トヨタ 豊田自動織機の非上場化により大規模資本再編と買収へのプロテクト

トヨタ・グループのトヨタ不動産は2025年6月3日、「豊田自動織機の株券等に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」を公表した。この公表記載の豊田自動織機の株式に対する公開買付け(TOB)および同社の非公開化を目的とした一連の取引に、トヨタ自動車、アイシン、デンソー、豊田通商も参画している。

なお、このトヨタ・グループによる豊田自動織機の株式の公開買付の提案について、豊田自動織機は6月3日に了承している。この公開買付のためにトヨタ・グループが必要とする費用は約6兆円と巨額で、約50%は金融機関からの借り入れとなる。また豊田自動織機の株式の公開買付は2025年秋以降に開始されると予想される。

今回の豊田自動織機のトヨタ・グループによる株式の公開買付が完了する時点で、豊田自動織機は非上場会社となる。

現在のトヨタ自動車は、もともとは豊田自動織機の自動車部門からスタートしており、豊田自動織機は豊田佐吉が創業した、まさに現在のトヨタ・グループの母体であり総本山である。豊田自動織機の創業は1926年で、2026年は創業100周年となる。現時点では豊田織機株の株式の24.2%をトヨタ自動車が所有し、トヨタ株の約9%を豊田織機が保有。他のグループ企業と同様の株式持ち合い型となっている。

なお、現在の豊田自動織機は、産業車両の開発・製造・販売、トヨタ RAV4の受託生産、ランドクルーザーなどのディーゼルエンジン、ハリアーのガソリンエンジン、エアコン・コンプレッサー、アルミダイキャスト製品、DC-DCコンバーター、インバーター、車載充電器、バイポーラ型ニッケル水素電池、織機など、幅広い分野の事業を展開している。とはいえ、現状ではトヨタ自動車との協業や受託などの比率が大きくなっていることも時事である。

トヨタ・グループによる豊田自動織機の株式の公開買付は、一般的な公開買付による買収といった敵対的なものではなく、トヨタ・グループの大規模な資本再編と位置づけられる。

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これまでのトヨタ・グループは、各社が一定の独立性を保ちながら連携するファミリー型ネットワークを構成していた。今回の豊田自動織機の非上場化は豊田家が提唱したといわているが、この非上場化を手始めに、トヨタ・グループ全体の統制を強化する可能性が考えられる。

もうひとつ非上場化は、グループの各企業が海外の巨大ファンドなどに買収される、あるいは大株主になることで経営方針が左右されるという危険性を回避する狙いもある。

これからの非公開化のために、新たに持ち株会社が設立され、トヨタ不動産が約1800億円、トヨタ自動車が約7000億円を出資し、トヨタ・グループ企業もそれぞれ出資する計画だ。なお、豊田家では豊田章男会長個人も10億円の出資を行なうという。

なお、トヨタ・グループとしては、非上場後の豊田自動織機は「モノ」に関し、多様化・高度化する物流現場のニーズに応えるため、フォークリフトなど物流機器の自動運転技術や物流管理のソフトウエア、環境性能に優れたパワートレインの開発に注力し、今後はモノの動きに関するデータ活用にも取り組むとしている。

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