一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(Toyota Mobility Foundation。以下、「TMF」)は、「水素社会構築に向けた革新研究助成」プログラムを創設し、7月31日から公募を開始した。
環境問題や資源の枯渇等、エネルギー問題への対処は人類にとって重要な課題となっており、様々な分野での取り組みが続けられている。中でも、再生可能エネルギーと組み合わされたCO2フリー水素は有力な選択肢であり、日本をはじめとする世界の主要国において、官民学が連携し水素社会構築に向けた研究開発、実証実験等が加速している。一方で、現状では水素の製造、貯蔵・運搬、利用というサプライチェーンの全領域における革新的なコスト低減が重要な課題とされている。
TMFはモビリティにとって重要な課題であるエネルギー問題への対応を新規テーマとして定め、大学・公的研究機関等の水素・エネルギー関連有識者で構成する委員会を設立し、活動内容の検討、制度設計を行ってきたが、この度、水素社会構築に向けた革新的な基礎研究を支援するプログラムを開始することとなった。
本プログラムでは、2025〜2030年頃の実用化を目指す研究を助成し、技術革新によるCO2フリー水素の低コスト化の早期実現に向けた活動を支援する。また、水素社会構築には長期的な視点での取り組みが必要であり、次世代の研究活動をリードする研究者の育成も重要な目的としている。なお、本プログラムによる公募は5年間継続する予定であり、初年度は日本国内の大学、公的機関を対象とするが、来年度以降は海外の大学・公的研究機関への対象拡大を検討するという。
TMFは、2014年8月の設立以来、豊かなモビリティ社会の実現とモビリティ格差の解消に貢献することを目的に、タイやインドでの交通手段の多様化や、日本の中山間地域における移動の不自由を解消するためのプロジェクトに助成するなど、世界のモビリティ分野における課題に取り組んでいる。今後も、トヨタの技術・安全・環境に関する専門知識を活用しながら、大学や政府、NPOや調査研究機関等と連携し、都市部の交通課題の解消、パーソナル・モビリティ活用の拡大、次世代モビリティ開発、エネルギー問題解決に資する研究などの取り組みをさらに拡大していく計画だ。