2015年1月6日、トヨタは、燃料電池自動車(FCV)を普及させるための取り組みの一環として、トヨタが保有している世界で約5680件の燃料電池関連の特許(審査継続中を含む)を無償で提供すると発表した。
この対応は、FCV導入初期段階でより広範な普及を優先し、開発・市場導入を進める自動車メーカーや水素ステーション整備を進めるエネルギー会社などと協調した取り組みが重要であると考えた結果だという。
特許実施権無償提供の具体的な内容は、燃料電池スタック:約1970件、高圧水素タンク:約290件、燃料電池システム制御:約3350件などで、FCVの開発・生産の根幹となる燃料電池システム関連の特許に関しては、これらの特許を用いてFCVの製造・販売を行なう場合、市場導入初期(2020年末までを想定)の特許実施権を無償とするとしている。
また、水素供給・製造といった水素ステーション関連の特許(約70件)に関しては、水素ステーションの早期普及に貢献するため、水素ステーションの設置・運営を行う場合の特許実施権を、期間を限定することなく無償としている。
これらの特許実施に際しては、トヨタに申し込みをし、具体的な実施条件などについて個別協議の上で契約書を締結するという。
現状のFCVを取り巻く環境は、インフラ整備がEVの充電施設よりはるかに遅れており、FCV生産事業、水素充填インフラ事業が採算ベースで実現するために、今回の特許の無償提供を決定したわけだ。ただ、現状ではホンダ、日産は以前から独自開発を進めており、実際には部品メーカーが対象になると思われる。