧州には2.0Lハイブリッドも搭載される。この2.0Lハイブリッドはディーゼルの代替となるモデルと位置づけ、欧州でのメインモデルを1.2Lのマニュアルトランスミッションと併せて積極的に販売をしていく。ちなみに1.8Lハイブリッドはプリウスと、1.2Lターボはオーリスなどに搭載しているユニットと共通だ。

トヨタ カローラハッチバックプロトタイプ 1.8Lハイブリッド メーター
ハイブリッド車のメーター
トヨタ カローラハッチバックプロトタイプ 1.8Lハイブリッド メーター
こちらもハイブリッド車のメーター。2種類設定があるようだ

プラットフォームはプリウス、C-HRとおなじTNGA。小西主査によると、こだわりは『チームジャパン』だそうで、ひとつの例として、ダンパーにカヤバ製を採用。C-HRではSACHS製を採用していたが、カヤバと共同開発して走りに磨きをかけたということだ。他にも数多くの日本企業の部品が供給されているという。

トヨタ カローラハッチバックプロトタイプ フロントスタイル ソリッドブルー
ソリッドブルーというのも新鮮に映る

■試乗記

試乗はプロトタイプということもあり、公道ではなく富士スピードウェイのショートサーキットで行なわれた。走り出してすぐに感心したのは、そのサスペンションの動きだ。しなやかに動き、キチンとストロークしていることで、市街地での乗り心地も良さそうだ。装着していたタイヤは225/40-18サイズでダンロップ SP SPORT MAXX 050だった。

トヨタ カローラハッチバックプロトタイプ 1.8Lハイブリッド 富士ショートコース 走行シーン

特に微低速域でのフリクションが全くなく、しなやかに動く。サーキットの環境を活かしダンパーピストンのストロークスピードの速い時や荷重の大きい場面では、しっかりと減衰しボディが安定する。サーキットの縁石をわざと踏み振動の入力を確認すると、強い衝撃がなくまろやかにいなしていく。このフィールは高級車にあるフィーリングで、かなりレベルの高い乗り心地だ。

トヨタ カローラハッチバックプロトタイプ 1.2Lターボ 6速MT サイドビュー
1.2Lターボの6速MT

また、縁石を乗り越えるときのボディへの振動もしっかり抑えられ、ボディ剛性の高さも体感する。そして操舵フィールもいい。C-HRと比較すると穏やかに感じるが、リニアと言ってもいい。自然な感じでステアでき、切り戻しも自然。タイヤにかかる荷重が変化しても操舵力に変化なくスムーズに操舵できる。

トヨタ カローラハッチバックプロトタイプ 1.2Lターボ 6速MT コックピット
1.2ターボMTのインテリア。若干シフトレバーが長い?

こうしたサスペンション、ボディのレベルの高さを感じたため、多少無理のある走りを試す。旋回ブレーキや意図的なオーバーステア状況を作ってもリヤのスタビリティが高くスピンモードの片鱗すら顔を出さない。姿勢コントロールのVDCが介入する必要がないほど、シャシー性能で旋回し、姿勢維持をしているという印象だ。もちろん限界を超える状況になるとVDCの介入はあるが、その介入のしかたも穏やかで、邪魔な印象がない。このあたりからも欧州マーケットを真剣にターゲットとしていることが理解できる。

トヨタ カローラハッチバックプロトタイプ 1.2Lターボ CVT フロントスタイル
1.2LターボのCVT仕様

パワートレーンの違いはすべて試乗できたが、CVTやハイブリッドモデルはハイスピードで走行するとやはり、リニア感に欠ける場面はあるが、市街地での日常使いはこの先の公道試乗でレポートしたい。また、MTに関しては自動でブリッピングしシフトダウンの回転合わせを行なう制御が入っている。C-HRの欧州仕様のMTに装備されていたものと同じタイプがカローラにも導入した。

トヨタ カローラハッチバックプロトタイプ 1.2Lターボ CVT メーター
1.2LターボCVTのメーターパネル。エントリーモデルだろうが、スポーティだ

今回の試乗はクローズドサーキットであり、プロトタイプであることから結論づけるのは早計だが、12代目新型カローラハッチバックはグローバルスタンダードとして、まさに生まれ変わったモデルという印象だった。

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