トヨタは本格的ダウンサイジングターボ、1.2Lエンジンにターボを組み合わせたエンジンを、オーリスに搭載した。オーリスは欧州など海外市場を意識したモデルで、ライバルは量販のCセグメントモデルとなる。それだけに高いレベルの性能が求められるオーリス、新搭載のこの1.2Lターボはどうなのか? 試乗して確認してみた。
<レポート:髙橋 明/Akira Takahashi>
欧州Cセグメントはフォルクスワーゲン・ゴルフで代表されるように、「高級の日常」を掲げ、大きく変化し、過酷な競争が続いているセグメントである。このマーケットで戦うにはかなりのレベルでないと厳しい。ゴルフ(264万円~)はもちろん、シトロエンC4(287.6円)やフォード・フォーカス(286万円~)がライバル。いずれもダウンサイジング・エンジンではひと足先に市場投入しており、トヨタはやや遅れての投入となった。
オーリスは一部地域ではカローラ・ハッチバックの名称も使用されるが、プラットフォームは新MCプラットフォームを採用している。
新開発の1.2Lターボエンジンの詳細はこちらに詳しく説明している。欧州マーケットで販売するため、燃料もハイオクガソリン仕様であり、国内で販売するには少しマイナス要素となってしまう。
そのエンジンフィールだが、ライバルたちは滑らかで静か、そして低速からのトルクフルなエンジンフィールを持っているが、オーリスはザラツキ感があり、低回転でのトルク感も少ない。遅れての市場投入だけに、少し残念だ。
スロットルはやや早開きの設定をしているものの、自然なフィールを重視したセッティングだ。そのため、出だしでのもたつきを感じることもなく、加速できる。組み合わせているミッションはCVT。7速のステップフィールがあり、パドルシフトを使ったダウンシフトではCVTであることを感じさせない。だが、アップシフトではややすべり感があり、CVT特有のフィールが残っている。
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サスペンションも気になった。細かな入力がダイレクトに伝わってきてしまい、上質、高級というフィールではなく、ライバルが軒並みしっとりとした乗り味を実現していく中、かつての大衆車然としたフィールは好ましくない。欧州マーケットにおいて、韓国車との値引き合戦に参戦するモデルであってほしくないと願うばかりだ。
コーナリングでのフィールでは、FF車のポイントとなるリヤの接地感やねばり、といったものは感じられるがフロントがつっぱった印象があり、そのためリヤがその動きに引っ張られているというフィールが残る。それでも国内で販売されるライバル車と比べるとレベルは高い。特に中速、高速でのハンドリングは欧州テイストがあり、特に、ボディのしっかり感やリニアなハンドリング、ホールド性の高いシートなど、欧州車レベルで、国内のライバルには差をつけていると感じる。
もうひとつ気になるのはロードノイズ。フロアパネルを透過して侵入するノイズは大きく、ロングドライブでは疲れる要因になってしまう。欧州ではロードノイズには比較的寛容ではあるが、国内販売を考慮すると、特に高周波帯の音は減らしたいと感じた。
インテリアまわりでの操作系では、さすがトヨタ。インターフェイスの整理や操作のしやすさ、誤操作の起きにくいレイアウトなど、ドライバーの行動をよく理解したおもてなしがあって、好ましい。
そして何より価格が厳しい。256万円という価格にオプションを搭載した試乗車は310万円のプライスを付ける。そうなるとフォルクスワーゲン・ゴルフ、フォード・フォーカス、シトロエンC4などが購入可能となり、ガチンコ比較になってくる。どこにトヨタ・オーリス1.2Lターボのアドバンテージを見つけるか? ということになるだろう。