トヨタ 2025年3月期決算 減益は拡大するか

トヨタは2025年5月8日、2025年3月期の決算を発表した。25年3月期の連結最終利益は前期比3.6%減の4兆7650億円になり、次期26年3月期の売上高は前年比1.0%増の48兆5000億円、最終的な純利益は34.9%減の3兆1000億円とする予測を発表した。

トランプ政権が輸入自動車や部品に25%の追加関税をかけるなど、トランプ関税の嵐の中でも日本にとって焦点となるのは自動車メーカーの動向だが、影響力の大きい世界最大の自動車メーカー、トヨタの今期の見通しをどう示すかが注目されていた。

そして、トヨタの2024年4月から2025年3月までの決算は、売上高が前年より6.5%アップして48兆367億円となり、トヨタ自身が持つ国内企業の過去最高記録を塗り替えた。型式認定試験での不正発覚などがあったにもかかわらず、堅調を維持したと言える。

売上高で前年を上回った一方で、純利益は4兆7650億円となり、前年を3.6%下回る増収減益となっている。とはいえ収益は国内製造業としては過去2番目という規模だ。また、営業利益率は10%と、相変わらず高水準にある。

この高い収益を支えたのが為替差益、価格アップ、そして金融利益の増大などである。

連結販売台数は936万台強で前年比で-0.9%、トヨタ+レクサスでは1027万台強で-0.3%ダウンとなっている。一方、日本、アメリカ、ヨーロッパでは微減となっているがアジア地域などではプラスとなっている。注目の中国では、販売台数は-5.9%であり、販売が急減速している日本の自動車メーカの中では、これでも良好と言える。

次期2026年3月期の見通しは、トヨタ+レクサスの総販売台数は1040万台、トヨタ連結販売台数は980万台とし、2025年期比では104.7%としている。そして売上高は48兆5000億円とし、一方で収益は3兆8000億円と今期より約1兆円の減益を見込み、営業利益率も7.8%まで下がるとしている

減益の要因は、ドル高基調の為替変動、部品価格の上昇と関税の影響だ。為替では7450億円の減益となり、関税に関しては4、5月分として暫定的に1800億円のマイナスを計上している。2ヶ月分としているのは関税交渉の行方が不透明なための暫定処置としているが、関税の決着が長引けば900億円/月の損失が積み重なることになるわけだ。

トヨタは対米輸出台数は約50万台で、レクサスなど高価格車が多いため、高関税の影響は少なくない。しかし、トヨタは現状ではアメリカ市場で直ちに価格を上げることはせず、様子を伺うとしている。

トヨタは、グローバルで1000万台、日本市場で300万台の販売を守るとしているが、世界情勢的には販売減少要因が多く存在し、利益率の低下も見通さざるを得ない。そのため、今後は新たな収益源として、ソフトウエア・ディファインド・ビークルを前提とした、モビリティサービスやサブスクリプションの拡大、用品・部品販売の拡大、中古車販売、そして取り扱い金融での収益拡大を目指している。

グローバルでの生産、販売、そして財務面で最も強固なトヨタであっても、世界情勢の混乱、関税問題は大きな不安定要因とされている。

他の自動車メーカーにとっては、その不安定要因は極めて大きいと想像できる。

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