トヨタの生産終了モデル「プリウス アルファ」「プレミオ/アリオン」「ポルテ/スペイド」

トヨタは2020年12月1日、プリウス アルファ、プレミオ/アリオン、ポルテ/スペイドの生産を終了することを発表しましたポルテ/スペイドは12月末で生産を終了し、プリウス アルファ、プレミオ/アリオンは2021年3月末で生産を終了します。

この生産終了は、販売台数だけではなく、その他の要因も考えられます。まず第1は販売体制の問題です。トヨタの従来の販売体制は、トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店という4チャネル販売体制でしたが、2020年5月からは各系列で全車種販売するという体制に大きく変化しました。

同一車種を複数の販売店で扱うため、フロントグリルのデザインや車名を変えるなどして、同一車種でありながら別車種のような手法で販売されていました。アルファード/ヴェルファイア、ノア/ヴォクシー/エスクァイアなども同様の事情です

ポルテ

ポルテ/スペイド

しかし、全販売系列でトヨタの全モデルを販売する体制では、わざわざ系列ごとに車種を設定する意味がなくなっています。それに加え、BセグメントのコンパクトMPVのポルテ/スペイドは、今では軽自動車のハイトワゴンにスペース効率や総合性能で劣り、競争力を大幅に低下させています。

スペイド

またそれ以外に、ポルテ/スペイドはトヨタ自動車東日本・東富士工場で生産されていますが、この工場は2020年末で閉鎖され、東富士工場跡地は、トヨタ ウーブンシティへと生まれ変わります。この工場閉鎖のタイミングを捉えてポルテ/スペイドの生産が終了します。

プレミオ/アリオン

プレミオ(トヨペット店)/アリオン(トヨタ店)は、5ナンバーサイズの4ドアセダンで、元々はトヨタ コロナの後継モデルです。現行モデルは2007年にデビューし、コロナ プレミオと呼ばれてから3代目(初代コロナからは13代目)となる歴史的なモデルです。

伝統のコロナの継承モデル、プレミオ

しかし、言うまでもなく5ナンバーサイズのセダンは、かつてのコロナからの愛用者に限られ、ユーザー層は高齢化し、現在のようなSUV主流の市場での生き残りは難しいと考えられます。したがってトヨタ店、トヨペット店という本流の販売系列の扱い車種ではありますが、フェードアウトすることになりました。

アリオン

プリウス アルファ

プリウス アルファは3代目プリウスをベースに2011年にデビューしています。7人乗りモデルにトヨタ初のリチウムイオン バッテリー(5人乗りはニッケル水素バッテリー)搭載車として一時話題に登りました。

1代でフェードアウトするプリウス アルファ

ステーションワゴンタイプで、しかも3列シートまでラインアップするというコンセプトでしたが、このモデルもSUVの前には訴求力が弱く、プリウスはメインストリームであり続ける一方で、独自のパッケージングをアピールするプリウス アルファはSUVの潮流の中で存在感が弱まり、そしてプリウスが4代目にデルチェンジされるタイミングでもこのモデルは刷新されませんでした。

販売面ではデビューから2年間ほどは年間10万台以上の販売実績で十分収益を確保していましたが、2014年以降は段階的に販売台数が低下し、2017年以降は年間1万台を越えるという実績に収束。9年間モデルチェンジを行なわず継続生産し、ほぼ開発・生産投資を回収した上でのフェードアウトということになりました。

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