トヨタは2025年10月13日、自社のブランドを再構築するプロジェクトをスタートさせ、新たに「センチュリー」を新たな最上級ブランドとすることを発表した。

新たなブランド戦略では、センチュリーをレクサスのさらに上位に位置することになる。センチュリーは、初代が1967年に登場して以来、現在の3代目までトヨタにおけるVIP向けのフォーマルセダンとして認識されてきた。そして2023年に、従来のFRプラットフォームではなく新たにTNGA-Kプラットフォームを採用するSUVタイプのセンチュリーをバリエーションに追加し、2車種での展開となっている。
おそらくこの時点からトヨタ社内ではブランドの再構築が開始されており、最上位のハイエンドなセンチュリーと4車種で構成されるクラウン・ファミリー、そしてセダン、ツーリング(ワゴン)、クロス、スポーツと4車種をラインアップするグローバル戦略車種のカローラ・ファミリーという基幹となる3ブランドを展開しようというわけだ。

もちろん、これら3ブランドに加えて、レクサス、GRもグローバル戦略ブランドに加わっている。

これらのトヨタの柱となるブランドは、いずれもグローバル・モデルと位置づけられ、かつては国内専用モデルであったクラウンも海外へ展開している。同様にセンチュリーも国内専用モデルから2023年のSUVタイプを契機に輸出を開始している。


こうした、トヨタ内でのブランド再構築により、世界各地で別々の車名で作り分けが行なわれていた各車種を整理・統合し、よりブランド力を高める狙いがある。
今回のセンチュリー・ブランドの独立に合わせ、新たにセンチュリー・クーペが開発されており、10月30日に開幕する「ジャパンモビリティショー 2025」でプロトタイプが初披露される。このクーペの追加により、センチュリー・ブランドも3車種の展開となる。

ただし、センチュリーはいずれも2000万円を超える価格帯であり、従来通りのハンドメイドによる少量生産、少量販売であることに変化はないだろう。
センチュリー・ブランドがトヨタにおける最上位の高級モデルとされたことで、レクサス・ブランドの位置づけはどう変化するのか? センチュリー・ブランドの登場により、レクサスは従来のような高級ブランドから、より革新的で挑戦的なブランドへとという位置づけに変わっていく。

レクサスはこれまでヨーロッパのプレミアム・ブランドへの挑戦を行なってきたが、今後はそれらを超えるより革新的なブランドになるわけだ。このことを象徴するように、「ジャパンモビリティショー 2025」ではレクサスのフラッグシップである「LS」の名を冠してフロント2輪、リヤ4輪という、6輪の大型ミニバン/MPVマルチパーパス・ビークルは、見る人を驚かすことだろう。

さらに、「東京オートサロン 2026」では、スープラの後継モデルとなる次期型トヨタ GR GTも登場が予想され、GRブランドのラインアップを構築していくことになる。