2012年8月20日、トヨタは2代目となる新型オーリスを発売した。初代オーリスは2006年10月に発売なので、6年振りのフルモデルチェンジとなる。オーリスはカローラ・ハッチバックを独立させたブランド名であるが、5ドア・ハッチバックのパッケージングからもわかるように、主としてヨーロッパ市場をターゲットに開発されていたが、今回のニューモデルも日欧戦略車という位置付けは変わらず、ヨーロッパ・テイストを取り入れたクルマ造りとなっている。
新型オーリスは、初代モデルのキャッチフレーズであった「直感性能」をそのまま引継ぎ、スポーティさを追求するとともに、デザインは「スマート・ダイナミズム」を訴求している。トヨタの新たなデザイン・トレンドである「キーン・ルック」を新型オーリスは体現したモデルである。
これらにより、「スポーツハッチバックの新基準を確立する」という大きなテーマが新型オーリスに与えられているのだ。
↑RS S Package(レッドマイカメタリック) ↑RS S Package(アバンギャルドブロンズメタリック)
「キーン・ルック」とは、直訳すれば俊敏さを感じさせるデザインということになるが、トヨタは、「知的で明晰な印象を与え、フロントフェイスに独自性をもたらすトヨタの新しいデザイン表現」としている。これまでの個性が薄いデザインではなく、一目でトヨタ車とわかるアイデンティティを備えたデザインを、新型オーリスで初めて本格的に採用したのだ。このクルマからトヨタの顔が新しくなり、今後グローバルに展開するクルマに順次、採用していくとしている。
新型オーリスのフロントフェイスは、ヘッドライトからグリル中央にかけて形成されるV字形と、台形の大型フロントアンダーグリルにより精悍さを表現している。
↑180G (内装色:グレージュ(設定色) ↑180G S Package (内装色:ブラック)
インテリアはブラックカラーで、水平基調のダッシュボードとしながらも、シルバーメッキや、カーボン調のアクセントを付け、スポーティさを感じさせるように仕上げ、コクピット感を強調している。インストルメントパネル上面、ドアトリム上部にはソフトパッド表皮を、Aピラーガーニッシュはファブリック巻き仕上げを採用して、上質な見映えと触感を追求している。インストルメントパネルの正面はカーボン調、本革、ブラックメタル調、3タイプのオーナメントを設定している。
シートは、スポーティシートがベースになっており、「RS」グレードは専用スポーツシートとしている。「RS」は初代モデル後期に追加されたスポーティモデルだが、今回はローギヤードな6速MT、大型フロントディスクブレーキなど専用装備を多用してスポーツ性を高め、オーリスのコンセプトを象徴するフラッグシップとしている。
グレード展開は、1.8LがRSと180G、1.5Lは150Xという基本ラインアップで、パッケージオプションとしてCパッケージとSパッケージが設定されている。
新型オーリスのボディは、ホイールベースが2600mm、全幅1760mmに変更はないが、全高を55mm低下させ、全長を30mm延長してよりスポーティなフォルムにしている。ボディ・サイズとしてはヨーロッパCセグメントのど真ん中にポジショニングされることは言うまでもない。
性能的な狙い、コンセプトはレーダーチャートを見るとよくわかる。ハンドリングの俊敏さ、振動が少なくスムーズなこと、つまりスポーティなフィーリングを重視していることが明確になっている。
パワーユニットは、カローラ・フィールダーと共通する1.5L(1NZ-FE型)とバルブマチック(可変バルブリフト機構)仕様の1.8L(2ZR-FAE型)の2種類で、1.5Lは108ps、136Nm(4WD仕様は105ps、135Nm)、1.8LはRSのみがハイオク仕様で144ps、180Nm、180Gはレギュラーガソリン仕様で143ps、173Nmという出力だ。なお1.5Lモデルにのみアイドリングストップを選択できる。
トランスミッションはRSだけが6速マニュアル、その他はすでにカローラから展開されているスーパーCVTiで、7速スポーツシーケンシャル・モードを備えている。また、1.8L用CVTiはスポーツモード制御を新設定している。エンジンの応答性向上、小気味よい加速感と変速、再加速時のレスポンス向上を行うとともに、センサーで減速Gや横Gを判断し、コーナリング中の不要な変速を抑制する「G AI SHIFT」も採用している。
JC08モード燃費は、RSが14.4km/L、180Gが16.0km/L、150Xが18.2km/L(アイドリングストップ付きは19.2km/L)、1.5Lの4WD車は16.4km/Lとなっている。
サスペンションはフロントがストラット式、リヤは1.8Lと1.5Lの4WD車はダブルウィッシュボーン、1.5LのFF車のみがトーションビーム式だ。RSのパワーステアリングのギヤ比、サスペンションのセッティングは専用設定になっている。なおブレーキは全車が4輪ディスクブレーキを採用しているのもオーリスならではだ。
走りのテーマは、レスポンスのよい俊敏な走りだという。そのため、ヨーロッパの各地を走り込んで熟成を行ったという。
装備ではカメラセンサーを使用したオートマチックハイビーム(180G・Sパッケージにオプション設定)、ディスチャージランプ+AFS(操舵方向に光軸を指向するアクティブヘッドライトコントロール)は180GとSパッケージ車、150X・Sパッケージ車に標準装備される。またエアコンはRS・Sパッケージ、180G、150X(Cパッケージ除く)は左右独立温度調整式を採用している。パノラマルーフは、RS・Sパッケージ、180G、150X(Cパッケージ除く)にオプション設定されている。