トヨタ カローラアクシオ試乗記 コンサバな普通を極めたマイチェンカローラ

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マイナーチェンジで一気に売り上げを伸ばしたカローラ・アクシオ。その秘密を探るために試乗してみた

人気量販モデルのランキングで5位近辺にいた、カローラがマイナーチェンジ後一気に2位に浮上。トップはアクアで変わらずだが、プリウスやフィットを抑え上位に浮上した理由とは?早速試乗してみた。<レポート:髙橋 明/Akira Takahashi>

2015年3月30にマイナーチェンジを発表した11代目のカローラには、衝突軽減ブレーキなど安全運転支援機能が搭載され、さらに熱効率No1とされる燃費性能に優れた自然吸気の1.5Lガソリンエンジン搭載などがある(詳細はこちら)。もちろん、人気のハイブリッドモデルも2013年8月からラインアップに加わり、カローラ人気が復活してきた!というわけだ。

今回試乗したのは、この燃費性能に優れた1.5Lガソリンエンジン2NR-FKEを搭載したモデルで、あらためてカローラの人気を探ってみた。カローラは世界150ヶ国で販売されるグローバルブランドだが、国内で販売されるカローラブランドは、国内専用モデルとして扱われている。セダンタイプがアクシオ、ステーションワゴンがフィールダーの名称で販売されている。

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オーソドックスなセダンスタイルが実にカローラらしい

「カローラのライバルはカローラ」と形容されるように、独特のポジショニングでずっとカローラファンというユーザーが存在する。近年ではそのユーザー層も高齢化しつつあり、国内用カローラに求められる性能やデザインは、どうしてもコンサバなものになる。

デザインではフロントロアグリルを大型化したバンパーにしたことで、押し出しの強いフェイスに変わったものの、実用車としてのポジション。かっこいい、カッコ悪いなどの話題はさておき、という印象だ。

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近年の流行に乗って押し出し感の強い大型グリルを採用したバンパー

インテリアはユーザーを研究しつくした痕跡があちこちで伺える。例えば、エアコンの風量調整、デフロスター、内外気循環など運転中に操作するものはアナログで誤操作がおきにくい。使いなれた手の動きと利き手とか関係なく誤操作にならない工夫がある。近年タッチパネルが流行っているが、右利きの多い日本人に左手で運転中にタッチさせるのは誤操作を増やす。そんなストレスをまったく感じない。

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クロームパーツで高級感も演出。シフトはオーソドックスなゲート式

こまかなところでは、アクセル、ブレーキペダルの高さに違和感がなく、速度を一定に保ちやすい足の角度が作りやすい。シフトレバーはデザイン的には古めかしいが、ゲート式でも操作は誰にでも簡単に分かりやすいデザインを取り入れている。サイドブレーキはオーソドックスにレバー式を採用している。

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シートも座面の後傾角がしっくりくる角度で好ましく、ただ、長時間、長距離だと腰に負担がかかった。メーターは視認性が高く中央に速度計、左側にタコメーター、右に燃料計で、外気温やトリップ、時計はデジタル表示としている。

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シートは長時間ではやや腰に負担が掛かった
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シンプルなデザインで視認性の高いメーター

 

エンジンは前述の1.5Lガソリン自然吸気。23.4km/LのJC08モード燃費で今回の試乗での燃費は18.2km/Lだった。総走行距離は750kmで高速、ワインディング、市街地、渋滞を含む通勤というコンディション中、テスト走行モードも行なったため、かなりの好成績だと思う。ちなみに試乗車のスペックは109ps/136NmのFFモデルでCVTを搭載している。

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アクセルは早開きの制御で、スタート時の出足でトルクがあるように演出されている。これが絶妙で、一般的にはリニアな制御が良いとされているが、パワー、トルクの小さいモデルのときは、このような演出は重要だと思う。だから、周りのクルマよりモタモタしていることもなく、普通に走りだせる。反面、高速での追い越し加速や合流車線での加速では、思い切って踏み込まないと車速は乗らない。

高速では100km/hでエンジンの回転は2000rpm付近。静粛性や乗り心地はクラスレベルでまずまず。ハンドリングでは高速時、センターの座りが欲しいところだが、全体に応答遅れのあるタイプにしてあるので、はっきりセンターを出すと、逆に不安を感じる結果になるかもしれない。

この応答遅れのハンドリングは、スポーツドライブには無縁のユーザーであり、逆に穏やかで大人な印象を与えるかもしれない。切り始めも、また切った途中からの切り足し、切り戻しでも同じようなフィールなので、違和感が薄いという印象で、意図的な味付けであることが分かる。

リヤシートはフロアがFFのメリットをしかしフラットになっている。足元が広く大人4名は余裕で乗れる。セダンタイプのアクシオのため、ヘッドクリアランスもしっかりあり、王道のセダンリヤシートだ。さらにトランクも広々としていてフラットな荷室のため、使い勝手も良さそうだ。

一方、安全装備系の充実も今回のマイナーチェンジで大きなトピックだったが、「いざ」という時の装備であるため、その恩恵を大きく感じることない。コンチネンタル・オートモーティブ製単眼カメラ一体型レーザーレーダーの「Toyota Safety sense C」を搭載したカローラは、先行車が発進すると警報音でのお知らせや、レーンキープでの警告音、ハイビームオート切り替えなどが実際に体験する恩恵だ。ちなみに自動ブレーキは10km/hから80km/hの広い範囲で対応し、実際の事故の80%以上をカバーしているという。

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安全運転支援の「Toyota Safety sense C」を搭載する

 

国内用カローラは営業サイドの意見がハッキリしたモデルという印象で、市場が求めているクルマを造らせているのだろう。こうしたビジネスはユーザーの高齢化とともにシュリンクすることは間違いないが、そのユーザーにオーリスやアベンシスを乗らせたら…。カローラ・アクシオに乗ってみて、すべてのユーザーの好みを満足させるクルマ造りができる、というトヨタの巨大さを実感した。

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