トヨタ自動車、環境への負荷低減を実現した新塗装ラインを開発し、第63回「大河内記念生産賞」を受賞

トヨタ自動車は、第63回(平成28年度)大河内賞において、容積とCO2排出量を大幅に削減した新塗装ライン(堤工場/プリウス生産ライン)が、「大河内記念生産賞」を受賞したと発表した。大河内賞は、公益財団法人 大河内記念会が毎年、生産工学、生産技術、生産システムの研究開発並びに実施等に関する顕著な業績を表彰する、伝統と権威ある賞の一つで、トヨタとしては今回が16年ぶり、11回目の受賞となる。

堤工場の新塗装ライン開発の背景として、トヨタは2015年に公表した「トヨタ環境チャレンジ2050」の一つとして、「工場CO2ゼロチャレンジ」を掲げ、取り組んでいる。

クルマは走行時にCO2を排出するだけではなく、製造時にもCO2を排出するため、生産現場では、クルマの製造時に排出するCO2や環境負荷物質を低減するための取り組みを行なっている。特に塗装工程は、プレス、溶接、組み立て、塗装といった、クルマが完成するまでの様々な工程の中でも、CO2排出量が最も多く、改善が急務であった。

今回トヨタは、新たな塗装技術を開発・導入し、さらに塗装工程の全てのプロセスを徹底的に改善することで、高い品質を確保しつつ、塗装ライン設備の容積を40%、ラインから排出するCO2量を32%削減した。

本技術のポイントは、「工程の長さの短縮」、「設備の高さの低減」、「付帯設備の小型化」を実現した生産技術の開発である。

具体的には、ブースアンダーセクション(ボディに付かなかった塗料を回収する部屋)の低床化、ブース給気室(吹付室〈ブース〉の上にある、風速や風向を調整する部屋)の薄型化、清浄工程・内板工程(ボンネットやトランクの内側を塗装する工程)の自働化、ロボット加工能力の向上、搬送ピッチの最適化、乾燥炉断面の縮小、小型脱臭装置の有効活用など多岐に渡る。

今回、ライン容積削減に最も貢献したのは、ブースアンダーセクションの低床化である。ボディに付かなかった塗料を、遠心力を使いながら集塵する方法を新たに開発し、装置の小型化、圧力の低損失化によりCO2排出量の削減に寄与した。(図1)

現在、本技術を採用した塗装ラインは、トヨタを代表するエコカーの一つであるプリウスの生産ラインに採用されており、今後も国内外の工場への展開を予定している。

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